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崖っぷちの男(映画)

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今回の記事は『崖っぷちの男』(2011年、監督:アスガー・レス)です。
サム・ワーシントン主演によるサスペンス・ミステリー。スリリングで予測不能な展開は面白く、地味に良作。
映像にも妙なリアル感があり、ビルの真下を覗きこむような映像は高所恐怖症に人が見たら卒倒しかねない。
高層ビルから飛び降りようとする男の真の狙いとは?

■内容紹介 ※Movie Walkerより引用 Link
30億円のダイヤモンドを横領した罪で服役しているニューヨーク市警の元警察官ニック・キャシディ(サム・ワーシントン)は、脱獄し、高級ホテルの高層階に現れた。そして窓枠を越え、飛び降りようとする。
大勢の人が固唾をのみながらニックを見守る。ニックは要求を伝えるための交渉人としてニューヨーク市警の女性刑事リディア(エリザベス・バンクス)を指名する。
ニックからある依頼を受けた弟(ジェイミー・ベル)、元同僚のニューヨーク市警警官たち、ニューヨークでも指折りのダイヤモンド王と呼ばれる実業家(エド・ハリス)らの様々な思惑が交錯する中、ニックの本当の目的が明らかになっていく……。

なぜ、ここに…?

いま、起死回生のショータイムがはじまる。

崖っぷちの男

崖っぷちの男

崖っぷちの男
■感想
2012年鑑賞映画のレビューとしては最後。
終わりが見えていなくても、止めることなく続けていればいつかは終わる。ただマイペースを通り越したゆっくりさ加減でしたが…。

では感想。
この作品、明らかに大作ではないのだけれど、かなり映画としての出来自体は高い。スリリングで予測不能な展開は面白かった。
ミステリー・サスペンスとしてはそうとう良く出来た映画だと思います。
ただ作品としての地味さはどうしてもあるので、ド派手な展開、ど派手な映像、ド派手な結末を望む方は、少々物足りないと感じるかもしれない。
地味でもそれなりに練られた物語が好きな方ならきっと楽しめるはず。

映画では3つの物語が同時進行して描かれます。しかもその絡ませ方が上手い。
ニックの目的が物語後半に向け少しずつ明らかになっていく展開のさせ方も面白い。プリズン・ブレイク顔負けの面白さがこの映画にはあったように思う。…と鑑賞後のメモには書き残してあったけど、今にして思うとそれはちょっと言い過ぎかも。

ニックの目的は物語中盤前ぐらいには、だいたい観客にも予想がつく状態になる。しかし全ては語られないまま物語は進むので目は離せない。
途中まではニックの真の目的はダイヤ強奪だと思っていたけど、さすがは警察官という潔癖な目的には感心してしまう。
かなり計算高いと思っていたニックの最終手段がかなりダイナミックだったのには驚かされた。そこを伏線回収、練りが甘いと指摘する批評もあるようなのだけれど、それはそれで熱さと迫力が増していたので、「もう良し!」と思ってます。この展開、予想はしてなかったでしょう?

一番驚かされてしまうのはお父さんですよね。「お前かい!」とちょっと幸せな気持ちになってしまう。

特殊クレーンカメラで撮られたビルの真下を覗きこむような映像には妙なリアル感もあり、高所恐怖症の人が見たら冷や汗を握るかも。

作風としてはライトで分かりやすい。変に複雑な背景、意味深な演出の連発で、観てる人を混乱の渦へと落とし込む本格作品よりは、気軽に見れるので楽。
脚本、演出も決して浅くはなく面白い。
ちょっと強引な展開もあるけど、結末も痛快。
と、押さえるべきところはちゃんと押さえられた映画なので満足度も高い映画でした。

機会があったらぜひご覧になって観てください。

■登場人物ちょいメモ
ニック・キャシディ(サム・ワーシントン)
…高級ホテル「ルーズヴェルト・ホテル」の21階へ現れ、飛び降りようとする素振りを見せる男。
自身を説得する交渉人として、NY市警の女性交渉人リディアを名指しする。
やがて男の素性が、30億円のダイヤ横領の罪で服役していたNY市警の元警官だということが判明する。

リディア・マーサー(エリザベス・バンクス)
…ニックに名指しされた女性交渉人。1ヶ月前に自殺志願者の説得に失敗して死なせてしまった経験を持つ。
ニックとのやり取りを通し、彼が無実ではないかという気持ちを抱いていく。

ジョーイ(ジェイミー・ベル)
…ニックの弟。素行がやや悪く、お調子者で頼りない感じだが、恋人のアンジーと組んで“ある計画”を実行中。
ホテル21階で騒ぎの渦中にあるニックと、何やら連絡を取り合っている。

アンジー(ジェネシス・ロドリゲス)
…ジョーイの恋人。勝ち気なセクシー美女。ジョーイの相棒として計画を手伝う。
若干間抜け感の漂うジョーイに対し、気が強くしっかりしている彼女は何だか似合う。ジョーイ、尻に敷かれそうだけど。

マイク・アッカーマン(アンソニー・マッキー)
…市警時代のニックの元相棒。正義感の強い黒人刑事。
服役中のニックが父の葬儀に参列できるように計らった直後に、ニックに脱走され、裏切られたと思い、彼を執拗に追う。

デヴィッド・イングランダー(エド・ハリス)
…実業家。ダイヤモンド王。ニックが盗んだとされるモナークダイヤの所有者。
大切なものを保管したビルに素人が侵入可能というやたらとザルな警備を敷くという不思議な用心深さを発揮する。
余裕ある態度だけれど、それで安全だとでも本気で思っていたの? な人。

■予告編


映画データ 題名 崖っぷちの男 製作年/製作国 2011年/アメリカ ジャンル サスペンス/ミステリー/アクション 監督 アスガー・レス 出演者 サム・ワーシントン
エリザベス・バンクス
ジェイミー・ベル
アンソニー・マッキー
エド・バーンズ
タイタス・ウェリヴァー
ジェネシス・ロドリゲス
キーラ・セジウィック
エド・ハリス
アフトン・ウィリアムソン
マンディ・ゴンザレス
バーバラ・マリノー
J・スミス=キャメロン
パトリック・コリンズ
ロバート・クロヘシー
ジョー・リシ
ウィリアム・サドラー、他 メモ・特記 特になし おすすめ度★★★★(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)

■Link
+⇒公式HP(Japanese)

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2013年・し

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「モノクローム物干し」
タイトルが若干不吉かも。

ブログフォルダを整理していたら、出てきた何かのメモ書き。雑記の元のもと。
せっかくなので軽く調べてまとめてみました。
いつもとはだいぶ趣向が違う雑記なので、興味ある方だけ読んでみて下さい。

いまいちよく分かっていないこと。

・「白星」と「黒星」
白星は勝ちを意味し、黒星は負けを意味する。
こんなの知ってて当たり前というぐらいの言葉ですが、スポーツの見出しとかで白星とか書かれていると今でも時々分からなくなる。
負けたら黒く塗りつぶされるから黒星。と覚えようと決めたのに、いまだにモヤッとしているから困る。

・「右翼」と「左翼」
これまでの古き良き伝統や秩序を大切にする考え方を右翼的と言い、それに対して、考えを進めるためにこれまでの伝統を変えるような変革を支持する考え方を左翼的と言う。
(あくまでざっくりした自己理解)
いまだに理解が曖昧な言葉。というかあまり覚えるつもりが自分にはない。
保守派、革新派でいいじゃんと毎度ながら思う。

・エレベーターの開閉ボタン
よく見かけるのが「開」「閉」という表記パターンと、「←→」「→←」という表記パターン。
見た目的にも凄く似ているので紛らわしく、意に反して人を挟んでしまい気まずくなること多数のブービートラップ。
最近は「ひらく」「とじる」と、「OPEN」「CLOSE」が一緒に書かれているものも多いのだけど、それでもまだ間違えやすい。
急を要するのが、人が来た時に開けようとして、閉じるボタンを押してしまう間違えなので、閉じるボタンを押しにくく(閉じるボタンを小さく、開くボタンを大きく)したようなデザイン案もあることを知ったときは少し感心した。

・「パイナップル」と「パインアップル」
実は同じものを指す。パイナップルの英語表記がpineappleなので、さらっと読むとパイナップル、pineとappleでの区切りを強調するとパインアップルとなる。
スマートフォンとスマートホンと同じ。単なる日本人の発音の違いでしかない。スマートフォンを略してスマホは変だ!という意見に、確かにとか思っていたけど、結局は同じだったというよくあるお話。

・「はんごうすいさん」「はんごうすいはん」
正しくは飯盒炊爨(はんごうすいさん)らしいですね。子供の頃は“はんごうすいはん”としか聞いたことがなかったような気がしているのだけれど、思い込み補正なのだと今は強く思うようにしている。…はんごうすいさん。しっくりこないな。

・女史(じょし)
ミステリ小説とかで目にすることはあったけど、意味はよく分からないまま流してきた言葉。
意味は「社会的地位や名声のある女性を敬意を込めていう語」。
例えば、セレブ医師タレントの西川先生を西川女史と呼んだりする。

・フローラル
とてもよく耳にするけど、雰囲気だけで今まで過ごしてきた言葉。
「花のようであるさま」という意。
柔軟剤のホワイトフローラルの香りとかは、白い花のような香りということか。へー。

・リノリウム、サナトリウム、アサイラム
知ってどうする? 的な言葉ですが、似たような語感の外来語3種。

リノリウム→建材の一種。床材などに使われる。病院とかのペタペタした床のあれ。

サナトリウム→療養所の英語表記(sanatorium)。芸術的文学やら歌詞なんかによく出てきます。

アサイラム→聖域。避難所を表す(asylum)。バクホンのアルバムタイトルに使われました。

・カタルシス、アイロニー、パラノイア
これまた似た感じの外来語3種。哲学的なやつ。意味的に文学やら歌詞やらに頻繁に使われる。

カタルシス→悲劇による救済。悲しい時に笑える作品よりも、悲しい映画、悲しい歌詞の歌などを聴いた方が、自身の暗い感情が少し楽になるあの不思議な感覚。
※正式な意味は別にあります。正確に知りたい人は調べましょう。

アイロニー→皮肉。相手を賛美しているようで、実は蔑んでいる表現。俗的に言うと嫌味。
「さすがです!こんなに(どーでもいい)細かいことまで取り決めがあるんですね(笑)」みたいな。カッコ内は実際には言わず、言い回しのみで相手を皮肉る感じ。
※正式な意味とは違うかも。正確に知りたい人は調べましょう。

パラノイア→偏執病(へんしつびょう、パラノイア; 英:paranoia)は、物事への執着が強く妄想的である症状を指す。異常な妄想に囚われるが、妄想以外の部分では常人と大して変わらないのが特徴。
ナイトメア・プロジェクトの『一夜怪談』のさとみちゃんみたいな感じか。
※正式な意味とは…略。

・「々」「〃」
上と同じという時に書く文字。手書きだと(楽するために)頻繁に使うけど、パソコンでも時々使いたいこともある。
ちょんちょんと読んでいたけど、もちろんそれだと変換できません。
パソコンからだと“おなじ”で変換できたりする。

・CB(2) +2 +1 +1 0 +2
ウォークマンカスタムイコライザ設定。オフだと物足りなく、けど不自然なのは嫌だという方へ。CBはお好みで増減。
SONY WALKMANの話です。ただし自分としちゃ設定による違いをあまりよく分かっていない。

第三類医薬品、哲学的ゾンビ、フェルメール・ブルーなんてのもあったけど、疲れてきたので断念。気になる方はググってみましょう。
知らないこと、ホントにたくさんある。

2013年・ご

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「ミッドナイトブルー」
今回はオススメ動画集1です。

けっこう前に、新規に作ろうかなと思っていたカテゴリ「WEB」。
その後何事もないまま流れてしまった新カテゴリーですが、もし作られたのなら、WEB上で見つけたオススメ動画紹介なんかをしようかなとか、考えていたわけです。

オススメ動画に関しては、ある程度たまってきたので、この場で雑記として紹介。全2回を予定。
出し渋った結果、古いものばかりになってしまってますが、どれもオススメの動画です。

動画は長さにより、「長編」「中編」「すぐ」に分けてます。
長編:複数回にまたがるシリーズ作。全部見ようとすると時間が掛かります。見過ぎに注意。
中編:単発作ですが、動画時間がやや長めのもの。
すぐ:5分以内の短い動画。お気楽に。

※ニコニコ動画はプレイヤーの右下の「…」でコメント非表示にできます。弾幕で動画が見えないと言う場合は非表示で。

■鉄拳「振り子」
長さ:すぐ
言わずともがなの鉄拳のパラパラ漫画の超名作。まだ見たことない人は絶対に1回は見ておいた方がよい動画です。本気で泣けます。
人生とか、決して止まらない時間とか、いろいろなことを考えさせられてしまう。



■「フカシギの数え方」
長さ:中編
子供向けの教育動画っぽい内容ですが、自体はまさかの方向へと向かい、妙にドラマチック。その結末は衝撃の一言。そして何だこの切なさは……。



■徐々に脱力する物理シミュレーション
長さ:すぐ
何てことない動画なんだけれど、少し笑う。



■【Gero】また外国人が二人でゲーム実況したらこうなった【Toshizo】
長さ:中編
今までで一番笑った動画ってたぶんこれかな。
実はこの動画はシリーズの2回目に当たるもの。1回目が気になる方はそちらもぜひ。
【Gero】外国人が二人でゲーム実況したらこうなった【Toshizo】
Toshizoさんは他の動画も面白い。百物語とか好き。怖いけど怖くない怪談?がお好きな方はそちらもオススメ。
『古伝降霊術 百物語』の実況がやりたくて…夏(マイリスト)



■二十年以上前のパソコンでスト2作ってみた
長さ:すぐ
つまらないのではと思っていたら予想外に笑えた。
「なのだから」、口癖にしたいぐらいだ。



■第7次ゲーム機大戦 ポケモン無双編
長さ:長編
ゲーム機の歴史が学べるシリーズ。マイリストはコチラ→ゲーム機大戦
貼り付け動画は第7作目にあたるもの。もっと最初から見たいという方は第1次を。→ゲーム機戦争
なお、6→7で制作者さんが変わっています。



■√Bestamvsofalltime ▪ Pencilhead AMV
長さ:すぐ
全て手書きによるアニメーション。純粋にすごい。すごすぎる。
アニメの場面転換技法のお手本みたいな動画です。



今回はここまで。次回へ続きます。

2013年・ろく

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「Daruma」
今回はオススメ動画集2です。音楽系(とは言ってもPVではない)が中心です。
2020年東京オリンピックが決定、おめでとうということで、誘致PRフィルムも急きょ追加。東京のPR動画とても素敵でした。

動画は長さにより、「長編」「中編」「すぐ」に分けてます。
長編:複数回にまたがるシリーズ作。全部見ようとすると時間が掛かります。見過ぎに注意。
中編:単発作ですが、動画時間がやや長めのもの。
すぐ:5分以内の短い動画。お気楽に。

※ニコニコ動画はプレイヤーの右下の「…」でコメント非表示にできます。弾幕で動画が見えないと言う場合は非表示で。

■東京2020国際招致PRフィルム Tomorrow begins
長さ:すぐ
今日のニュースはこれ一色でした。2020年東京オリンピック開催。1964年東京五輪から56年ぶりとなるビッグニュース。
そうそうあることじゃない。このタイミングで日本に居れたこと、幸運だったなぁとつくづく思います。みんなみんなですよ。
PR動画は、イスタンブール、レアルマドリードが景観を前面に出していたのに対し、東京のはアスリートを中心に据えていたのが印象的でした。
加えて、日本人だけじゃなく外国人もたくさん出ていたことも好印象。スポーツを通して世界中の人々のハートが溢れていくという、オリンピックの趣旨にぴったりの動画は素敵でした。
朝から何回も流れていた動画だと思いますが、まだ未見の人はこの機会に是非見ておきたい動画です。



■ヨガはにんきもの
長さ:すぐ
クレヨンしんちゃんのOP、「オラはにんきもの」をストリートファイターのSEで構築したもの。
完成度の高さと中毒性の高さが凄い。バルログ(笑)



■バイオハザードでドラゴンボールOP 魔訶不思議アドベンチャー!
長さ:すぐ
ドラゴンボールOP 魔訶不思議アドベンチャー!をこちらはバイオのSEで構築。
ランキングでは上のヨガは…の方が圧倒的に上ですが、個人的にはこちらの方が好きな動画。中毒性はやっぱりやばい。そしてタイラント(笑)



■エヴァンオニオン 手描きOP【エヴァ×ちび●る子ちゃん】
長さ:すぐ
手書きOP。エヴァのOPをちびまる子ちゃんでパロ。完成度の高さが凄かった。
劇場版エヴァの次作、シン・エヴァンゲリオン劇場版:||も楽しみ。



■アメリカ人に「 モザイクロール」を踊らせてみた
長さ:すぐ
ちょっと前(というかもうけっこう前)に話題になった動画。もとは全く別の曲のPVなんですが、違和感全く仕事してません。もう合い過ぎ。
なおこのシリーズ、他にもいろんなバージョンあり。とにかくいろんな曲に不思議なほど合うんです。にも関わらず元々の曲にはいまいち合っていないという非業さ…。
アメリカのロックバンドが踊るダンスがいろんな曲に合うとニコニコ動画で密かなブームに(デジタルマガジン)



