今回の記事は『チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜』(2011年、監督:マルジャン・サトラピ&ヴァンサン・パロノー)です。
死を決意した主人公が最期の8日間で振り返るほろ苦い人生の思い出の日々を、アニメ表現をはじめとしたコミカルかつファンタジックな演出を織り交ぜつつ、切なくもロマンティックに描いたコメディ・ロマンス。
映像は美しく幻想的、加えてどこかエキゾチックな印象もある不思議な感覚のドラマだった。
■内容紹介 ※goo映画より
天才音楽家ナセル・アリは人生に絶望していた。壊れたバイオリンと同じ音色を出せる楽器は、見つからない。
8日後、アリは亡くなるが、それまでに彼は自分の人生を回想する。
「テクニックはあるが、音楽は空っぽだ」と師匠に言われた修行時代、ひと目で恋に落ちたイラーヌとの出会い、失敗した愛のない結婚生活、本物の音色を見つけ世界各地を演奏旅行で飛び回った時代、大切な母の死…。
そして叶わなかった愛の物語が語られる…。
叶わなかった愛が、いちばん美しい。
![チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜]()
![チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜]()
![チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜]()
■感想
結果的に昨年(2012年)の最終劇場鑑賞作品となった映画。
製作国にフランスが名を連ねているだけのこともあり、映像はとにかく幻想的で美しかった。独特な芸術性の高さを感じます。
また監督がイラン出身の女流監督さんであり、映画の舞台設定も中東らしく、どこかエキゾチックな印象も受ける作品だった。
ジャンルとしてコメディと書かれている通りに、作中にはコメディ描写も多い。
けれど描かれている内容は死を決意した天才的な芸術家が振り返る苦難の人生と愛の物語であり、けっこうシリアスでしかも重い。
だから何とも言えない不思議な印象を受ける映画だった。
そんな理由でコメディだけどエンタメ映画を求める人には全く向かない映画です。
ストーリーは決して悪くはなかったのだけれど、少し退屈した。
主人公ナセル・アリの妻ファランギースがあんまりにも可哀想に感じてしまったため、あまり主人公に共感できなくて、好きになれなかった。
叶わなかった恋をずっと胸にしまって生きることは辛いことだとは思う。けどナセルのあの結婚生活は酷いだろうよ。
思いを隠したままでも辛く苦しくてもナセルには別の選択を出来ればしてほしかった。
ラストで判明する主人公の真の絶望の原因とその後の切なさは悪くなかった。
しかもこのシーンは映画の一番最初に描かていたシーンでもあり、とても良く構成された脚本だと思う。
けれどやはり主人公に共感できてるかできてないかの影響は大きくて、あまり好きな映画とはならなかった。
かなり一方的な思いに満ちた意見で俗物的な見方をしたなぁとは思っています。
この映画で一番強烈に感じたことは芸術家の気難しさだった。
ベッドで死神アズラエルが語りかけてくるシーン、子供の頃に読んだかテレビで見たかしたグリム童話の「死神の名付け親」をちょっとだけ思い出した。
あのベッドを回転させ、頭と足の向きを反対にして死神を騙したお話です。(ちなみにコレ→Link)
もちろんこの映画のアズラエルとこの死神は全くの別物です。
数か月前のことは意外と曖昧な記憶になっているのに、子供の頃印象に残ったことっていつまでたっても覚えているものだなというお話です。
(一体何の感想なんだか…)
■登場人物ちょいメモ
ナセル・アリ(マチュー・アマルリック)
…天才的な音楽家。命よりも大切なバイオリンを妻に壊されてしまい、代わりのバイオリンを探すが見つからない。
彼は絶望し、死を決意する。一切の飲食を拒否し部屋に閉じこもる。(何しとんねん)
死までの7日間、彼はこれまでの人生と初恋の女性を振り返る……。
ファランギース(マリア・デ・メディロス)
…ナセルの妻。天才的だが神経質で芸術家肌のナセルに苛立ち、きつく当たる。
ナセルのバイオリンを壊してしまった張本人で、彼を傷つける言葉で酷く罵るが、本心はナセルのことを愛している。
映画タイトル『チキンとプラム〜』は、彼女が夫のために作った彼の大好物料理「チキンのプラム煮」からきている。切なすぎる。
イラーヌ(ゴルシフテ・ファラハニ)
…ナセルが若き修行時代に出会い恋した女性。ナセルは現在はファランギースと結婚しており、その恋は叶わなかった。
一体ナセルと彼女にどんな経緯があったのかは映画中で少しずつ明かされる。
ナセルの初恋の人であり言ってしまえば過去の思い出の人。それをどう現在と結びつけているのかがこの作品の最大の脚本の巧みさ。
アズラエル(エドゥアール・ベール)
…死神。イスラム教における死を司る天使。片手には全ての生者の名を記した書物を持ち、人が死ねばそこから名前が消える。(wikipediaより引用)
この映画においては実に超意外な役割を担っている。
■予告編
映画データ 題名 チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜 製作年/製作国 2011年/フランス=ドイツ=ベルギー ジャンル コメディ/ドラマ/ロマンス 監督 マルジャン・サトラピ
ヴァンサン・パロノー 出演者 マチュー・アマルリック
エドゥアール・ベール
マリア・デ・メディロス
ゴルシフテ・ファラハニ
キアラ・マストロヤンニ
イザベラ・ロッセリーニ
エリック・カラヴァカ
ジャメル・ドゥブーズ、他 メモ・特記
PG12指定
原作:マルジャン・サトラピ おすすめ度★★★☆(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)
■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+⇒チキンとプラム〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜 - goo 映画
+⇒2012年映画レビュー記事一覧
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死を決意した主人公が最期の8日間で振り返るほろ苦い人生の思い出の日々を、アニメ表現をはじめとしたコミカルかつファンタジックな演出を織り交ぜつつ、切なくもロマンティックに描いたコメディ・ロマンス。
映像は美しく幻想的、加えてどこかエキゾチックな印象もある不思議な感覚のドラマだった。
■内容紹介 ※goo映画より
天才音楽家ナセル・アリは人生に絶望していた。壊れたバイオリンと同じ音色を出せる楽器は、見つからない。
8日後、アリは亡くなるが、それまでに彼は自分の人生を回想する。
「テクニックはあるが、音楽は空っぽだ」と師匠に言われた修行時代、ひと目で恋に落ちたイラーヌとの出会い、失敗した愛のない結婚生活、本物の音色を見つけ世界各地を演奏旅行で飛び回った時代、大切な母の死…。
そして叶わなかった愛の物語が語られる…。
叶わなかった愛が、いちばん美しい。