■他人の作ったRPGツクールを実況してみた その58 ナオクエ2編・第1回
長さ:長編
RPGツクールという家庭用ゲームソフトで作られたRPGを実況しようというシリーズ。要は市販や公開されているゲームと違い、全くの素人が作ったゲームということです。
今回貼ったのはその中でも脅威というほどの完成度を誇った作品の第1回です。プロ顔負けの演出と構成の練り方です。ただし内容はあれです。かなり下品かつゲス。にも関わらず、何だ、この面白さは。
気に入った方は他作もぜひ。かなり長いシリーズなので全部見るには気合が必要。

RPGツクールシリーズ本編(仮) 佐藤さん実況回から
他人の作ったRPGツクールをやってみた 中村さん実況※本当のはじまりはこれ。



■Legend of Zelda: Pot Smasher
長さ:すぐ
外国人が演じた実写のゼルダ。今まで貼ってきた動画とはちょっと毛色は違う動画。ゼルダ演じてる人が可愛い。



前回は長めの動画もけっこう貼りましたが、今回はナオクエ以外は短い動画なので気軽に見れます。気が向いた時にご覧ください。

オススメ動画シリーズもこれにて完了です。

2013年・なな

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「煙突と空の夜明け」
雑記7つ目。2013年の映画の話と読書の話。
いつもは個別に感想を書いて記事にしてますが、今回はまとめてざっくりいきます。
画像もなくかなり簡単に書いてくので、気になる方だけ気になるものだけ読んでくれれば良いのかなと。

※思いのほか長くなったので、この記事は読書編のみ。

それではまず読書編。
冒頭に「2013年の」と書きましたが、厳密には2012年に読了したものからが対象です。
で、2012年からとなるにもかかわらず大した数にはなっていません。
漫画を含めてこれなのだから、ホント全然本読んでないなぁと思う。

■『のはなし』
伊集院光/宝島社
ジャンル:エッセイ
オススメ度:★★★
伊集院光さんのエッセイです。読んだのは文庫版でイヌの巻、キジの巻。
普段の自分の読書傾向とはかなりずれるジャンルの本なのですが、表紙がポップで可愛かったのと、爆笑問題の大田さんが面白いと絶賛してたので購入した本。
確かにどれも面白くサラっと読める。ちょっとした時にちょっとした気持ちで読むには最適な本には違いない。
けど読後に内容はあまり心に残らない。1年以上たった今としてはまったく内容は思い出せない。

■『悪の教典』
貴志祐介/文藝春秋
ジャンル:小説(ミステリー/ホラー)
オススメ度:★★★★
話題沸騰中の作家、貴志祐介さんの学園バイオレンスミステリー。このミス1位作品であり映画化もされた超話題作。
珍しく文庫版ではなく、一般書版を読みました。上下巻セットでめっさ分厚い。
好きな話かどうかは別として、間違いなく最高峰に面白い小説だった。切ない話でもないのにここまで夢中になれた小説は珍しい。
映画版も分かりやすくエンタメ映画として仕上げられていて良い出来でしたが、もちろん小説の方が物語に詳しく触れている。
残虐描写も濡れ場の過激さも遥かに上。
小説ならではの表現もあり。蓮実の心の揺れがわずかに感じられる、引き返し不能点《ポイント・オブ・ノーリターン》の書きっぷりは文章だからこそ書けたことであり、心にグッと来た。

■『アンデッド 拷問教室』
福澤徹三/角川書店
ジャンル:小説(ホラー)
オススメ度:★★★★
アンデッドシリーズの完結編。巻末の特別付録はネタバレ無しで前作までのおさらいが書かれているので、先に読むのが吉。
内容のグロさは半端ない。史上最強最悪の残虐性を誇る。『悪の教典』の衝撃が可愛く思えるほどだ。苦手な人は絶対に手を出しちゃダメだ。
まったく先の読めない衝撃的な展開が連続する終盤の面白さはなかなかのもの。
物語の結末は意外とあっさりと締められている。それが何ともいえない余韻を残します。

■『空の境界 未来福音』
奈須きのこ/講談社(星海社)
ジャンル:小説(ミステリー/新伝綺/現代ファンタジー)
オススメ度:★★★★
ちょうど未来福音の劇場版の公開が迫っているので、タイミング的にたまたまちょうどいい。
なおタイトルは、からのきょうかい みらいふくいん と読みます。そらのきょうかいみらいふくおんと読むと間違いまくりなので恥ずかしい。
前作『空の境界』は読む人を選ぶだろうなーと思うほどの読み難さだったけれど、この小説はそんなこともなく、誰でも抵抗なくすんなり読めそうなライトなものになっている。
倉密メルカの意外な設定には驚く。この辺り、やはり物語構成のさせ方が相当に上手い。
あらかじめ伏線を想定して行動できてる黒桐幹也が地味に凄い。

■『ベルセルク』36巻〜37巻
三浦建太郎/白泉社
ジャンル:漫画(ダークファンタジー/バトル)
オススメ度:★★★★
日本屈指の暗黒系ファンタジー漫画。巨匠と言われる方の漫画の展開の遅さはもう致し方ないのか。いまだ妖精島に着かず…。
それでも今回は37巻で海神編完結となっており、一区切りついているので、37まで読めば途中途切れ感はない。
シリーズのクライマックスの盛り上がり方は良かった。ストイックなガッツと個性豊かな旅の仲間との船路は思いのほか読ませる内容でした。
まだしばらく船路は続きそうな感じが恐ろしくしますが、個人的にはイスマがもうしばらく同行してくれそうなのは嬉しかった。

■『夏への扉』新訳版
ロバート・A・ハインライン/早川書房
ジャンル:小説(近未来SF/ミステリー)
オススメ度:★★★★
「猫を愛するすべてのひとに」という帯文句に惹かれて買った本。
その文句に偽りはなく、物語のメインとしては近未来のタイムトラベルSFなんだけれど、所々で描かれる主人公の飼い猫ピートに対する描写は、間違いなく猫に対する愛があってのものだ。筆者は確実に猫が好きなんだなぁということがしっかり感じられる。
印象的だったのがピートが悲嘆に暮れるシーンで、そのシーンはホントに切なかった。
未来を扱ったSF作品では多くの場合、暗い未来や人類への警鐘が描かれることが多い。けれどこの小説は違っていた。未来の世界に対する希望や人類への信頼が強く感じられる物語になっており、なかなかに素敵。
猫に対する愛と未来に対する希望がしっかり感じられる物語の締めは純粋に良かった。

■『サイコメトラー』1〜6巻
安童夕馬、朝基まさし/講談社
ジャンル:漫画(ミステリー/サイコ系)
オススメ度:★★★★
少年誌マガジンで連載されていた『サイコメトラーEIJI』の純粋なる続編。青年誌に連載場所を変えて復活。
昔々、EIJIのコミックスを読んでいた自分にとってちょっと嬉しい事態だった。
ぶっちゃけそこまで質の高いミステリー漫画じゃない。かつ、作者はけっこうあっさりと鬱展開を書いてしまう二人なんで、その辺は覚悟の程を。
けどEIJIの世界観が好きだった方はぜひにご一読下さい。エイジ、志摩さん、トオルや裕介、恵美ちゃんなどおなじみのメンバーはもちろん、あのみっちゃん(福島満)までもが準レギュラー化。またオタク系ド変態(自粛)…。
それにしてもBreakのみっちゃん回、完全に遊んでますよね、この漫画って。

■『遠まわりする雛』
米澤穂信/角川書店
ジャンル:小説(日常ミステリー/青春)
オススメ度:★★★★
古典部シリーズ。アニメ化もされかなり話題になりました。
古典部の1年を描いた本作。前3作の間を繋ぐエピソードや、さらにもっと前の話、そしてその先(文化祭後)の話が入ってたりと何ともお得な作品。
物語はまた折木奉太郎視点で進めるというオーソドックスな形式へと戻っています。折木視点だと福部里志とのエピソードが増えて、伊原摩耶花のエピソードが減るのは致し方ないのかも。
また折木と共に全話に登場する千反田えるのエピソードも多い。
この巻で描かれている千反田に対してはけっこう以外な一面を感じる。名家の令嬢であることを意識してるんだなーとか。
ごくごく自然に古典部の面々の関係の変化を描いているこの作品、上手いし、面白かった。

■『iKILL』
渡辺浩弐/講談社(星海社)
ジャンル:小説(ミステリー/ホラー)
オススメ度:★★★★
iKILLシリーズ第1弾。基本シリーズものはまとめて書いてきたのですが、これは2があまりにも別物に変わっているため分けます。
ここまで凄惨な小説は久しぶりに読んだかも。
文章は読みやすく軽い文体なので、おぞましさは薄いような錯覚を受けるけれど、描かれている内容は相当にエグい。そしてグロい。
最初はそこまで引き込まれて読んではなかった。何というか苦手な内容だという印象が若干あった。
けど中盤(「3.中の人などいない」)あたりからだいぶ夢中になって読んでいる自分に気づく。
「4.殺し屋には顔がない」はもう一気に最後まで読み切った。
ある種受け入れがたいところは確実にある。けど面白かったということは確かだ。
だいたい小説なり漫画なりは登場人物の魅力に惹かれてハマるのだけれど、iKILLの主人公の小田切はさほど好きになったとは言いがたい。こういうケースは珍しい。

■『ヒストリエ』7〜8巻
岩明均/講談社(アフタヌーンKC)
ジャンル:漫画(歴史/ドラマ)
オススメ度:★★★★★
今、全ての漫画家の中で、岩明均がトップクラスの演出力を持った漫画家であることは疑いようがない。
特にセリフによる説明のない、人の表情だけの描写で、これでもかというほど強烈に、その人物の心情を胸に突き刺すことの出来る表現力の上手さは凄まじいの一言。おそらくこれを岩明さんよりも上手く描ける方はいないだろう。間のとり方も完璧だ。
中でもヒストリエの第3巻については、僕がこれまで読んだ漫画の中でもっとも衝撃と感嘆を受けた巻である。それはこの先も変わらないんじゃないかと思ってる。おそらく演出の上手さでこの巻を超え得る名作は、そうそうに出ない。
7巻はアレクサンドロス王子の話がメインで描かれ、8巻は本格的に始まったマケドニアの戦争の話が描かれる。
どちらも書記官である主人公エウメネスの活躍はまぁ地味で、歴史の教科書を読んでいるような、けっこう真面目な内容がメインです。それでも描写には迫力があり、読み応えもしっかりあります。
注意点として。7巻は子供に読ませたら絶対にダメだ。7巻は子供に読ませたら絶対にダメだ。(大事なことなので2回)
子供が間違って見たらトラウマ抱えるレベルのグロい描写が、岩明均の恐ろしく高い演出力で描かれる。何故このシーン、こんなにページを割いてじっくりグロく書いたんだぁー。

■『タイムカプセル』
椙本孝思/アルファポリス
ジャンル:小説(ミステリー)
オススメ度:★★★
鬼才・椙本孝思の小説にしてはわりと普通のミステリーだった。
もちろん十分に面白いとは思うのだけど、椙本さんの小説にはもっと衝撃的な何かを期待してしまう。だからか少し物足りない。
グロ描写や気持ち悪い描写はないので手堅く万人受けはする内容ではあるのだけれど…。
犯人の動機があまりにも無茶過ぎて「うーん」と唸ってしまう結末は少し微妙。
キョウスケとかもっともっと物語に絡んできてほしかったのだけどね。そしてヨウジは一体…。

■『ゴーストハント1 旧校舎怪談』
小野不由美/メディアファクトリー
ジャンル:小説(ホラー/ミステリー)
オススメ度:★★★★
著名なゴーストハントシリーズの第1弾。
純粋に面白かった。登場人物の魅力がとにかく高い。
主人公の麻衣視点で進んでいく物語は、読んでてすごく楽しい。親近感がわく主人公だと思う。
ホラー・ミステリーとして先が気になる展開も面白かった。
ホラーだけど怖くはない。また最近のホラー作品に多い“切ない”ホラーでもない。けど読んでて楽しい。怖くなく楽しいホラーというのも貴重な気がする。
読んだのは完全版ということで本の装飾がとっても豪華だった。電気を消すと表紙のイスが浮かび上がります。あと旧校舎怪談の文字もぼぉっと光る。すごい。

■『インフレーション宇宙論―ビッグバンの前に何が起こったのか』
佐藤勝彦/講談社(ブルーバックス)
ジャンル:教養(科学/テクノロジー)
オススメ度:★★★★
扱っている内容はかなり難しい物理の話だけれど、かなりやさしく書かれている。
なので読んでいて嫌になってくるということはなかった。
内容を理解できたかというと、かなり怪しいのだけれど、イメージすることはできたと思う。
宇宙の誕生から終焉までを扱った内容は興味深かった。それを現代の科学では物理学の論理で説明できるようになった(まだ未解明の部分はこれから)というのは純粋に凄いと感じた。
いつもは小説ばかり読んでいるけど、たまにはこういう知的好奇心を満たす本を読んでみるのも面白い。
個人的に感銘を覚えたのは、物理の話とは違って申し訳ないけど、作中で触れられていたチャーチルの言葉だった。
This is not the end. It is not even the beginning of the end. But it is, Perhaps, the end of the beginning.
これは終わりではない。終わりの始まりでもない。始まりの終わりなのだ。
最初は何のことかよく分からなかったが、よくよく考えてみると良い言葉だと思う。
例え大きな一区切りがつくところまで達したとしても、それで終わり(完成)というわけではない。通過点を過ぎただけでまだ先は広がっているという意味の言葉だ。
(…なんかこの本の感想というより…。まぁいいか)

■『Self-Reference ENGINE』
円城塔/早川書房
ジャンル:小説(SF/?)
オススメ度:★★★
初めて読んだ円城塔の小説。本当にジャンル分け不明の小説だ。
繊細な感じのSFという印象が強いけど、SFとは言い切れない何かがある。純文学っぽくも哲学っぽくもある。コメディテイストの章もある。
時系列が過去から未来というわけではなくどこでも可という極めて不思議な章立てに、同じ登場人物でも役回り、記憶、対人関係の全てが統一されてるわけでもないアナザーワールド的な世界観に、読んでてとにかく不思議な気持ちになる。

内容はよく分からないのだが、何だか面白い気もするし、訳わからない気もする。

第一部Nearsideでは無感情な印象が強い巨大知性体が、第二部以降やたら人間臭くなってくる。
全体的に繊細なテイストの作品だけど、中には「07 Bobby-Socks」や「09 Freud」、「15 Yedo」などやたらとコメディテイスト、真面目なんだけど真面目じゃない話もあったりする。
エピローグはとてもかっこいい印象を受ける。

■『死人を恋う』
大石圭/光文社
ジャンル:小説(ホラー)
オススメ度:★★★★
この本はたぶん今まで読んだ中で一番やばい。面白くはあったけれど内容が内容なだけに人に薦めることははばかれる。というか言えない。
だって死体の女性を犯す話だからだ。命の尊厳なんてあったもんじゃない。女性が読んだら確実に引くぞ。
主人公の青年は、自身を人とは決定的に違うヤマネコのような生き物と思っているけど、結局のところは孤独で満たされていない人間でしかないように感じる。だからと言って魅力も好感も感じることはない。考え方は極めて危険でやばい。「ああっ」というセリフが若干キモい。

この小説、禁断なものを読んでるようで背徳感が凄まじい。加えて内容が超“鬱”と言っていいほど昏くて重い。けど不思議なことに読み始めたら止まらなくなる。
ホラーだけど怖くはなかった。ただただ内容がやばかった。誰かがこんな本を読んでるのを知ったらその嗜好を疑うレベルの内容なんだけど、面白かったのは確かなんだよな。

■『支那そば館の謎 裏京都ミステリー』
北森鴻/光文社
ジャンル:小説(ミステリー/京都)
オススメ度:★★★★
裏京都ミステリーシリーズの第1弾。故・北森鴻さんのユーモア溢れる作品なのでぜひにも読んで欲しい小説。北森鴻さんは大好きな作家さんのひとりだ。
内容はとにかく粋なミステリーという感じで面白かった。京都の人情溢れるような赴きがあって小気味良い。
有馬次郎、折原けい、碇屋警部、バカミス作家ムンちゃんといった個性豊かな面々で展開されるミステリーが楽しい。
少しダークな印象もある主人公の有馬次郎に対し、折原けいとムンちゃんの個性が強すぎる。けど不思議と良バランス。そこに落ち着き達観したご住職が加わってほぼ完璧な人間模様ドラマとなっている。
やり取りが楽しく、相変わらず料理描写もとても美味しそう。北森鴻さん得意のほろ苦さは殆ど無いけど、こういう楽しく小気味良い小説も良かった。
ライトなミステリーなので読みやすく誰でも楽しく読めそう。

■『iKILL2.0』
渡辺浩弐/講談社(星海社)
ジャンル:小説(ミステリー/ホラー)
オススメ度:★★★★
iKILLシリーズ第2弾。まさかの横書き左開きの本。なので縦書き右開きに慣れているとけっこう読みにくい。物理的に。
あまり紙の書籍に向いていない形式だと思っていたら、もとはメール配信コンテンツだったらしい。
iKILL1とはだいぶ雰囲気が変わっている。だいぶというか、むしろ別物といっても過言ではないぐらい変わってます。
前作は登場人物が語り手となるいわゆる“物語”の形式は保っていたけど、今作はぜんぜん違う。自分(読み手=あなた自身)に宛てられたメールを読んでいるような感じになっている。少しモキュメンタリー風で面白い。

先へ読み進めるのにこれほど抵抗を感じる本は少ない。読み進めることに後ろめたさを何だか凄く感じる。それほどまでに内容は危険でかつ残虐。けれど読み止まらなくなってしまう。
相当に面白い内容ではあることは確かで、今までにない感じの小説だと思う。
ラストは史上最大最悪に後味が悪い。結末が悲しいとか救いようがないとかそういう次元とは全く別物でとんでもない物語の終わらせ方をしている。
このバージョンアップ、マジで危険過ぎる……。

■『イニシエーション・ラブ』
乾くるみ/文藝春秋
ジャンル:小説(ミステリー/青春/恋愛)
オススメ度:★★★★
どこがミステリー?というぐらい全く普通の恋愛小説だったのが、最後まで読むと一気に物語が別のものへと変貌する。
これは確かに騙されてしまうな。
言ってしまえば主人公は鈴木じゃなくて彼女なんですね。で、AとBを読み終えた時点ではハッピーエンドだと思っていたけど、実はAとBに重なりがあることを考えると、彼女の驚きの一面が浮かび上がってくる。これはこれで何だか恐ろしいや。
以前読んだ『リピート』の時も思ったけど、乾くるみさんの小説の主人公ってあまり魅力的に感じない。今作でも一応の語り手である鈴木がどうにも好きになれない。Aでは純粋っぽいがどこか偽善っぽくて女々しい。Bでは自覚なしの自己中と自己陶酔と、あとはネタバレなので書けない読んだ通りの罪を犯すので単純に嫌な奴となる。何か背負うものとか押し殺すものがあれば違った気もするが、そういうのが無かったから、魅力は低い。
Bの石丸さんも性格良いとは思えない。登場人物の中だとマユが一番性格が良いと感じるのだけど、前述した通りABの重なりを考えると……。とにかく驚かされる。
『イニシエーション・ラブ』は正統派に技巧でよく出来ているけど、どちらかと言うと反則技の『リピート』の方が衝撃度は上だった。
とか感想メモには残されていたけど、やっぱり『イニシエーション・ラブ』の圧倒的に完成度が上だ。後から来るな。じわじわーっと。

■『雷の季節の終わりに』
恒川光太郎/角川書店
ジャンル:小説(ホラー/ファンタジー)
オススメ度:★★★★
とても読みやすく、穏やかで透明感のある筆致が好印象。好きな作風に思う。優しい印象が全編にあるのも好き。
純和風というわけではないが、どこか和のテイストのあるホラーファンタジーというのは少し新鮮で面白かった。
明らかに異世界の話である賢也の物語と、現代風の茜の物語。この2つの異なるサイドの物語を最終的に「なるほど」と思わせるように構成してあって上手い。

■『1999年のゲーム・キッズ』上・下
渡辺浩弐/講談社(星海社)
ジャンル:小説(ショート/近未来SF)
オススメ度:★★★★
この短いサイクルで渡辺浩弐の小説をこれだけ読んでるのを鑑みると、やっぱりハマったんだろうなー。『iKILL』に。
1話1話が本当に短いので物足りないような気もするけど、1冊全体としてはけっこうなボリュームなので読み応えは割りとある気もする。
少し不思議な近未来SF。気楽にさっくり読めるのでちょっとした時間つぶしにはもってこい。
1話当たりのこの短さの中でけっこうどんでん返しを狙った作品も多く、飽きは来ない。ただ中には「え?どういうこと?」という話もあったりする。
なおエピソードは暗い&残酷な内容なものがほとんどなので、もしかしたら読み手は選ぶ作品なのかもしれない。

各話の読後感は暗い内容にも関わらず意外とライト。ただし最終話の第101話「1999年のゲーム・キッズ」に関しては衝撃的なまでに鬱。要注意だ。
収録されていた作品で印象深かったのは第62話「ザ・自殺ショー!」と第88話「嘘つき」。
「ザ・自殺ショー!」はバラエティ番組のノリで明るく語られていく物語だけど、それとは真逆の“僕”の心情が伝わってきて悲しさが半端ない。
「嘘つき」は何が嘘なのかは最後にわかる。その嘘が分かった時の何とも切ない感情は不思議な温かみがある。
この2話、どちらも直接的な描き方は一切してなく、書いてないことが読み手に伝わる描き方になっている。上手い描き方だと思う。

■『バジリスク 寄生生物』
椙本孝思/角川書店
ジャンル:小説(ホラー/ミステリー)
オススメ度:★★★
椙本孝思のホラーには虫の気持ち悪い描写がよくある。この小説はタイトル副題に寄生生物、帯コピーも戦慄のバグズホラーなので、虫の気持ち悪さを前面に押し出したホラーなのだと思わされるが、実は意外にもそうでもない。虫の気持ち悪さはそんなに強烈な印象として残らない。
…とは言え、物語は人喰いという異常殺人者が多発する気持ち悪めの内容なので読み手は選びそう。読後感も全体的に悪い。
だからやっぱり虫嫌いな人はこの本に手を出しちゃダメ。

物語は後半に進むにつれ意外な方向へと疾走する。一話完結の単発ホラーと思いきや、実は連作だったりする。
「徘徊老人」の意外な結末にはただただ驚かされる。
残念なのは終章「寄生生物」の物語の終わり方があまりにもすっきりしない点だ。
ラストを余韻の残る衝撃で終わらせた『THE QUIZ』や『時間島』に比べると、正直微妙な作品。

■『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet』
桜庭一樹/角川書店
ジャンル:小説(ミステリー/青春)
オススメ度:★★★★★ +お気に入り作品
久しぶりに読んだ桜庭一樹さんの小説。
以前読んだ『少女には向かない職業』と同様に弱い少女を主人公として切実な物語が描かれる。
彼女たちは弱いとは言っても、自ら弱いことを受け入れているのではなく、何とか耐え抜こうと何とか誤魔化し強ぶっている。けれど大人に比べたら主人公の二人はどうしようもなく無力でしかない。そんな切実なドラマはズキリと胸を打つ。
さばさばした描写の中に、繊細さを強く感じる。
この話の結末の重さはあまりにも悲しすぎる。実は結末は冒頭で明らかになっているのだけれど、それでもやはりこれは悲しすぎる…。
1.砂糖菓子の弾丸とは、なかよくできない
2.砂糖菓子の弾丸と、ふたりぼっち
3.砂糖菓子の弾丸とは、もうあえない
この各章のタイトルが単純なようでいて、すべてを語っている。このタイトルから想像した通りのことが描かれ、それ以上の衝撃を読み手に与える。
悲しい時や泣けない時は、何でだろうか悲しい物語を読みたくなる。安易なご都合主義のお涙頂戴の悲劇だと辟易してしまうけど、この小説は自然で繊細な物語の中に悲しみを盛り込んでいるのだから流石。各方面からの高い評価もうなずける名作だと思う。
今回はやらなかったけど、もしブログdeビュー大賞の小説編をやったら、この作品をおそらく1位にしてたかな。たぶん。

■『ジウ』(2、3)
誉田哲也/中央公論新社
ジャンル:小説(ミステリー/警察)
オススメ度:★★★★
1の感想は以前書いたので略。
1が物語の始まりを主人公でありダブルヒロインである門倉美咲と伊崎基子で描いた“起”の内容だとすると、2は事件の黒幕側である裏社会の物語を描いた“承”の内容で、3巻中で最も描かれている内容はヤバ目。3は“転”と“結”を一気に描いたようなクライマックスで、怒涛の盛り上がり方を見せる。
現実味(リアリティ)という面では、ほぼ説得力はないのだけれど、エンタメ小説でここまで面白くなっているのだから申し分はない。
最後まで一気に読ませる展開でグイグイと惹きこまれてしまいます。
どこか硬派なイメージがどうしてもある警察小説で、主人公を女性でWヒロインとしているのは、今までにない警察エンタメ小説として楽しめた気がする。
正直警察小説はあまり好きなジャンルではないのだけど、誉田哲也の警察小説なら抵抗なく読んでいける。
ジョーカーの正体の盛り上がら無さと、タイトルにまでなっている“ジウ”の存在の薄さは少々残念。けどそれを補って有り余るほど主人公2人の魅力が強く出ていて良かった。個人的には門倉美咲より、伊崎基子の方が好きかな。東は普通。

…あ、長くなってしまう。というわけで、映画編はまた次回。

2013年・ななのに

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「白鷺」
雑記7−2。前回が思っていたよりも長かったため分割。
今回は現時点までの2013年の映画の感想のまとめ。
駆け足かつ簡単に書いているので、気になるやつだけさらっと読みで。

感想の書き方としては、まずタイトル、監督、キャスト、ジャンルの映画情報。
続いて個人的なおすすめ度。(満足度とも言う)
★印が今までのレビューと同様に、鑑賞後に直感で決めているおすすめ度。カッコ内に書いている数値は、今年はストーリーや映像といった個々の内容についても評価をしているので、その重み付き平均。ストーリー、演出、登場人物の評価が高いと優遇されるような重み付けで算出してます。
その下に書いてるのが、僕個人が勝手につけた映画のポイントです。
で、最後に感想。
こんな感じで書いています。

それでは観たやつの感想をざっと。

■『のぼうの城』
監督:犬童一心、樋口真嗣
キャスト:野村萬斎、佐藤浩市、榮倉奈々、成宮寛貴、山口智充、上地雄輔、ほか
ジャンル:時代劇
オススメ度:★★★ (3.23)
・演技達者なキャストが揃っている点
・史実をもとにした話

キャスティングは豪華で良かった。佐藤浩市さんをはじめとする演技達者な方が揃っていて大変魅力的。
ただし主人公ののぼうがそれほど魅力的に感じなかった。もっとスマートな策を練る人物を想像していたけど、わりと後手後手の策ばかりだったようにしか思えない。
石田三成には不思議な魅力があった。最初は小心者に思えるが、最後まで見ると評価が変わる。
「・・・である」というナレーションが個人的にはちょっと微妙。何というか真面目で堅い。
娯楽作品としての出来栄えは良い。分かりやすく楽しめる。


■『フランケンウィニー』
監督:ティム・バートン
キャスト(声):チャーリー・ターハン、キャサリン・オハラ、マーティン・ショート、マーティン・ランドー、ほか
※吹替版:吉永拓斗、湯屋敦子、宮本侑芽、平川大輔、近藤春菜、箕輪はるか、ほか
ジャンル:アニメ/ファンタジー
オススメ度:★★★★ (3.88)
・優しいダークファンタジー
・スパーキーの可愛さ

シンプルで分かりやすい構成。これぐらい分かりやすい作品の方が個人的には好き。
物語はティム・バートン監督らしい、少し優しいダークファンタジー。
ラストはバートン監督ならばこその締め方という感じすらする。
「死んだ人は戻ってこない」という絶対的な事実を安易に壊すのは良くないという意見もあるかもしれないけど、こういう終わり方があっても良いと思う。
スパーキーの犬っぽさが本当に可愛い。犬好きだったら絶対に心に訴えかけてくるものがある。
モノクロのストップモーション・アニメは味がある。
造形美は気味悪いような可愛いような。段々愛おしく感じられるような不思議で味のある造形だった。


■『レ・ミゼラブル』
監督:トム・フーパー
キャスト:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、ほか
ジャンル:ミュージカル/ドラマ
オススメ度:★★★★★ (4.88)
・大ヒットミュージカルの映画化
・豪華キャスト

圧倒的スケールで見事な大河ミュージカルに仕上げている。
とにかく感動できた。悲しさと歓喜で一杯になるラストは、他の作品とは格の違いを見せつける圧倒的な沸点の高さを誇る。
ラストの修道院からの演出は神がかっている。アンの再登場とかは鳥肌が立つ。
歌も良いよね。
ミュージカルに慣れてないと、歌で進行していく流れにどうしても違和感を感じてしまうが、重厚な物語に圧倒されていくにつれ気にならなくなってくる。
歌も演技もうまい役者が集結していて、これ以上ないぐらいの豪華さ。
ジャン・バルジャンとジャベールの因縁の関係性、ファンテーヌの存在感、コゼット登場後の愛の物語などすべてが完璧。
エポニーヌの片思いの愛に切なさで一杯になる。


■『LOOPER/ルーパー』
監督:ライアン・ジョンソン
キャスト:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブルース・ウィリス、エミリー・ブラント、ピアース・ガニォン、ほか
ジャンル:SF
オススメ度:★★★ (3.23)
・新しい感覚のSF
・ブルール・ウィリスのグレ感
・批評家の評価が高い作品

SFアクションミステリーとしてはまま面白い。じゃっかんブルール・ウィリス登場までダレ感がある。
終盤の結末はけっこう意外。まさか未来の自分の方が悪役となっていくとは。
現在の自分の行動が即未来の自分(ブルース)に影響が出るというのは面白い。結末もその設定をうまく生かしている。
ラストは切ない。あれほど自分本位だった主人公が初めて誰かのために自らを犠牲にするのだから。
シドを演じている子の不気味さと恐怖、危うさは上手かった。
未来のジョーを処刑し30年経過させるのは斬新。そこから30年後の自分が過去へ戻るドラマまで描くのは斬新。
ジョーがハゲ衰えていくのはある意味切ないって。


■『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
監督:アン・リー
キャスト:スラージ・シャルマ、イルファン・カーン、レイフ・スポール、ほか
ジャンル:ドラマ/ファンタジー
オススメ度:★★★★ (3.92)
・美しく幻想的な映像
・獰猛なトラとのスリリングなサバイバル
・超過酷過ぎる漂流生活

前半は少しだけ退屈かも。ただし漂流が始まってからは一気に釘付けとなる。
映像は圧巻。水の透明感やパイとトラしかいない孤独さを感じさせる海の広大さ、襲いくる自然の猛威など、時に美しく、時に恐ろしく、時に大迫力で美しく描き出している。
予告編にもあった鯨が飛び上がるシーンとか、その前の光る海のシーンも含め幻想的で美しい。
獰猛なトラとの旅のスリルといったらない。もうドキドキする。
けど次第にやせ衰えていくトラの姿が切ない。
主人公パイの打たれ強さには尊敬を覚えてしまう。
すっかり弱ってしまったトラを撫でながら「僕達はここで死ぬんだ」というシーンは切なかった。
こんなにも突飛な冒険譚なのに、トラとの別れのシーンがそっけなく、意外なほどリアルな物語に感じた。
作家の言葉の通り、確かに言葉にならないという感想が的を射てると思う。


■『96時間/リベンジ』
監督:オリヴィエ・メガトン
キャスト:リーアム・ニーソン、マギー・グレイス、ファムケ・ヤンセン、ラデ・シェルベッジア、ほか
ジャンル:アクション/サスペンス
オススメ度:★★★★ (3.57)
・大人なハード・サスペンス・アクション
・リーアム・ニーソン

映像はなかなかセンスが良くて綺麗な感じで良かった。
内容は予想以上にハード。ラストのブライアンの選択など、このハードな映画ならでは。
意外とブライアンも冷酷非道な感じがする。警官殺してるしさ。
ブライアンの凄さは相変わらず感じる。どんな時でも冷静、でも内に秘めた怒りをピリッと感じたりと、ニーソンの上手さが所々に光る。
ブライアンの強さも良い感じ。完全無敵というわけではないけど、強い強い。
少し思うのが、今回の話って、娘が協力してくれなかったらジ・エンドだったんじゃ…。
ブライアンの徹底した追跡、相手の上を行く感は前作より少し下回ってる。
概ね満足できる内容。緊迫感などはなかなか高くてドキドキできる。


■『テッド』
監督:セス・マクファーレン
キャスト:マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス、ジョエル・マクヘイル、ノラ・ジョーンズ、ほか
ジャンル:コメディ/ファンタジー
オススメ度:★★★★ (3.38)
・大人ありきの子供向けテイスト作品
・下ネタ満載
・テッドのエロ・かわいい・渋い・ダメ・良い奴っぷり。

下ネタと麻薬の描写さえなければ、子供に見せても遜色のない感動作。
テッドとジョンが本当に無二の親友で素敵だ。永遠の親友だ。
可愛い外見とは裏腹に中年エロオヤジキャラのテッドのギャップが可笑しい。
テッドが意外なほどに良い奴だった。本当にジョンのことを大切に思っている。
テッドとジョンの喧嘩シーン、テッドが意外なほどに強い。
ラストはまさかの感動的な締めとなっている。
ストーリーはけっこう地味で定番な筋書きを辿る。
何かに似てると思ったら、そう、アルフに似てるんだよね、雰囲気が。


■『アウトロー』
監督:クリストファー・マッカリー
キャスト:トム・クルーズ、ロザムンド・パイク、リチャード・ジェンキンス、デヴィッド・オイェロウォ、ほか
ジャンル:サスペンス/アクション/ミステリー
オススメ度:★★★★ (3.46)
・トム・クルーズのアクション
・硬派なハードボイルド・ミステリー・サスペンス・アクション