■感想
結果的に昨年(2012年)の最終劇場鑑賞作品となった映画。
製作国にフランスが名を連ねているだけのこともあり、映像はとにかく幻想的で美しかった。独特な芸術性の高さを感じます。
また監督がイラン出身の女流監督さんであり、映画の舞台設定も中東らしく、どこかエキゾチックな印象も受ける作品だった。
ジャンルとしてコメディと書かれている通りに、作中にはコメディ描写も多い。
けれど描かれている内容は死を決意した天才的な芸術家が振り返る苦難の人生と愛の物語であり、けっこうシリアスでしかも重い。
だから何とも言えない不思議な印象を受ける映画だった。
そんな理由でコメディだけどエンタメ映画を求める人には全く向かない映画です。
ストーリーは決して悪くはなかったのだけれど、少し退屈した。
主人公ナセル・アリの妻ファランギースがあんまりにも可哀想に感じてしまったため、あまり主人公に共感できなくて、好きになれなかった。
叶わなかった恋をずっと胸にしまって生きることは辛いことだとは思う。けどナセルのあの結婚生活は酷いだろうよ。
思いを隠したままでも辛く苦しくてもナセルには別の選択を出来ればしてほしかった。
ラストで判明する主人公の真の絶望の原因とその後の切なさは悪くなかった。
しかもこのシーンは映画の一番最初に描かていたシーンでもあり、とても良く構成された脚本だと思う。
けれどやはり主人公に共感できてるかできてないかの影響は大きくて、あまり好きな映画とはならなかった。
かなり一方的な思いに満ちた意見で俗物的な見方をしたなぁとは思っています。
この映画で一番強烈に感じたことは芸術家の気難しさだった。
ベッドで死神アズラエルが語りかけてくるシーン、子供の頃に読んだかテレビで見たかしたグリム童話の「死神の名付け親」をちょっとだけ思い出した。
あのベッドを回転させ、頭と足の向きを反対にして死神を騙したお話です。(ちなみにコレ→Link)
もちろんこの映画のアズラエルとこの死神は全くの別物です。
数か月前のことは意外と曖昧な記憶になっているのに、子供の頃印象に残ったことっていつまでたっても覚えているものだなというお話です。
(一体何の感想なんだか…)
■登場人物ちょいメモ
ナセル・アリ(マチュー・アマルリック)
…天才的な音楽家。命よりも大切なバイオリンを妻に壊されてしまい、代わりのバイオリンを探すが見つからない。
彼は絶望し、死を決意する。一切の飲食を拒否し部屋に閉じこもる。(何しとんねん)
死までの7日間、彼はこれまでの人生と初恋の女性を振り返る……。
ファランギース(マリア・デ・メディロス)
…ナセルの妻。天才的だが神経質で芸術家肌のナセルに苛立ち、きつく当たる。
ナセルのバイオリンを壊してしまった張本人で、彼を傷つける言葉で酷く罵るが、本心はナセルのことを愛している。
映画タイトル『チキンとプラム〜』は、彼女が夫のために作った彼の大好物料理「チキンのプラム煮」からきている。切なすぎる。
イラーヌ(ゴルシフテ・ファラハニ)
…ナセルが若き修行時代に出会い恋した女性。ナセルは現在はファランギースと結婚しており、その恋は叶わなかった。
一体ナセルと彼女にどんな経緯があったのかは映画中で少しずつ明かされる。
ナセルの初恋の人であり言ってしまえば過去の思い出の人。それをどう現在と結びつけているのかがこの作品の最大の脚本の巧みさ。
アズラエル(エドゥアール・ベール)
…死神。イスラム教における死を司る天使。片手には全ての生者の名を記した書物を持ち、人が死ねばそこから名前が消える。(wikipediaより引用)
この映画においては実に超意外な役割を担っている。
■予告編

ヴァンサン・パロノー 出演者 マチュー・アマルリック
エドゥアール・ベール
マリア・デ・メディロス
ゴルシフテ・ファラハニ
キアラ・マストロヤンニ
イザベラ・ロッセリーニ
エリック・カラヴァカ
ジャメル・ドゥブーズ、他 メモ・特記


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