かなり硬派なハードボイルド作。目新しさはないけれど作りはしっかりしている良作。
ミステリ・サスペンスものが一転してアクションに変わるカーチェイスシーンは迫力があってドキドキした。
しかもこのカーチェイスシーン、けっこう長めに尺が取られている。トムの振りきれたチェイス、かっこ良い。
終盤の銃撃戦もド直球のアクション全開で迫力があった。スタイリッシュではなく泥臭い。けどそれが良い。
老兵の支援がまた素敵だ。
映画宣伝だとトム=悪役を推していたけど、この作品のトムはそんなに悪役っぽい感じはしない。
むしろ正義感溢れる男な印象。
悪役なトムといえばやっぱり『コラテラル」だよね。


■『ダイ・ハード/ラスト・デイ』
監督:ジョン・ムーア
キャスト:ブルース・ウィリス、ジェイ・コートニー、セバスチャン・コッホ、ユーリヤ・スニギル、ほか
ジャンル:アクション/サスペンス
オススメ度:★★★ (3.19)
・ド派手なクラッシュ映画
・ブルース・ウィリス=ジョン・マクレーンの無茶っぷり

派手さは認める。爆発シーンやらクラッシュシーンなどの迫力はあり、数もとにかく多い。
けど、とにかく中身が薄い。
親子の絆を描くドラマ面はほぼおまけ程度で、とにかく何かが大破するシーンの連続の映画。
ジョン・マクレーンがノリノリで暴走しまくっている気がするのだけど…。
正直マクレーンのついてない男感はあんまりない。あんたノリノリでしょ。
ラストは良い感じに締めているけど、感動するわけではない。


■『ジャンゴ 繋がれざる者』
監督:クエンティン・タランティーノ
キャスト:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、サミュエル・L・ジャクソン、ほか
ジャンル:アクション/西部劇
オススメ度:★★★★ (4.03)
・タランティーノ流、マカロニウエスタン
・痛快なバイオレンス・アクション

意外にも面白い。ストーリーは痛快で良かった。
やたらとブルージーな音楽、「ジャンゴォ〜♪」不思議と哀愁すら感じる。何だろ、これ。
タランティーノらしい独特のドロっとした血しぶき描写。鮮烈な赤ではないのでそこまでスプラッターという感じはしない。
登場人物は魅力ある。特にシュルツの魅力がすこぶる大きい。
キャンディの握手に「我慢できなかった」と言うセリフといい、その後のあまりにも呆気ない最後といい、演出の妙が効いている。
どこか控えめなジャンゴも好き。最終的に気取った感じになるけれどそれでもどこか控えめな印象が残る。おそらく自分のキャラに合っていないキャラなんだろうな。
悪役を演じたディカプリオも雰囲気があった。あくまで軽い雰囲気の極悪人。
確かにマカロニ・ウエスタンかも。「荒野の七人」とかに通じる雰囲気がある。


■『キャビン』
監督:ドリュー・ゴダード
キャスト:クリステン・コノリー、クリス・ヘムズワース、アンナ・ハッチソン、フラン・クランツ、ジェシー・ウィリアムズ、シガーニー・ウィーヴァー、ほか
ジャンル:ホラー/SF
オススメ度:★★ (2.50)
・予測不可能な衝撃展開
・悪ふざけエンタメ・ホラー
衝撃のラストというものには2パターンあるんだなと実感。ひとつは全てをひっくり返すろんでん返し。もう一つが前提をぶち折る超展開。この映画は後者の典型。
確かにこんなラスト、絶対に予測不能だわ。
かなり悪趣味な物語は嫌いな人は確実に嫌い。
かつ、映像もかなりグロく気分が悪くなる。加えて見せ方もセンスが悪い。
サスペンス、ホラー演出はなかなか上手い。なので観ていてけっこうドキドキして怖い。
けどすかしもけっこうあって微妙な気分。狼とか無駄に怖くさせすぎだろう。
マーティンの意外性はありかな。普通に考えると知名度でまさるヘムズワースの方がいい役だろうと思ってしまうところがミソ。
ヒロインを演じてた娘はなかなか可愛かった。


■『フッテージ』
監督:スコット・デリクソン
キャスト:イーサン・ホーク、ジュリエット・ライランス、クレア・フォーリー、マイケル・ホール・ダダリオ、ほか
ジャンル:ホラー/サスペンス
オススメ度:★★★ (3.42)
・心を破壊するホラー
・凄惨

久しぶりに観た映画。映画リハビリには刺激が強すぎる内容。
怖さは尋常じゃない。青ざめてしまうぐらいに怖い。
結末も恐ろしいまでの鬱。そのあまりの内容に劇場出る時は顔面蒼白だったかも。
お化け屋敷ムービーではなく、精神的に追い詰めてくるホラー。
結末はオカルト展開へと進む。ちょっと意外かも。
フッテージ(8mmフィルム)に記録された惨殺映像が衝撃的過ぎる。そして超鬱に…。
「芝刈り機」とタイトルされた惨殺映像、やばすぎるって…。
トラウマを抱えるレベル。はっきり言ってPG12どころじゃないと思うのだが。
サスペンスホラーとしての演出は大変に上手い。不安な気持ちの煽り方は近年では随一の完成度。


■『DRAGON BALL Z 神と神』
監督:細田雅弘
キャスト(声):野沢雅子、山寺宏一、森田成一、堀川りょう、八奈見乗児、中川翔子、ほか
ジャンル:アニメ/アクション
オススメ度:★★★ (3.23)
・正真正銘ドラゴンボールワールド
・世界標準語「かめはめ波」

原作者である鳥山明がストーリーに関わっているので、正真正銘ドラゴンボールのアフターストーリーということになるのか。
雰囲気としては、魔人ブウ編以後のバトルに関して強さのインフレが振り切れてしまっている、コメディチックなドラゴン世界。
破壊神ビルスがもっと悪の存在っぽく描かれていると思っていたけど、何かそうでもない。明らかにフリーザやセルとは一線を画す存在として悟空と対峙している。この辺り、流石は神ということか。
超サイヤ人ゴッド、ネーミングはもとい、細くなるってどうなのか…。かっこいい…のか?
超サイヤ人の神という設定や、5人の力を注いでやっとなれたゴッドに自力でなれる悟空とか、展開が凄すぎて驚きの声が上がる。リアル志向な世界観のアニメが増えた中でこういう作品はある意味貴重。
悟空の性格が変わっていないだろうかとちょっと思う。
主役は悟空だけど、MVPはやっぱりベジータだよね。地球を護るためプライドを打ち捨てた王子、可笑しかった。意外と常識的対応ができる。
酔ってる悟飯も可笑しかった。
セル戦後に「もう二度と会うことはないだろう」と去っていった天津飯、魔人ブウ戦にも参戦していない彼が、ブルマの誕生日には駆けつけている事にちょっと驚き。
エンディングはドラゴンボールの歴史を凝縮したような仕上がりで良かった。ドラゴンボールコミックの完全版、少し欲しくなるな。
全体的にギャグチックだけど、最後のビルスと悟空の対決はスピード感があってなかなかかっこ良い。
正しい心を持ったサイヤ人は悟飯と悟天だけ。ピッコロさん、何という親バカ発言を…。


■『リンカーン』
監督:スティーヴン・スピルバーグ
キャスト:ダニエル・デイ=ルイス、サリー・フィールド、デヴィッド・ストラザーン、トミー・リー・ジョーンズ、ほか
ジャンル:ドラマ/伝記
オススメ度:★★★ (3.19)
・アカデミー主演男優賞受賞のダニエル・デイ=ルイスのリンカーン大統領
・リアリズムもあり丁寧に描かれた政治伝記

間違いなく名作で良い映画であるのだけれど、少々真面目で堅苦しすぎるだろうか。油断していると睡魔に襲われる可能性は大。
リンカーン大統領を決して偉大なる英雄として偶像化せず、ひとりの悩める人間として極めて丁寧に描いている。
そんなリンカーン大統領を演じたダニエル・デイ=ルイスの演技は流石。表情、喋り方、その全てにすっと惹かれるものがある。
印象的だったのは「最も純粋な男による工作」というスティーブンス(=トミー・リー・ジョーンズ)のセリフ。
実際映画でメインとして描かれているのも修正案を通すための裏工作である。
リンカーン大統領が奴隷開放の修正案を通すため、戦争の終結を引き伸ばしたこと。その重荷の全てを自らに課したことは終盤の凄惨なる戦場にて疲れ果てた表情のリンカーン大統領からひしひしと伝わる。
スピルバーグが今リンカーン大統領の映画を撮ったことの意味が何となくだがわかるような気もする。
これだけの決意を秘めた政治家が今の世の中どれだけいるのだろうか。
自ら傷つく覚悟を持ち信念を貫く強さ。見習わなくてはならない。


■『オブリビオン』
監督:ジョセフ・コシンスキー
キャスト:トム・クルーズ、アンドレア・ライズブロー、オルガ・キュリレンコ、モーガン・フリーマン、ほか
ジャンル:SF/アクション
オススメ度:★★★★ (4.03)
・良作SFアクション
・トム・クルーズのSF

SF作品として面白かった。ある種ベタな展開なのだが、不思議と予想を上回った感の方が強い。
結末はハッピーエンドとも悲しい結末とも言える。賛否は別れるかもしれないし、ドライな質感なオチとも言える。あそこでジュリアが微妙な笑顔を浮かべたように思えたのはその辺に起因。
演出面も上手い。曖昧な記憶:モノクロ映像、思い出したことで色づくといった演出は良い。それも鮮やかな色ではなくモノクロピンクに近い色合いだったのがより記憶っぽくて良い。
何と言ってもトムありきの映画なのだが、ヴィカの悲しそうな表情にも少し惹かれた。
トム演じるジャックが、鉄壁のヒーローというわけではなく、どこか人間臭いような野暮ったいような親父感があるところがツボ。
全てにおいてバランスの良い映画だったと思う。長さ良し、映像良し、脚本良し。
超大作というほどの大作感はないが、観客の求めることの多くは叶えていよう。モヤモヤ感は残らない。


■『きっと、うまくいく』
監督:ラージクマール・ヒラニ
キャスト:アーミル・カーン、R・マドハヴァン、シャルマン・ジョシ、カリーナ・カプール、ほか
ジャンル:青春/コメディ/ドラマ
オススメ度:★★★★ (3.92)
・青春コメディ
・人生を前向きに

ザ・友情!という感じのドラマ。名門工科大ICEに集った青年3人のコミカルな青春劇。
実は作中で自殺者3人(ひとりは助かるが…)も出るという、とんでもなく重い内容を含む。けど不思議と悲しさをほとんど感じないコミカル演出。
インド映画の笑いのセンスはちょっと日本の感覚とは違う気もする。悪ふざけが過ぎないか?
特にチャトルに対する演説の仕打ちは下手したら自殺もののメンタルダメージを与えかねない気がする。
途中でミステリ仕立ての仕掛けが盛り込まれているのが斬新。
ランチョーの才能・性格に嫉妬。けど魅力は確かに高い。
一番感動したのはファルハーンが父親に自分の道を受け入れてもらえるシーン。目頭が熱くなった。
前向きな映画であることは間違いなく、面白いドラマに仕立てているので、万人受けする映画かも。陽気すぎるのが苦手な人は少し距離を感じるかも。
音楽、主題歌はなんか良かった。
「きっと、うまくいく」悪くない言葉。迷った時に、怖気づいた時に、自分を鼓舞するルーチーンに。
生涯ベスト10に推すという人もけっこういるようで、ツボにはまった人はその素敵なストーリーに魅了される。確かに良い映画であることは間違いなし。


■『華麗なるギャツビー』
監督:バズ・ラーマン
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、キャリー・マリガン、ジョエル・エドガートン、エリザベス・デビッキ、ほか
ジャンル:ドラマ
オススメ度:★★★★ (3.73)
・絢爛豪華なセレブ生活
・ディカプリオ演じるギャツビーの魅力
・質の高いビターな結末

かなり大人向けの、本当にビターな結末。何ともいえない気持ちになってしまう。
ギャツビーの一人の女性を一途に想い続ける姿、どんなに富を得ても愛する女性と結ばれない結末、やはり何ともいえない。
ニック以外、彼の死を悼んでいない姿にも、切なさを感じる。
後半の悲劇的結末へと進む展開は本当にやるせない。
ギャツビーに対してニックと同様に好感を持てるかどうかで作品の評価が大きく変わりそう。
装飾品やらは絢爛豪華で映像も派手目だが、演出は抑えめな自然志向。文芸作品を読んでる感覚すらある。
なので少し退屈感もある。ハラドキするような作品では全くない。
レオナルド・ディカプリオ、裏のある大金持ちのセレブ役が何だか似合う。
プライベートでも仲の良いディカプリオとトビー・マグワイアの共演というのも乙。


■『サイレントヒル:リベレーション3D』
監督:マイケル・J・バセット
キャスト:アデレイド・クレメンス、キット・ハリントン、ショーン・ビーン、デボラ・カーラ・アンガー、ラダ・ミッチェル、ほか
ジャンル:ホラー/アクション
オススメ度:★★★★ (3.88)
・前作映画の純粋なる続編
・サイレントヒルの雰囲気の再現度の高さ

前作(映画の)『サイレントヒル』の完全続編となっていたのは驚き。6年もの歳月を経っているのだから意外。
サイレントヒルの音楽は相変わらずいいい。
映画オリジナルのストーリーに、ゲームの設定、物語を上手く融合させている。なので実はゲームより分かりやすい。
ゲーム「サイレントヒル3」の映像の再現度は高い。ゲームを知ってるとニヤリするシーンばかり。あの禍々しくも凶悪な三角頭も登場。
映画の前作を知ってると、前作サイレントヒルと繋がるストーリーから浮かび上がる父親の変わらない気持ちに感動できる。
主役のヘザーを演じた娘、確かに可愛い。
ゲーム原作では変人ぽい印象があるヴィンセントが、意外なほどにまともな人物として描かれる。
映像はグロめ。闇に侵食される不気味な映像のセンスの高さは相変わらず。
灰が降る街。3D映画との相性も高い。
前作がバッドエンドタイプの結末だったのに対し、今作はグッドエンドタイプの結末。


■『風立ちぬ』
監督:宮崎駿
キャスト(声):庵野秀明、瀧本美織、西島秀俊、西村雅彦、志田未来、野村萬斎、ほか
ジャンル:アニメ/ドラマ/青春
オススメ度:★★★★ (3.57)
・宮崎駿監督作品
・スタジオジブリ

登場人物があまりにみんな真っ直ぐでひたむき過ぎて、自分が少し恥ずかしくなる。魅力ある人物像なんだけど…親しみはあまり感じられない。
ストーリーは上質。あくまで上質。起伏が少なく盛り上がりに欠けるため退屈に感じることもある。
ラストのあっさり感は全ジブリ作品の中でも屈指。盛り上がりどころもあったのかもしれないけど、ここだ!というべきところがなんか無い。
内容は完全に大人向けアニメとなっている。子供が観て楽しいとは決して感じまい。
『ポニョ』よりもさらにファンタジー要素は減り、ほぼ皆無に。
映像(絵)は流石はジブリで温かみのある絵で、かつとても綺麗。
音楽も流石の良さ。メインテーマは聴き入る。
「創造的人生の持ち時間は10年だ」など、なかなか心に痛いセリフも。少し自己嫌悪にも。
独特の雰囲気のある魅力ある悪役風キャラがいなかったのも残念なところ。カプローニがその位置づけなのかもしれないが、少々弱い。もっと個性的じゃないと。
菜穂子は幸せだったのかどうか。二郎は菜穂子を愛していることは間違いなく伝わってくるが、仕事に熱意を傾けるあまり、毎日帰りが遅い。その間、菜穂子は部屋にひとり。
二郎の完璧過ぎる性格は好きな人は好きっぽい。熱意があり、優しく、善良。仕事もできユーモアセンスもある。けど淡々とした印象もなんかある。声をあてた庵野監督、なんか合ってる気もする。
それから菜穂子と同室で結局タバコ吸ってるし…もマイナスな点。
最後にひとり診療所へ帰る決意をする彼女に、孤独な影を感じてしまう。
零戦崇拝の映画だなんて批評もあるようだけど、テーマの趣旨としては零戦に敬意を表しているわけじゃなく、その設計者の純粋なる熱意に対する敬意ということなんだと思う。
効果音の多くがおそらく人の声だった点がなんか印象的。不思議な感じと温かみと不自然さを感じる。


■『パシフィック・リム』
監督:ギレルモ・デル・トロ
キャスト:チャーリー・ハナム、菊地凛子、イドリス・エルバ、チャーリー・デイ、芦田愛菜、ほか
ジャンル:アクション/SF/ロボット
オススメ度:★★★ (3.10)
・怪獣ハリウッド

WEBレビューだと評価はかなり高い作品なのだが、そこまで良い作品かと言うと疑問を感じる。
カイジュー、KAIJUと作中で呼ばれているが、別にカイジューが世界標準の言葉に昇華されたわけでは多分無い。WASABIとかJUDOとかBENTOとかとは違う。
ストーリーは典型的なハリウッド脚本。盛り上がりどころも順当にあるが、驚きとかは一切ない。はっきり言って薄っぺら過ぎる内容。
アメリカンな軽いノリがちょいちょい苦手。
ラストがあまりにも過ぎる。人類最後の手段が自爆って。しかも1回ではなく2回も。
所々入れられている日本語も不自然。日本の特撮をオマージュした作品なので、日本向けのサービスなのだとは思うが、正直「何故このタイミングで唐突に日本語を…」となる。
怪獣やその手の特撮好きにはたまらない映画なのかもしれない。けどそうじゃない人にとってはうーん。
菊地凛子が正ヒロイン役っていうのはけっこう凄い。脇役のひとりではなく正ヒロインなのだ。ハリウッド映画の。
ヒロインの子供時代を演じた芦田愛菜の演技が予想以上に上手い。しかも一瞬とかじゃなくそれなりの長さのあるシーン。別撮りなのは仕方ないとしてもけっこう印象に残るシーンとなってる。
はっきり言って、異常なまでに世間の評判が良い映画。個人的にはそんなに好きな映画だとは言えないのだけど、良い映画だったのだろうか? うーん。


■『ワールド・ウォー Z』
監督:マーク・フォースター
キャスト:ブラッド・ピット、ミレイユ・イーノス、ファナ・モコエナ、ダニエラ・ケルテス、ほか
ジャンル:アクション/パニック/ホラー
オススメ度:★★★ (3.34)
・ブラッド・ピット
・120%中の120%全力型ゾンビ

何故か宣伝サイドではゾンビ映画であることをひた隠しにしている映画。
ブラピが演じた主人公ジェリーはなかなか魅力あり。小奇麗な感じなのも印象良し。
ZはゾンビのZ。最後まで観ないとタイトルが繋がらないが、あの終わり方でこのタイトルならなかなか良いのでは。
正直に言うと中盤前(イスラエルへ行く前)ちょっと眠くなった。けど退屈な作品というわけではない。
前半(ジェリーの家族との逃避)と中盤以降は良い感じのドキドキ感。怖さは並。まぁ純粋なるホラーではないので。
ゾンビ=動きがのろい。という図式は近年ではもう崩壊している。人間以上の身体能力。怖ぇ。
主人公が強すぎないところが、作品に妙なリアル感と、主人公に対する親近感を上げている。
ジェリーが旅客機内で手榴弾を投げて、機体に穴を開けて、人が外へ吸い出されていくシーン。…ちょっ、酷くないか?
Zに対向するため、ジェリーが導き出した結論はなかなか新鮮。超展開でもなく納得もいく。
綺麗に完結まで描かず、終わりを“戦いの始まり”として締めたラストは上質。

とりあえず、現時点までの今年の鑑賞映画は以上。
画像がないと、映画の感想・紹介記事としてはちょっと寂しいところはあるだろうか。

ネットセキュリティについて

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ここ数日のことですが、gooブログにおいてネットセキュリティ関連で迷惑な事態が発生したので、調べたことを書いておく。
本来、こんな雑記を書く予定はなかったのですが、自分用の備忘録と情報共有のために残しておきます。

上にネットセキュリティと大仰なことを書きましたが、内容自体は深刻なことでもないので気になる方だけ参考程度にお読み下さい。

まず何が起こったのかというと、特定のブログパーツが貼られたgooブログを訪れると、「お使いのパソコンの性能が低下しています。Windowsのエラーを直ちに修正して下さい。【リペアツールをダウンロードする】」という怪しげなポップアップが開くという事態が発生しました。

この手のポップアップで何らかのダウンロードを迫ってくるのは、ほぼ100%悪徳です。
ダウンロードしたところで、パソコンの性能が改善されるなんてことはなく、広告行為で余計な負荷をかけたり、場合によってはもっと深刻な悪さをパソコンに仕出かされることすらあります。なので
絶対にダウンロードしてはいけません!

なおこのポップアップ、ダウンロードさえしてなければ、別段PCに悪さはしていない模様です。
(ただしCookieはばっちりローカルに保存されてしまっている…)

でですね、特定のブログパーツというのは、「あし@」です。
もとをたどると、おそらく「あし@」自体が仕組んだというよりは、その委託先っぽい「openx.kji」とかいう広告配信システムが、勝手に宣伝ポップアップを開くようにプログラムを改悪したのが原因っぽいです。その「openx.kji」の広告配信プログラムが、勝手に「ad.yieldmanager.com」へリクエストを送り、広告を表示させています。
それが「あし@」と合意の上だったのかどうかは知りませんが、ユーザーに知らせることなく勝手にシステム改悪したことは、迷惑だったことに変わりはない。
特にgooブログでは、javascriptを基本的には無効にし、gooが認可したブログパーツのみ貼れるという、自由度をかなり犠牲にした制限を課し、安全だと謳っていただけに、失望は大きい。
gooブログ独自のプログパーツ変換機能が、どんなロジックのもとで変換を行っているのかは知りませんが、gooが認可したブログパーツでも、プログパーツのもとのシステムを改悪されたら、その影響をばっちり受けることが今回の事態で分かった。これじゃ、はっきり言ってとても安全だなんて言えやしない。
やはりブログパーツなんてたくさん貼っても重いだけなので、本当に必要なもの以外は貼るべきじゃない。

なお現在は、ウイルス対策ソフトが「あし@」というか「openx.kji」の宣伝のブログパーツ自体をばっちりブロックしてくれている。
(ウイルスバスターの場合。他はちょっと知りません)
昨日まではそんなことなかったので、ホントここ1日ぐらいで対応してくれたらしい。この迅速さ、流石だと思う。

そんなわけで、今はウイルス対策ソフト各社が対応をし始めたらしいので、信頼出来るウイルス対策ソフトをインストールしている方は、もうあまり気にする必要はありません。

しかしブラウザ自体に、この手の迷惑広告の予防線を張っておくことは有用かもしれない。
(ブラウザソフトは設定をいじることで、迷惑プログラムの実行を不可にしておくことができる)

最終的な元悪の「ad.yieldmanager.com」をブロックする手順を調べたので残します。

以下はChromeの設定手順です。
「"yieldmanager" ブロック」などでググれば、たくさんヒットすると思うので、ブラウザがIEやFirefoxの方も、気になる方は調べてみて下さい。

1.アドレスバーにchrome://settingsと打ち込み、設定画面を開く。
(または、Chromeの設定ボタン(三本線のボタン)から、設定を選択する)
開いた設定画面で、「詳細設定を表示」をクリックする。


2.それまで隠れていた設定項目が表示されるので、プライバシーの「コンテンツの設定」ボタンをクリックする。


3.「コンテンツの設定」ダイアログが開く。
まず、「ad.yieldmanager.com」が迷惑にも勝手にローカルPCに保存してくれてる、Cookieを消去します。
Cookie欄の「すべてのCookieとサイトデータ」ボタンをクリック。


4.開いたダイアログに全Cookie情報が表示される。このままじゃ多いので、右上の検索ボックスに「yieldmanager」と打ち込み、絞りこまれたCookie情報を確認の上、削除する。(選択した時に右に表示される×をクリックすればOK。
※下画像のうちのローカルPCではすでに削除済みのため表示されていません。ちょっと分かりにくいかも)
注意:Cookieの全削除はしてはいけません。ブラウザに保存しているアカウント/パスワード情報も消えてしまい、その後地味に苦労します。
※Cookieは不要と判断したもののみ、自己責任で削除して下さい。
削除後、「完了」ボタンでダイアログを閉じる。


5.続いて、「ad.yieldmanager.com」がローカルにCookieを保存しようとしたらブロックするように設定します。
コンテンツの設定、Cookie欄の「例外の管理」ボタンをクリック。


6.Cookieとサイトデータの例外にブロックするパターンを追加する。
以下は「[*.]ad.yieldmanager.com」をブロックに追加した例。
ad.yieldmanager.comに一致するサイトからCookieを書き込もうとしたら、ブロックするようになります。
動作はデフォルが許可なので、きちんとブロックを選択すること。
設定後、「完了」ボタンで閉じる。


7.続いて、「ad.yieldmanager.com」からのjavascriptが実行されるのを禁止する。
コンテンツの設定、Javascript欄の「例外の管理」ボタンをクリック。


8.Javascriptの例外にブロックするパターンを追加する。
今回は「[*.]ad.yieldmanager.com」を追加し、このサイトからのjavascriptが実行されないようにしています。
(うちのPCでは、他にも広告サイトとして悪名高い「ad.doubleclick.net」「ad.adserverplus.com」もブロックするようにしてます。この辺りはご自由に)
javascriptをブロックすることで、悪意のあるコードが実行されることを防ぎます。
注意:何でもかんでもjavascriptをブロックしてはダメです。javascriptが実行できないと、Webページの機能のほとんど動かなくなってしまうサイトもザラにあります。※ここは危険だと分かっているサイトだけブロックするように設定しましょう。
設定後、「完了」ボタンで閉じる。


9.コンテンツの設定画面を「完了」ボタンで閉じたら、設定完了です。

ブロックするパターンは、サイトを変えられてしまったらいくらでもイタチごっこになりかねません。
設定したからといって安心はせず、セキュリティ意識を常に持っておくことが大切です。

今回、画像形式がpngになってしまった。gifで上げたんですが、gooブログってgifをpngにしてしまうんですね。知らなかった…。


2013年・はち

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「2013年のねこタ」
雑記8で最後!

さて、まず最初にお知らせとして、当ブログの更新はこの記事で最後となります。

このブログの開設日を見ると2005年9月。つまり8年続けたことになる。
自分としてはまぁ長く続いたかなと思っています。

更新は終わりますが、ここまで感想を書き溜めたブログなので、ブログ自体は残しておこうと思ってます。
ひとつ問題として、このブログ、アドバンス(有料)なんですよね。
できれば無料に戻したいのですが、無料版だと更新がないと、宣伝の入るレイアウトに勝手に変えられてしまうという、困ってしまう改変があったらしい。
もったいないけど、しばらくはこのままの状態で残そうと思ってます。
(メールも有料になるし、ホント最近gooって良き古きシステムを商業主義に変えて行きすぎ。利潤の少ないサービスの経費節減も分からなくはないけれど…)

終わりの理由は書いておかないといけないでしょう。
それはやはり、ブログに対するモチベーションの低下ということが大きいですね。
このことは実は2012年の途中からあって、そんな気持ちのままダラダラと更新を続けていった結果、昨年分の映画レビューの完了が遅れに遅れ、無様なことになったのはご承知おきの通りです。やはり気持ちは大切なんだなぁと思う。

ブログは、好きで楽しく書いているうちは、自分にとってもプラスの多いとても良い趣味なのですが、義務感で書くようになると、なかなか苦しいものがある。
長くブログを続けている方ならそんな気持ちを抱いた方も多くいるんじゃないかと思う。それでもブログを続けている方は、やっぱり凄い。自分にはそこまでの根性がなかった。

終わりへ向け、9月は雑記で書き残したことを書いていこうと思ってた。
で、ブログ継続8年にかけて、雑記8で最後と目論んでたわけです。若干最後に無理矢理な調整が入ってますが、まぁ、8で最後は何とか死守。

ブログ8年続けて、得たものももちろんあります。
これは自画自賛になっちゃいますが、8年前に比べれば文章力はついたんじゃないかと思う。
中でも当ブログのメイン、映画レビューは少しずつ工夫を加えていき、良くしていこうと取り組んできた記事です。
もちろんちゃんとした批評を書いている方からすると、程度の低い内容なのだとは思います。
それでも、モチベーションは低かったけど、やはり映画レビューは2012年が一番、出来が良かったと個人的には胸を張ってる。

さてと。いよいよ最後。
最後に何を書くかは実は決まっています。
これは前にも何かの記事で書いたことがあるかもしれないけど、今でも印象的な言葉として残っているので、もう一度書きたい。
それはバクホンのボーカルの山田さんがある音楽番組で話していたことです。

「日々生きていく中で、ふとした瞬間に、何かできそうな気持ちになることがある。上手くできそうな気持ちになることがある。
その気持ちは長くは続かないのだけれど確かにあって、自分の生きる糧になってくれている。
希望を持ち続けることは難しいのだけれど、俺はそんな気持ちを求めていきたい」

だいぶ昔の記憶なので、一言一句あってるかというとだいぶ怪しい。けど、だいたいこんなことを話してた。
それはすごく共感できて、強い印象として今でも残り続けています。
どんなに落ち込んでいても、どんなに失敗続きでも、どういう訳か、何故か分からないのだけれど、突然に希望が湧くことがある。
「何とかなるんじゃないか」「上手くいきそうな気がする」
根拠はないのだけど、突然そんな気持ちが沸き起こる。
だから苦しくても頑張れるし、何かをやってやろうという気持ちになれる。
けどそんな気持ちはあまり長くは続かない。
ちょっとしたことで一瞬で消えてしまったり、あまりにあっけなく打ち砕かれてしまったりする。
前向きな気持ちを長く持ち続けることって本当に難しい。
僕は根が暗い人間ですが、それでもそんな小さな希望が湧くんだったら、きっと大丈夫なんだと思ってる。
苦しい時にも希望は湧く。それがどんなに儚い希望でもきっと自分を助ける。
この気持ちは大切にしていきたい。

そして照れくさい。ブログ辞める言い出した人間が、何を良いことを書こうとしているんだか。
これを続けるとまずいのでそろそろ締めに。

当ブログを今まで何回も訪問してくださった方、たまに見てたよという方、今日初めて来たらいきなり終わってた(笑)という方も、本当にありがとうございました。
まぁお互いどこかで元気でやっていきましょう。

ブログdeビュー映画大賞(2014年)

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どうもお久しぶりです。
ひとつ前の記事「雑記8」を投稿してから約1年以上が経ちました。

「雑記8」で当ブログの更新は最後と宣言し、実際そのつもりでいました。
けれど、ブログを書かない日々を続けてそれが当たり前になっていたはずなのに、不思議とまたブログを書きたいと思う自分がいる。
気持ちって変わるものなのですね。

そんなわけで、かなり久しぶりに新記事を書きました。
題目は「2014年ブログdeビュー映画大賞」です。
1年間に観た映画の中からベスト映画を決める、当ブログで年に1回だけ書いていた恒例記事です。

興味のある方はぜひ、ちら読みしていって下さい。

それでは発表です。

2014年の映画ベスト10

1位 アメイジング・スパイダーマン2
2位 インターステラー
3位 思い出のマーニー
4位 ホビット 決戦のゆくえ
5位 フューリー

6位 ウルフ・オブ・ウォールストリート
7位 ホビット 竜に奪われた王国
8位 アナと雪の女王
9位 100歳の華麗なる冒険
10位 白ゆき姫殺人事件

ひとこと感想

映画情報を簡単に記載し、映画概要、そして感想、という書き方にしています。簡単に書いたつもりですが、やっぱり10作品書くとけっこうな分量になる…。

1位: アメイジング・スパイダーマン2 イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 マーク・ウェブ 出演 アンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン、ジェイミー・フォックス、他 製作国 アメリカ ジャンル アクション/アドベンチャー/青春

新たな装いにてリブートした新生スパイダーマンシリーズの第2作目。

アンドリュー・ガーフィールドが演じる明るく楽しげで、やや軽いノリのピーター=スパイダーマンがやっぱり魅力的。
それだけに終盤の展開にはかなり驚かされてしまい、かつ悲しかった。
けれどその後のフォローの仕方は心優しくて良かった。 落ち込むピーターにメイおばさんがかけたひと言には心打たれました。
エンタメアクションとしての楽しさ・面白さ、感動する物語のしみじみとする深さのバランスが良くできていた映画だった思います。

2位: インターステラー イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 クリストファー・ノーラン 出演 マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン、他 製作国 アメリカ ジャンル SF/ドラマ

『ダークナイト』のクリストファー・ノーラン監督がかつてない危機に直面した人類の命運と父娘の絆を壮大なスケールで描いたSF超大作。

壮大さと設定の深さという面では、この映画が間違いなく2014年度では群を抜いていたと思う。
人類の存亡をかけたプロジェクトを描いた物語の壮大さは圧巻で、親子の絆を描いた人間ドラマとしても良かった。
宇宙を超高速で旅する主人公のクーパーたちと、地球に残った者たちの時間の経過のスピードが異なるという切ない設定が効いていて胸に迫る内容だった。

3位: 思い出のマーニー イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 米林宏昌 声の出演 高月彩良、有村架純、松嶋菜々子、他 製作国 日本 ジャンル ファンタジー/青春/アニメ

アリエッティの米林監督のジブリ監督作2作目。心を閉ざしがちの多感な少女のひと夏の不思議な思い出と心の成長を描いた思春期ファンタジー。

シナリオ(脚本)の勝ちと強く思えるほど、ストーリー面の完成度は高く、ひとひねりあるミステリ仕立ての要素もあったりして面白かった。
映画のキャッチコピーとなったマーニーの「あなたのことが大すき。」というセリフ。これって映画を観た人と観てない人で、おそらく受け取り方の方向性が全然違っているのだろうなぁと思う。
ストーリー構成の練りの高さにはただただ驚かされてしまう。
心の弱さと成長、そして愛情を描いてたこの映画はとても素敵な映画だった。

追記:昨年末に米林監督はジブリを退社されたようです。
(⇒『マーニー』『アリエッティ』の米林宏昌監督がジブリ退社を報告 | ORICON STYLE
つまり当作が米林監督のジブリにおける最終作ということになる。少し寂しいような気もするけれど、米林監督にはどうか新しい場でも素敵な作品を作っていって欲しい。

4位: ホビット 決戦のゆくえ イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 ピーター・ジャクソン 出演 イアン・マッケラン、マーティン・フリーマン、リチャード・アーミティッジ、他 製作国 アメリカ=ニュージーランド ジャンル ファンタジー/アドベンチャー/ドラマ

ファンタジー映画の超大作。若きビルボの冒険を描いたロード・オブ・ザシリーズの新たな3部作の完結編。

映像の迫力は流石で、他作を寄せ付けない圧巻の迫力とスケール。また大作感もしっかり感じられる。
加えてこの第3部は、戦闘シーンに次ぐ戦闘シーンの連続で、ほぼずっとテンションが高いまま物語が進んでいきます。最終作の名に負けない盛り上がり方です。
ドラマ面の出来も大変良く、トーリンの苦悩(心の弱い面、強い面の両方共)がしっかり描かれていて惹きこまれました。
ラストはちょっと悲しいのだけれど、それだけじゃない穏やかな気持ちにもなれる。この辺りは魅力的なビルボの人柄がなせる業だと思う。

5位: フューリー イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 デヴィッド・エアー 出演 ブラッド・ピット、ローガン・ラーマン、シャイア・ラブーフ、他 製作国 イギリス ジャンル 戦争/アクション/ドラマ

ブラッド・ピット主演の戦争戦車映画。5人の兵士の戦時下における絆と、リアルかつ迫力の戦車戦を描いた戦争アクション。

内容としては、戦争映画にはよくある戦争の残酷さを前面に出した無情な展開の映画だったといえる。
その無慈悲さはけっこう容赦が無く徹底されており、また戦場の描写はリアルで、戦死者の見せ方も衝撃的なので、なかなか観ていて心にダメージを受ける。
けど、それに負けないストーリー面の良さと、演出脚本の上手さが確かにあった。
絶体絶命の状況の中で残った5人が戦車の中で最後の祝杯を挙げるシーンはベタだけどやっぱりグッときてしまう。

6位: ウルフ・オブ・ウォールストリート イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 マーティン・スコセッシ 出演 レオナルド・ディカプリオ、ジョナ・ヒル、マーゴット・ロビー、他 製作国 アメリカ ジャンル ドラマ/伝記/コメディ

ウォール街の狼と呼ばれた実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの自伝的回顧録を原作とした伝記ドラマ。

実はこの映画、最初はクソ映画かと思った。前半は悪ふざけシーンが大部分で主人公のベルフォートに全く好感が持てなかったから。
ところがあるシーンを境に強烈にベルフォートに惹きつけられるようになった。
そのシーンは、ベルフォートが強烈なドラッグの効き目にフラフラになりながらも家に帰るシーン。
ディカプリオの完全一人演技なのだけど、尋常じゃないまでに釘付けにされる快演(怪演?)。これは恐るべし! おそらく昨年、個人的に最も衝撃を受けた演技です。
なおこの映画はR18指定で、ドラッグ描写、セックス描写がかなり激しかったりします。見る人を選ぶ映画だと思うので、一応ご注意を。

7位: ホビット 竜に奪われた王国 イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 ピーター・ジャクソン 出演 イアン・マッケラン、マーティン・フリーマン、リチャード・アーミティッジ、ベネディクト・カンバーバッチ、他 製作国 アメリカ=ニュージーランド ジャンル ファンタジー/アドベンチャー/ドラマ

『ロード・オブ・ザ・リング』の前日端、フロドの叔父・ビルボ・バギンズの若かりし頃の冒険を描いたホビット3部作の第2作目。

年間ベスト10に2作も「ホビット」を入れてしまうのはどうかと思ったけど、やっぱり面白かったので入れてしまった。
映像の壮大さと迫力の凄さは、「決戦のゆくえ」でも書いたとおり、このシリーズでは言わずもがなのクォリティーの高さです。明らかに他のファンタジー映画作品とは一線を画す。
第2作目は主人公のビルボの活躍が結構目立つビルボ回。ぶっちゃけ今作ではガンダルフよりもビルボの方がよっぼど一行の役に立つ活躍をしています。
(もっとも、戦力的にも知識的にも一番頼りになるであろうガンダルフが、肝心な時に別行動しているのは旧シリーズから続くこのシリーズでのお約束の展開なのかもしれないが…)
前作では出し惜しみしまくってた邪竜スマウグが、今作では申し分なく出まくりで、おかげでクライマックスは迫力満点。旧シリーズの主要メンバーだったレゴラスを再登場させたりなど嬉しい展開も盛り沢山。

8位: アナと雪の女王 イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 クリス・バック、ジェニファー・リー 声の出演 イディナ・メンゼル、クリステン・ベル、ジョナサン・グロフ、他 ※吹替版 松たか子、神田沙也加、原慎一郎、ピエール瀧、他 製作国 アメリカ ジャンル ファンタジー/ミュージカル/アニメ

アンデルセン童話『雪の女王』をモチーフに描いたディズニー製作の3Dファンタジー・アニメ。
本国アメリカではディズニー映画史上で最大となる、空前の大ヒットを記録。日本においても興行収入では2位以下を200億円近く離す驚異的な記録を達成して圧倒的1位に輝く。
昨年日本で最もフィーバーした映画だったと言えそうです。

エルサの歌う「Let It Go」(日本では「ありのままで」)のシーンが特に印象的だったなぁと思う映画。
安心のディズニー・クォリティー映画で、誰が見ても明るい気持ちになれる映画でしょう。雪の映像もすごく綺麗で、迫力がありました。
王子様(…クリストフのことです。)を立ててやってよ、という気持ちにもなってしまうラストの扱いはちょっと涙を誘う。(加えて人気でいうと、エルサ>アナ(主人公)な悲しい一般の傾向も…)
王道のディズニーなのにこの意外性。これも時代の流れなのかもしれない、とか思った。

9位: 100歳の華麗なる冒険 イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 フェリックス・ハーングレン 出演 ロバート・グスタフソン、イヴァル・ヴィクランデル、ダーヴィッド・ヴィーベリ、他 製作国 スウェーデン ジャンル ドラマ/コメディ/歴史

スウェーデンで大ヒットしたアドベンチャー・コメディ。老人ホームから逃げ出した、100歳となったアランの現在の珍道中冒険劇と、彼の波瀾万丈の過去の物語が描かれる。

今回のベスト10で一番マニアックと思われる作品。意表を突いたわけではなく、純粋に物語が面白かったからの9位です。
アランの波瀾万丈の人生は、なかなか荒唐無稽な展開で、物語を伏線から先読みすることはたぶん不可能でしょう。
しかし不思議なほどに高いアランの魅力から、この荒唐無稽さが割と自然に受け入れられる。
荒唐無稽、でたらめさが、老人のおとぎ話という様相を上手く醸し出していて良い感じ。ティム・バートンの名作『ビッグ・フィッシュ』にもどこか似た雰囲気を感じる。おじいちゃんから聞く昔話ってたぶんこんな感じなのかもしれない。
内容はけっこう毒のある作品なのだけれど、鑑賞後は不思議と何か悟ったような達観した気持ちと温かい気持ちになります。
ちっぽけなことでクヨクヨするなんて些末なことでしかない。そう思わせてくれる映画だった。良作映画だと思う。

10位: 白ゆき姫殺人事件 イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 中村義洋 出演 井上真央、綾野剛、菜々緒、蓮佛美沙子、貫地谷しほり、他 製作国 日本 ジャンル ミステリー/サスペンス/ドラマ

湊かなえの同名ベストセラー小説を実写映画化したミステリー・サスペンス。謎めいた美人OL殺人事件を巡り、疑惑を向けられた女性にまつわる噂が一人歩きしていく恐怖を描く。

ミステリー・サスペンス映画としてはっきりと間違いなく面白い。何故この作品が国内の映画賞関連のランキングで上位に来てないのか不思議で仕方ない。ヤフーのユーザー評価も低い目だし…。
前半~中盤ぐらいまでの、変に感情を込めずに淡々とした描写で事件が語られていく演出が上手く効いている。
物語は当事者の証言ではなく、他人の主観による憶測でしかない再現映像で繋がれる。なので、ベースとなる筋書き(事件当夜の城野美姫の行動)は同じでも、答えた人によって細部や受ける印象が変わってきて面白かった。
おそらく前半と後半で登場人物の印象が一転しているはず。犯人はもちろん被害者についても。
それが人を豹変させるわけではなく、観てる側がその人について勝手に膨らませたイメージとのギャップにより印象が変わるという構成なので、とにかく技ありで凄い。
主演の井上真央の「白雪姫はもういない」の感情を込めないセリフがゾクッとくるぐらいミステリアスで強く印象に残っている。

以上、2014年の映画ベスト10でした。
うちのブログらしい、年明けて3月という、今さら感が満載の時期での発表となりましたが、何か気になる作品や心惹かれる作品はありましたか?
あくまで個人の好みが全てのランキングなので、いわゆる有名どころな映画賞とは結果はけっこうずれています。
けれど、ベスト10作品はどれもおすすめ作品なので、興味を持たれた方はぜひご覧になってみてください。

もしこんな偏った個人的なランキングじゃなくて、公の映画賞でのランキングはどうだったのか気になる方は以下サイト等をご参考に。国内外の昨年の主要な映画賞の結果ページへリンクしています。 「日本アカデミー賞公式サイト」の第38回日本アカデミー賞詳細ページ 「KINENOTE」の2014年 第88回キネマ旬報ベスト・テンの各詳細ページ 「日本インターネット映画大賞」の第19回(2014年)日本インターネット映画大賞結果ページ 「allcinema」のアカデミー賞 2014年(第87回)ゴールデン・グローブ 2014年(第72回)

久しぶりにブログ記事を書いてみると、どうにも思うように文章が思い浮かばなくなっていて大変だった。やっぱり習慣って大きい。
また今回の記事は文章以外でも記事構成をこだわったりしたので、書き上げるのにとにかく苦労した。

それから、今さらながらですが、このブログのコメント返信を放置したままになっているのが何だかとても申し訳なく思う。
けれど勝手ながら、当ブログはコメント返信はしない方針としているのでどうかご理解ください。

最後にお知らせを。
このブログは削除はしないつもりでいますが、今月3月いっぱいで有料のアドバンス契約は解約しようと思っています。
つまり、これまでは広告は一切非表示だったのが、4月以降は広告が表示されるようになります。
gooブログは無料版でもそれほど広告表示がうるさくない方なので、そんなには煩わしくはならないかなと。

それからブログの今後の更新についてですが、今のところは更新再開は考えていません。
それでも、また今回みたいに何か書いてみたくなることはあるかもしれないので、更新最後の宣言はしないでおきます。
とは言え、次の更新はいつになるのかは全く分からないので、あんまり期待はしないでくださいね。

それでは、また、いつか。

ブログdeビュー映画大賞(2015年)

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どうもご無沙汰しています。前回の投稿をしてから、結局1年近く放置しちゃいました。

今年も「ブログdeビュー映画大賞」の記事だけは書いておこうかなと、久しぶりに更新します。
内容は昨年観た映画の中から、個人的に映画ベスト10を決める、当ブログとしては年1回だけ書く恒例記事です。

簡単に「ブログdeビュー映画大賞」のルールを説明しておくと、 2015年に映画館で観た映画の中から選ぶ。TV放送やレンタルで観た映画は除く。 劇場公開作でも、リバイバル上映等は除く。純粋に昨年度中に初公開された映画のみが対象。 あくまで個人の好みのみで選んでいるので偏りがものすごい。 です。
ちなみにですが、昨年12月に公開が始まりあれほど話題になったスター・ウォーズの新作や、かなり世間の評判が高い「マッドマックス 怒りのデス・ロード」とかは、昨年度中に私が観ていないので、そもそも選考対象には入れてませんのであしからず。
マッドマックスは、某有名映画評論サイトの批評家支持率97%という驚愕の高評価作品です! ブロガーさんの中でも昨年のベストに推している方が非常に多い。もし昨年観ていたら、うちのランキングも変わっていたのかもしれない…。 スター・ウォーズは年が変わってから観ましたが、なかなか面白かったですね。EP1~3のジェダイvsシスの様相から、またEP4~6の反乱軍vs帝国の派手さと言うよりはドラマ重視の映画に戻った感じです。

前置きはこの辺にして、そろそろ発表に移ります。

2015年の映画ベスト10

1位 インサイド・ヘッド
2位 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
3位 岸辺の旅
4位 ベイマックス
5位 ゴーン・ガール

6位 マイ・インターン
7位 ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション
8位 ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密
9位 チャッピー
10位 ヴィジット

ひとこと感想 1位:インサイド・ヘッド 監督 ピート・ドクター 声の出演 エイミー・ポーラー、フィリス・スミス、ケイトリン・ディアス、他 吹替版 竹内結子、大竹しのぶ、伊集院茉衣、佐藤二朗、他 製作国 アメリカ ジャンル ファンタジー/ドラマ/アニメ

なぜ、カナシミは必要なの・・・? これは、あなたの物語――

ピクサー長編アニメーション20周年記念。女の子の頭の中の5つの感情を主人公に贈るハートフル冒険ファンタジー。

観賞前はヴィジュアルが微妙に感じられ、子供だましの映画っぽく思っていたけれど、そこは流石はピクサー・ディズニー。子供から大人まで楽しめる本当に素敵な映画に仕上げています。
頭の中の感情たち(主にヨロコビ)が奮闘するドラマがメインストーリーで、ライリーの物語はサブ的な扱いに思われがちかもしれないが、実は感情たちの成長を描きつつ、それが直接的にライリーの成長に繋がっていくという見事な演出がなされています。
ヨロコビやカナシミたちをライリーとは別のキャラクターとは捉えず、ライリーと表裏一体の存在だということを意識して観ると、映画から受ける印象はだいぶ変わるはず。

ちなみに劇場版だと上映前に「ドリカムの気持ち悪いやつ」「強制的に見せられる知らない人の結婚式のスライドショー」などと称されるかなり微妙なプロモーション映像と、人面岩のビジュアルがなかなかにキモい謎のショートアニメーションが本編前に流れます。 この二つでかなり不安な気持ちに陥れた後に、予想外に素晴らしい本編を流すという構成は、ピクサーの巧妙な作戦だと思っている。

2位:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 監督 アレハンドロ・G・イニャリトゥ 出演 マイケル・キートン、エドワード・ノートン、エマ・ストーン、他 製作国 アメリカ ジャンル ドラマ/コメディ

もういちど輝くために、もういちど愛されるために、すべてを手放し、羽ばたこう。

2014年アカデミー賞の作品賞受賞作。公私ともにどん底状態の中年俳優が繰り広げる切なくも滑稽な悪戦苦闘の日々を、全編1カットかと見紛う驚異の撮影スタイルで描き出したシニカル・コメディ。

全編1カットの長回しという撮影スタイルには驚愕する。5分ほどの長回しでもけっこう凄いと感じるものだが、この作品はその比ではなくほぼ全編(およそ2時間)映像が繋がっているのである。
こんな作品いまだかつてないので、ぜひ一度はご覧になっていただきたい名作。
もちろん撮影スタイルだけではなく、俳優陣の演技、脚本、演出のすべての完成度が高く、近年の映画の中でも最高峰の映画のひとつに入るのではないかと思う。
また、けっこう意味ありげなカットで終わるラストシーンについては、いろいろな議論、考察がなされています。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、個人的にはラストシーンはリーガンの思い描く理想のエンディング(非現実)だと思っている。

3位:岸辺の旅 監督 黒沢清 出演 深津絵里、浅野忠信、小松政夫、他 製作国 日本/フランス ジャンル ドラマ/ロマンス/ファンタジー

いかないで。きえないで。このままずっと、そばにいて。

第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞した黒沢清監督の映画。
死者となって帰ってきた夫と、そんな彼を静かに受け入れた妻。二人の旅を通し、愛する人との永遠の別れを描いたロマンス・ファンタジー。

幽霊が普通に人間の中で生活し、周りの人から認識されるという不思議な世界観が独特な映画だった。
映像は不思議なほど親しみやすく感じるのにすこぶる綺麗に感じられる。あくまで普通の風景をこうも綺麗に撮れるとは感嘆してしまう。
カメラの切り替わりのタイミングで、突然消えたり現れたりするカメラワークの演出も上手く、ハッとさせられてしまう。
映像の明暗の使い方も上手い。見えないことで見せる映像演出はすごいのひと言。
そして何といっても、主演二人の演技力が凄かった。特に浅野忠信の普通じゃない存在感が凄すぎる。確かに生者とはどこか異なる雰囲気を持つ幽霊の役をナチュラルに演じている。本当に尋常じゃないほどの上手さだ。

4位:ベイマックス 監督 ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ 声の出演 ライアン・ポッター、スコット・アツィット、ダニエル・ヘニー、他 吹替版 本城雄太郎、川島得愛、菅野美穂、小泉孝太郎、他 製作国 アメリカ ジャンル アドベンチャー/コメディ/アニメ

「あなたの心とカラダを守ります。」
彼の名はベイマックス。人を傷つけることを禁じられた、優しすぎる僕のロボット。

ディズニーが贈るロボットと少年の絆を描いた感動のアニメーション映画。

おそらく多くの人が鑑賞前に予想していた内容とは異なる展開に驚かされた映画だと思う。前半こそ主人公の少年ヒロとベイマックスのドラマがメインだが、途中からヒーローアクション映画へと大きく舵を切るからだ。
けれど全体を通して観るとやはりベイマックスとヒロの心温まる感動の物語を描いた映画だったと感じられるところは期待を裏切らない。
ベイマックスの癒やし系ロボットぶりも本当に可愛くて、そして微笑ましかった。

「ベイマックス、もう大丈夫だよ」
これがベイマックスの起動を切る合図なのだが、劇中でヒロがこれを口にするシーンは2回ある。
クライマックスに当たる2回目のシーンは、ヒロの成長が見て取れる効果的な使い方でとても感動的だった。
ベイマックスの愛らしさ。そして、ちょっと意外性のある感動ヒューマンアクションコメディーで面白かった。

5位:ゴーン・ガール 監督 デヴィッド・フィンチャー 出演 ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、タイラー・ペリー、他 製作国 アメリカ ジャンル ミステリー/サスペンス/ドラマ

本当に大切なものはいつも 失って初めてわかる

デヴィッド・フィンチャー監督、ベン・アフレック主演のサスペンス・ミステリー。同名のベストセラー小説が原作。

この映画は観て良い気分になるストーリーでは決してないし、結末も後味が悪く、陰鬱なものだったと言える。
けれど後半の展開がかなり意外なものとなっており、抜群に面白かった。後味の悪さよりも、物語の秀逸さが勝った。
面白かったのは、主人公のニックとその妻・エイミーの印象が、映画の最初と最後では全く違ったものとなる点。
浮気癖のあるダメ夫のニックと、美しく献身的で理想的な妻エイミー。この二人の印象がどのように遷移していくのかは、ぜひご覧になって驚いてもらいたい。

音楽も、抑え目なサウンドの中に短音の効果音を混ぜるなどしていて、観る者の不安感を増す工夫が施されていて、サスペンス映画にはぴったり。
エンドロールの音楽も印象的で、トントンと指で叩いたような短音が妙な現実感を増している。聴いた時の不安感の高まりが半端ないものとなっている。

6位:マイ・インターン 監督 ナンシー・マイヤーズ 出演 ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ、レネ・ルッソ、他 製作国 アメリカ ジャンル コメディ/ドラマ

すべてを手に入れたはずの彼女に訪れた試練。
そこにやってきたのは、70歳の新人(インターン)だった――。

アン・ハサウェイとロバート・デ・ニーロの共演で贈るハートフル・コメディ。

素敵すぎるデ・ニーロの紳士な魅力が最高!
確かな品格と、紳士らしさを持っていて、誰に対しても壁を作らない気さくでユーモアのある性格。細かいことにも気づける気配り上手。
豊富な経験に基づく有能さが彼の何気ない行動から滲み出ていて格好良い。
誰に対しても壁を作らないというところは本当に見習いたい。

テンポ良く、ユーモアもある内容でセンスの良い映画だったと思う。
全体的に女性向けな設定面や物語展開ではあると思うが、男性が観てもつまらないとは感じないはず。
どちらかと言えば若者向けな映画でもあるが、ベンの頑張りから、シニア世代が観ても活力がもらえるかもしれない。
ベンほど上手くいくことは現実的には少ないかもしれないが、長い経験はやっぱり宝であり、若い人は決して持ち得ないことなのだと改めて思う。

7位:ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 監督 クリストファー・マッカリー 出演 トム・クルーズ、レベッカ・ファーガソン、サイモン・ペッグ、ジェレミー・レナー、他 製作国 アメリカ ジャンル アクション/サスペンス

絶対不可能に挑め!

トム・クルーズ演じる伝説のスパイ、イーサン・ハントが数々の不可能なミッションに挑む大人気アクション・シリーズの第5弾。
謎の犯罪組織「シンジケート」との究極の諜報バトルの行方を迫力のアクション満載で描く。

テンポが良く文句なしに面白い。
映像、演出も迫力がありドキドキ出来る。大迫力のアクションシーンはどれも凄い。中でもモロッコで繰り広げられたノンストップ・大迫力のカーチェイス&バイクチェイスシーンは大必見!
面白かった前作「~ゴーストプロトコル」から主要キャストが続投しているところも嬉しいポイント。前作で不運な苦労人だったブラントの出世っぷりがちょっとウケてしまう。
IMFのメンバーは、イーサン、ブラント、ベンジー、ルーサーの4人しかいないと誤解してしまうほどなりを潜めるその他のIMFメンバー。ホント、何してたんだ?
まさかのイーサンを死亡に追い込む発電水冷システム潜入ミッションのずさんさとか、わりと突っ込める所は多い気もする。ま、面白から別に構わない。

時間の都合で吹替版で観たのだけれど、敵の組織のボス・ソロモンの声を演じていたのが中尾隆聖。そうドラゴンボールのフリーザ様の声の人。
フリーザ様感は意外に弱めで、神経質な悪党という役柄の味を上手く出していて、名キャスティングだと思った。吹替版でも安心して見られる。

8位:ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密 監督 ショーン・レヴィ 出演 ベン・スティラー、ロビン・ウィリアムズ、ダン・スティーヴンス、他 製作国 アメリカ ジャンル コメディ/ファンタジー/ドラマ

忘れられない 夜が来る!

夜の博物館で展示物が動き出し大騒動を巻き起こす、ベン・ステイラー主演の大ヒット・ファンタジー・コメディーの第3弾。
シリーズ最終章を謳った作品で、惜しむべくもロビン・ウィリアムズとミッキー・ルーニーの遺作となってしまった作品でもある。

とても面白い映画だったと思う。退屈なシーンなんて1秒たりともない。 笑えて、終盤はけっこう感動するような展開になっている。
ナイトミュージアムのユーモアのセンスは大好き。
ちびっ子二人(ジェドとオクタヴィス)の彼らにとっては壮大な冒険も可笑しかった。
またベン・ステイラーの一人二役の掛け合い(ラリーとラー)も面白かった。

親子の絆と成長の物語、魅力ある博物館の展示物たちとラリーとの友情と勇気の物語、そして愛すべきものたちとの別れの物語を盛り込んだことで、シリーズでも最高に心に響くストーリーの映画になっている。
終盤で描かれる博物館の仲間たちとの別れへと進む展開の切なさはひとしおだった。
テッドの別れのセリフは心にグッと刺さる。そのセリフは彼らの本心では無いことは明らかであり、そこにはラリーを悲しませないための気遣いと、ラリーに断らせないための彼らなりの策が込められている。
愛するものたちに別れを告げてそこから一歩を踏み出すことは難しい。しかしテッドたちはそれを後押しする。
その後の、ラリーが大英博物館の女警備員に告げる「今の仕事、あまり好きじゃないみたいだけど、明日の夜からきっと最高になるよ」というセリフに、ラリーの素直な彼らとの日々の思い出が感じられグッときてしまう。
ただ悲しいだけの物語にはしていない。そこから一段上の清々しさが確かにある素敵な映画だったと思う。

9位:チャッピー 監督 ニール・ブロムカンプ 出演 シャールト・コプリー、デヴ・パテル、ヒュー・ジャックマン、ニンジャ、ヨ=ランディ・ヴィッサー、他 製作国 アメリカ/メキシコ/南アフリカ ジャンル アクション/SF

…ボクを…なぜ怖がるの?…

『第9地区』など、近未来のSFを独自の視点で描き賞賛されたニール・ブロムカンプ監督による新たな原点的野心作。
思考や感情と言った人間の知性を模倣した学習型人工知能(AI)を持つロボット、チャッピーの成長と、辿り着く意外な結末を描いた、近未来バイオレンス・ハード・SFアクション。

全体的にテンポが良く、ユーモアも交えられているので、退屈することなく最後までノンストップで楽しく観れた。また物語が迎える結末も意外性があります。
何より成長していくチャッピーの姿が可愛すぎる。 最初は何も知らない無垢な赤ちゃんのような存在だったチャッピーが、ギャングたちの世界で育てられたことで、少々粗野な感じの性格に育っていく。 ちょっといきがってる感じの中学生ぐらいの人格レベルっぽい印象。これが何ともやんちゃな感じで可愛い。

後半は哲学的で考えさせれる野心的な展開となっている。 序盤~中盤域までは、人間と人間の知性を模した人工知能(AI)。人間から見た人工知能。人工知能から見た人間。という双方の捉え方を考えさせられる。 後半はそれが人間の思考・知性とは何なのかという域まで高まり、骨太なSFっぽい意外性のある結末へと駆け足で進んでいく。 SFの展開としてはそこまで斬新とは言い切れないが、かなりの急展開で一気にその方向へとシフトチェンジするので、けっこう驚かされてしまう。

最後にひと言、言いたいことがあるとすれば、この映画のビジュアルって、どう考えてもアップルシードの影響を多大に受けてますよね。ということ。 ウサギっぽいチャッピーのフォルムといい、戦闘マシーンの造詣といい…。

10位:ヴィジット 監督 M・ナイト・シャマラン 出演 オリヴィア・デヨング、エド・オクセンボウルド、ディアナ・ダナガン、他 製作国 アメリカ ジャンル ホラー/サスペンス

あなたは絶対に、“その約束”を破ることになる――。

M・ナイト・シャマランが8年ぶりにスリラー映画に原点回帰。 祖父母の家で1週間を過ごすこととなった姉弟が予想だにしない戦慄の恐怖に襲われる様を描く。ラストにはシャマランらしい驚愕の結末が用意されている。

久しぶりにM・ナイト・シャマランが原点回帰して撮ったホラー・サスペンス。
その天才ストーリーテラーぶりを遺憾なく発揮した脚本はやっぱり見事。すべては恐怖の“あの結末”へと繋がっていく。
ホラー・サスペンスとして恐さの演出が見事。単にショッキングな映像や大きな音で驚かすのではなく、徐々にしかし確実に恐怖の感情が蓄積されていく見せ方は上手い。 観客の感情は奇妙から恐怖へ変わるという変遷を辿り、ものの見事に監督の思惑通りにリードされてしまう。
映像も良かったと思う。モキュメンタリー作なので臨場感も半端ない。姉弟の恐怖が臨場感を持ってそのまま体感できる。

ちょっと老人を悪意を持って奇怪に描きすぎではないかとも思えるが、それも含めて、最悪に怖い映画。
最後にちょっと感動的にしようとしているが、衝撃的に刻み込まれた後味の悪さはもはや拭いきれない。

以上、2015年の映画ベスト10でした。 ひと言感想はさらっと書こうと思ってましたが、思いのほか長くなってしまった。もう全然ひと言じゃない…。 ベスト10を感想を添えて発表となると、やはりけっこうなボリュームになってしまうな。

長々と感想を書き綴りましたが、何か気になる作品はありましたか? もしも私も観て面白かったという作品が入っていて共感していただけたり、観たことないけど面白そうかもと参考にしてもらえたら幸いです。

世間的に評価が高いであろう作品(洋画だと『アメリカン・スナイパー』、邦画だと『海街diary』など)が入っていないのは、始めにも書いたとおり、個人の好みで偏りまくりの、うちのブログらしいランキングだなーと思います。 昨年はジュラシック・パークの新作、ターミネーターの新作、そしてスター・ウォーズの新作と、伝説的な作品の続編の公開が相次いだなぁという印象です。 今回のランキングにはどれも入っていないところがまた個人ブログらしくもあります。

さて、今回の記事はそろそろ終了です。 最近は、やりたいことはたくさんあるのだけれど、自分に甘い性分から、けっきょく先延ばし、やらずじまいな日々に、もっと自分に厳しくならなければと反省することばかり。 やらざるおえないことにプラスして、自分のやりたいことをするのって意外に難しい。しかしそれが出来る人が後に結果を残しうる人なのだと思う。 サボって何もしないでいることはその時は楽かもしれないけれど、後になってよけいに自分をきっと苦しめる。 だからたとえ小さかろうが何だろうと、目標を持って頑張っていきたい。 …映画のランキングの記事で何だこの締めはという感じだ。

次回更新はまたまた未定です。 それでは、また、いつか、きっと。

崖っぷちの男(映画)

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今回の記事は『崖っぷちの男』(2011年、監督:アスガー・レス)です。
サム・ワーシントン主演によるサスペンス・ミステリー。スリリングで予測不能な展開は面白く、地味に良作。
映像にも妙なリアル感があり、ビルの真下を覗きこむような映像は高所恐怖症に人が見たら卒倒しかねない。
高層ビルから飛び降りようとする男の真の狙いとは?

■内容紹介 ※Movie Walkerより引用 Link
30億円のダイヤモンドを横領した罪で服役しているニューヨーク市警の元警察官ニック・キャシディ(サム・ワーシントン)は、脱獄し、高級ホテルの高層階に現れた。そして窓枠を越え、飛び降りようとする。
大勢の人が固唾をのみながらニックを見守る。ニックは要求を伝えるための交渉人としてニューヨーク市警の女性刑事リディア(エリザベス・バンクス)を指名する。
ニックからある依頼を受けた弟(ジェイミー・ベル)、元同僚のニューヨーク市警警官たち、ニューヨークでも指折りのダイヤモンド王と呼ばれる実業家(エド・ハリス)らの様々な思惑が交錯する中、ニックの本当の目的が明らかになっていく……。

なぜ、ここに…?

いま、起死回生のショータイムがはじまる。

崖っぷちの男

崖っぷちの男

崖っぷちの男
■感想
2012年鑑賞映画のレビューとしては最後。
終わりが見えていなくても、止めることなく続けていればいつかは終わる。ただマイペースを通り越したゆっくりさ加減でしたが…。

では感想。
この作品、明らかに大作ではないのだけれど、かなり映画としての出来自体は高い。スリリングで予測不能な展開は面白かった。
ミステリー・サスペンスとしてはそうとう良く出来た映画だと思います。
ただ作品としての地味さはどうしてもあるので、ド派手な展開、ど派手な映像、ド派手な結末を望む方は、少々物足りないと感じるかもしれない。
地味でもそれなりに練られた物語が好きな方ならきっと楽しめるはず。

映画では3つの物語が同時進行して描かれます。しかもその絡ませ方が上手い。
ニックの目的が物語後半に向け少しずつ明らかになっていく展開のさせ方も面白い。プリズン・ブレイク顔負けの面白さがこの映画にはあったように思う。…と鑑賞後のメモには書き残してあったけど、今にして思うとそれはちょっと言い過ぎかも。

ニックの目的は物語中盤前ぐらいには、だいたい観客にも予想がつく状態になる。しかし全ては語られないまま物語は進むので目は離せない。
途中まではニックの真の目的はダイヤ強奪だと思っていたけど、さすがは警察官という潔癖な目的には感心してしまう。
かなり計算高いと思っていたニックの最終手段がかなりダイナミックだったのには驚かされた。そこを伏線回収、練りが甘いと指摘する批評もあるようなのだけれど、それはそれで熱さと迫力が増していたので、「もう良し!」と思ってます。この展開、予想はしてなかったでしょう?

一番驚かされてしまうのはお父さんですよね。「お前かい!」とちょっと幸せな気持ちになってしまう。

特殊クレーンカメラで撮られたビルの真下を覗きこむような映像には妙なリアル感もあり、高所恐怖症の人が見たら冷や汗を握るかも。

作風としてはライトで分かりやすい。変に複雑な背景、意味深な演出の連発で、観てる人を混乱の渦へと落とし込む本格作品よりは、気軽に見れるので楽。
脚本、演出も決して浅くはなく面白い。
ちょっと強引な展開もあるけど、結末も痛快。
と、押さえるべきところはちゃんと押さえられた映画なので満足度も高い映画でした。

機会があったらぜひご覧になって観てください。

■登場人物ちょいメモ
ニック・キャシディ(サム・ワーシントン)
…高級ホテル「ルーズヴェルト・ホテル」の21階へ現れ、飛び降りようとする素振りを見せる男。
自身を説得する交渉人として、NY市警の女性交渉人リディアを名指しする。
やがて男の素性が、30億円のダイヤ横領の罪で服役していたNY市警の元警官だということが判明する。

リディア・マーサー(エリザベス・バンクス)
…ニックに名指しされた女性交渉人。1ヶ月前に自殺志願者の説得に失敗して死なせてしまった経験を持つ。
ニックとのやり取りを通し、彼が無実ではないかという気持ちを抱いていく。

ジョーイ(ジェイミー・ベル)
…ニックの弟。素行がやや悪く、お調子者で頼りない感じだが、恋人のアンジーと組んで“ある計画”を実行中。
ホテル21階で騒ぎの渦中にあるニックと、何やら連絡を取り合っている。

アンジー(ジェネシス・ロドリゲス)
…ジョーイの恋人。勝ち気なセクシー美女。ジョーイの相棒として計画を手伝う。
若干間抜け感の漂うジョーイに対し、気が強くしっかりしている彼女は何だか似合う。ジョーイ、尻に敷かれそうだけど。

マイク・アッカーマン(アンソニー・マッキー)
…市警時代のニックの元相棒。正義感の強い黒人刑事。
服役中のニックが父の葬儀に参列できるように計らった直後に、ニックに脱走され、裏切られたと思い、彼を執拗に追う。

デヴィッド・イングランダー(エド・ハリス)
…実業家。ダイヤモンド王。ニックが盗んだとされるモナークダイヤの所有者。
大切なものを保管したビルに素人が侵入可能というやたらとザルな警備を敷くという不思議な用心深さを発揮する。
余裕ある態度だけれど、それで安全だとでも本気で思っていたの? な人。

■予告編


映画データ 題名 崖っぷちの男 製作年/製作国 2011年/アメリカ ジャンル サスペンス/ミステリー/アクション 監督 アスガー・レス 出演者 サム・ワーシントン
エリザベス・バンクス
ジェイミー・ベル
アンソニー・マッキー
エド・バーンズ
タイタス・ウェリヴァー
ジェネシス・ロドリゲス
キーラ・セジウィック
エド・ハリス
アフトン・ウィリアムソン
マンディ・ゴンザレス
バーバラ・マリノー
J・スミス=キャメロン
パトリック・コリンズ
ロバート・クロヘシー
ジョー・リシ
ウィリアム・サドラー、他 メモ・特記 特になし おすすめ度★★★★(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)

■Link
+⇒公式HP(Japanese)

■TrackBack Center(他の人の感想を見たい人はココで)
+⇒「崖っぷちの男」レビュー :映画レビュー トラックバックセンター

+⇒2012年映画レビュー記事一覧

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2013年・し

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「モノクローム物干し」
タイトルが若干不吉かも。

ブログフォルダを整理していたら、出てきた何かのメモ書き。雑記の元のもと。
せっかくなので軽く調べてまとめてみました。
いつもとはだいぶ趣向が違う雑記なので、興味ある方だけ読んでみて下さい。

いまいちよく分かっていないこと。

・「白星」と「黒星」
白星は勝ちを意味し、黒星は負けを意味する。
こんなの知ってて当たり前というぐらいの言葉ですが、スポーツの見出しとかで白星とか書かれていると今でも時々分からなくなる。
負けたら黒く塗りつぶされるから黒星。と覚えようと決めたのに、いまだにモヤッとしているから困る。

・「右翼」と「左翼」
これまでの古き良き伝統や秩序を大切にする考え方を右翼的と言い、それに対して、考えを進めるためにこれまでの伝統を変えるような変革を支持する考え方を左翼的と言う。
(あくまでざっくりした自己理解)
いまだに理解が曖昧な言葉。というかあまり覚えるつもりが自分にはない。
保守派、革新派でいいじゃんと毎度ながら思う。

・エレベーターの開閉ボタン
よく見かけるのが「開」「閉」という表記パターンと、「←→」「→←」という表記パターン。
見た目的にも凄く似ているので紛らわしく、意に反して人を挟んでしまい気まずくなること多数のブービートラップ。
最近は「ひらく」「とじる」と、「OPEN」「CLOSE」が一緒に書かれているものも多いのだけど、それでもまだ間違えやすい。
急を要するのが、人が来た時に開けようとして、閉じるボタンを押してしまう間違えなので、閉じるボタンを押しにくく(閉じるボタンを小さく、開くボタンを大きく)したようなデザイン案もあることを知ったときは少し感心した。

・「パイナップル」と「パインアップル」
実は同じものを指す。パイナップルの英語表記がpineappleなので、さらっと読むとパイナップル、pineとappleでの区切りを強調するとパインアップルとなる。
スマートフォンとスマートホンと同じ。単なる日本人の発音の違いでしかない。スマートフォンを略してスマホは変だ!という意見に、確かにとか思っていたけど、結局は同じだったというよくあるお話。

・「はんごうすいさん」「はんごうすいはん」
正しくは飯盒炊爨(はんごうすいさん)らしいですね。子供の頃は“はんごうすいはん”としか聞いたことがなかったような気がしているのだけれど、思い込み補正なのだと今は強く思うようにしている。…はんごうすいさん。しっくりこないな。

・女史(じょし)
ミステリ小説とかで目にすることはあったけど、意味はよく分からないまま流してきた言葉。
意味は「社会的地位や名声のある女性を敬意を込めていう語」。
例えば、セレブ医師タレントの西川先生を西川女史と呼んだりする。

・フローラル
とてもよく耳にするけど、雰囲気だけで今まで過ごしてきた言葉。
「花のようであるさま」という意。
柔軟剤のホワイトフローラルの香りとかは、白い花のような香りということか。へー。

・リノリウム、サナトリウム、アサイラム
知ってどうする? 的な言葉ですが、似たような語感の外来語3種。

リノリウム→建材の一種。床材などに使われる。病院とかのペタペタした床のあれ。

サナトリウム→療養所の英語表記(sanatorium)。芸術的文学やら歌詞なんかによく出てきます。

アサイラム→聖域。避難所を表す(asylum)。バクホンのアルバムタイトルに使われました。

・カタルシス、アイロニー、パラノイア
これまた似た感じの外来語3種。哲学的なやつ。意味的に文学やら歌詞やらに頻繁に使われる。

カタルシス→悲劇による救済。悲しい時に笑える作品よりも、悲しい映画、悲しい歌詞の歌などを聴いた方が、自身の暗い感情が少し楽になるあの不思議な感覚。
※正式な意味は別にあります。正確に知りたい人は調べましょう。

アイロニー→皮肉。相手を賛美しているようで、実は蔑んでいる表現。俗的に言うと嫌味。
「さすがです!こんなに(どーでもいい)細かいことまで取り決めがあるんですね(笑)」みたいな。カッコ内は実際には言わず、言い回しのみで相手を皮肉る感じ。
※正式な意味とは違うかも。正確に知りたい人は調べましょう。

パラノイア→偏執病(へんしつびょう、パラノイア; 英:paranoia)は、物事への執着が強く妄想的である症状を指す。異常な妄想に囚われるが、妄想以外の部分では常人と大して変わらないのが特徴。
ナイトメア・プロジェクトの『一夜怪談』のさとみちゃんみたいな感じか。
※正式な意味とは…略。

・「々」「〃」
上と同じという時に書く文字。手書きだと(楽するために)頻繁に使うけど、パソコンでも時々使いたいこともある。
ちょんちょんと読んでいたけど、もちろんそれだと変換できません。
パソコンからだと“おなじ”で変換できたりする。

・CB(2) +2 +1 +1 0 +2
ウォークマンカスタムイコライザ設定。オフだと物足りなく、けど不自然なのは嫌だという方へ。CBはお好みで増減。
SONY WALKMANの話です。ただし自分としちゃ設定による違いをあまりよく分かっていない。

第三類医薬品、哲学的ゾンビ、フェルメール・ブルーなんてのもあったけど、疲れてきたので断念。気になる方はググってみましょう。
知らないこと、ホントにたくさんある。

2013年・ご

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「ミッドナイトブルー」
今回はオススメ動画集1です。

けっこう前に、新規に作ろうかなと思っていたカテゴリ「WEB」。
その後何事もないまま流れてしまった新カテゴリーですが、もし作られたのなら、WEB上で見つけたオススメ動画紹介なんかをしようかなとか、考えていたわけです。

オススメ動画に関しては、ある程度たまってきたので、この場で雑記として紹介。全2回を予定。
出し渋った結果、古いものばかりになってしまってますが、どれもオススメの動画です。

動画は長さにより、「長編」「中編」「すぐ」に分けてます。
長編:複数回にまたがるシリーズ作。全部見ようとすると時間が掛かります。見過ぎに注意。
中編:単発作ですが、動画時間がやや長めのもの。
すぐ:5分以内の短い動画。お気楽に。

※ニコニコ動画はプレイヤーの右下の「…」でコメント非表示にできます。弾幕で動画が見えないと言う場合は非表示で。

■鉄拳「振り子」
長さ:すぐ
言わずともがなの鉄拳のパラパラ漫画の超名作。まだ見たことない人は絶対に1回は見ておいた方がよい動画です。本気で泣けます。
人生とか、決して止まらない時間とか、いろいろなことを考えさせられてしまう。



■「フカシギの数え方」
長さ:中編
子供向けの教育動画っぽい内容ですが、自体はまさかの方向へと向かい、妙にドラマチック。その結末は衝撃の一言。そして何だこの切なさは……。



■徐々に脱力する物理シミュレーション
長さ:すぐ
何てことない動画なんだけれど、少し笑う。



■【Gero】また外国人が二人でゲーム実況したらこうなった【Toshizo】
長さ:中編
今までで一番笑った動画ってたぶんこれかな。
実はこの動画はシリーズの2回目に当たるもの。1回目が気になる方はそちらもぜひ。
【Gero】外国人が二人でゲーム実況したらこうなった【Toshizo】
Toshizoさんは他の動画も面白い。百物語とか好き。怖いけど怖くない怪談?がお好きな方はそちらもオススメ。
『古伝降霊術 百物語』の実況がやりたくて…夏(マイリスト)



■二十年以上前のパソコンでスト2作ってみた
長さ:すぐ
つまらないのではと思っていたら予想外に笑えた。
「なのだから」、口癖にしたいぐらいだ。



■第7次ゲーム機大戦 ポケモン無双編
長さ:長編
ゲーム機の歴史が学べるシリーズ。マイリストはコチラ→ゲーム機大戦
貼り付け動画は第7作目にあたるもの。もっと最初から見たいという方は第1次を。→ゲーム機戦争
なお、6→7で制作者さんが変わっています。



■√Bestamvsofalltime ▪ Pencilhead AMV
長さ:すぐ
全て手書きによるアニメーション。純粋にすごい。すごすぎる。
アニメの場面転換技法のお手本みたいな動画です。



今回はここまで。次回へ続きます。

2013年・ろく

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「Daruma」
今回はオススメ動画集2です。音楽系(とは言ってもPVではない)が中心です。
2020年東京オリンピックが決定、おめでとうということで、誘致PRフィルムも急きょ追加。東京のPR動画とても素敵でした。

動画は長さにより、「長編」「中編」「すぐ」に分けてます。
長編:複数回にまたがるシリーズ作。全部見ようとすると時間が掛かります。見過ぎに注意。
中編:単発作ですが、動画時間がやや長めのもの。
すぐ:5分以内の短い動画。お気楽に。

※ニコニコ動画はプレイヤーの右下の「…」でコメント非表示にできます。弾幕で動画が見えないと言う場合は非表示で。

■東京2020国際招致PRフィルム Tomorrow begins
長さ:すぐ
今日のニュースはこれ一色でした。2020年東京オリンピック開催。1964年東京五輪から56年ぶりとなるビッグニュース。
そうそうあることじゃない。このタイミングで日本に居れたこと、幸運だったなぁとつくづく思います。みんなみんなですよ。
PR動画は、イスタンブール、レアルマドリードが景観を前面に出していたのに対し、東京のはアスリートを中心に据えていたのが印象的でした。
加えて、日本人だけじゃなく外国人もたくさん出ていたことも好印象。スポーツを通して世界中の人々のハートが溢れていくという、オリンピックの趣旨にぴったりの動画は素敵でした。
朝から何回も流れていた動画だと思いますが、まだ未見の人はこの機会に是非見ておきたい動画です。



■ヨガはにんきもの
長さ:すぐ
クレヨンしんちゃんのOP、「オラはにんきもの」をストリートファイターのSEで構築したもの。
完成度の高さと中毒性の高さが凄い。バルログ(笑)



■バイオハザードでドラゴンボールOP 魔訶不思議アドベンチャー!
長さ:すぐ
ドラゴンボールOP 魔訶不思議アドベンチャー!をこちらはバイオのSEで構築。
ランキングでは上のヨガは…の方が圧倒的に上ですが、個人的にはこちらの方が好きな動画。中毒性はやっぱりやばい。そしてタイラント(笑)



■エヴァンオニオン 手描きOP【エヴァ×ちび●る子ちゃん】
長さ:すぐ
手書きOP。エヴァのOPをちびまる子ちゃんでパロ。完成度の高さが凄かった。
劇場版エヴァの次作、シン・エヴァンゲリオン劇場版:||も楽しみ。



■アメリカ人に「 モザイクロール」を踊らせてみた
長さ:すぐ
ちょっと前(というかもうけっこう前)に話題になった動画。もとは全く別の曲のPVなんですが、違和感全く仕事してません。もう合い過ぎ。
なおこのシリーズ、他にもいろんなバージョンあり。とにかくいろんな曲に不思議なほど合うんです。にも関わらず元々の曲にはいまいち合っていないという非業さ…。
アメリカのロックバンドが踊るダンスがいろんな曲に合うとニコニコ動画で密かなブームに(デジタルマガジン)



■他人の作ったRPGツクールを実況してみた その58 ナオクエ2編・第1回
長さ:長編
RPGツクールという家庭用ゲームソフトで作られたRPGを実況しようというシリーズ。要は市販や公開されているゲームと違い、全くの素人が作ったゲームということです。
今回貼ったのはその中でも脅威というほどの完成度を誇った作品の第1回です。プロ顔負けの演出と構成の練り方です。ただし内容はあれです。かなり下品かつゲス。にも関わらず、何だ、この面白さは。
気に入った方は他作もぜひ。かなり長いシリーズなので全部見るには気合が必要。

RPGツクールシリーズ本編(仮) 佐藤さん実況回から
他人の作ったRPGツクールをやってみた 中村さん実況※本当のはじまりはこれ。



■Legend of Zelda: Pot Smasher
長さ:すぐ
外国人が演じた実写のゼルダ。今まで貼ってきた動画とはちょっと毛色は違う動画。ゼルダ演じてる人が可愛い。



前回は長めの動画もけっこう貼りましたが、今回はナオクエ以外は短い動画なので気軽に見れます。気が向いた時にご覧ください。

オススメ動画シリーズもこれにて完了です。

2013年・なな

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「煙突と空の夜明け」
雑記7つ目。2013年の映画の話と読書の話。
いつもは個別に感想を書いて記事にしてますが、今回はまとめてざっくりいきます。
画像もなくかなり簡単に書いてくので、気になる方だけ気になるものだけ読んでくれれば良いのかなと。

※思いのほか長くなったので、この記事は読書編のみ。

それではまず読書編。
冒頭に「2013年の」と書きましたが、厳密には2012年に読了したものからが対象です。
で、2012年からとなるにもかかわらず大した数にはなっていません。
漫画を含めてこれなのだから、ホント全然本読んでないなぁと思う。

■『のはなし』
伊集院光/宝島社
ジャンル:エッセイ
オススメ度:★★★
伊集院光さんのエッセイです。読んだのは文庫版でイヌの巻、キジの巻。
普段の自分の読書傾向とはかなりずれるジャンルの本なのですが、表紙がポップで可愛かったのと、爆笑問題の大田さんが面白いと絶賛してたので購入した本。
確かにどれも面白くサラっと読める。ちょっとした時にちょっとした気持ちで読むには最適な本には違いない。
けど読後に内容はあまり心に残らない。1年以上たった今としてはまったく内容は思い出せない。

■『悪の教典』
貴志祐介/文藝春秋
ジャンル:小説(ミステリー/ホラー)
オススメ度:★★★★
話題沸騰中の作家、貴志祐介さんの学園バイオレンスミステリー。このミス1位作品であり映画化もされた超話題作。
珍しく文庫版ではなく、一般書版を読みました。上下巻セットでめっさ分厚い。
好きな話かどうかは別として、間違いなく最高峰に面白い小説だった。切ない話でもないのにここまで夢中になれた小説は珍しい。
映画版も分かりやすくエンタメ映画として仕上げられていて良い出来でしたが、もちろん小説の方が物語に詳しく触れている。
残虐描写も濡れ場の過激さも遥かに上。
小説ならではの表現もあり。蓮実の心の揺れがわずかに感じられる、引き返し不能点《ポイント・オブ・ノーリターン》の書きっぷりは文章だからこそ書けたことであり、心にグッと来た。

■『アンデッド 拷問教室』
福澤徹三/角川書店
ジャンル:小説(ホラー)
オススメ度:★★★★
アンデッドシリーズの完結編。巻末の特別付録はネタバレ無しで前作までのおさらいが書かれているので、先に読むのが吉。
内容のグロさは半端ない。史上最強最悪の残虐性を誇る。『悪の教典』の衝撃が可愛く思えるほどだ。苦手な人は絶対に手を出しちゃダメだ。
まったく先の読めない衝撃的な展開が連続する終盤の面白さはなかなかのもの。
物語の結末は意外とあっさりと締められている。それが何ともいえない余韻を残します。

■『空の境界 未来福音』
奈須きのこ/講談社(星海社)
ジャンル:小説(ミステリー/新伝綺/現代ファンタジー)
オススメ度:★★★★
ちょうど未来福音の劇場版の公開が迫っているので、タイミング的にたまたまちょうどいい。
なおタイトルは、からのきょうかい みらいふくいん と読みます。そらのきょうかいみらいふくおんと読むと間違いまくりなので恥ずかしい。
前作『空の境界』は読む人を選ぶだろうなーと思うほどの読み難さだったけれど、この小説はそんなこともなく、誰でも抵抗なくすんなり読めそうなライトなものになっている。
倉密メルカの意外な設定には驚く。この辺り、やはり物語構成のさせ方が相当に上手い。
あらかじめ伏線を想定して行動できてる黒桐幹也が地味に凄い。

■『ベルセルク』36巻~37巻
三浦建太郎/白泉社
ジャンル:漫画(ダークファンタジー/バトル)
オススメ度:★★★★
日本屈指の暗黒系ファンタジー漫画。巨匠と言われる方の漫画の展開の遅さはもう致し方ないのか。いまだ妖精島に着かず…。
それでも今回は37巻で海神編完結となっており、一区切りついているので、37まで読めば途中途切れ感はない。
シリーズのクライマックスの盛り上がり方は良かった。ストイックなガッツと個性豊かな旅の仲間との船路は思いのほか読ませる内容でした。
まだしばらく船路は続きそうな感じが恐ろしくしますが、個人的にはイスマがもうしばらく同行してくれそうなのは嬉しかった。

■『夏への扉』新訳版
ロバート・A・ハインライン/早川書房
ジャンル:小説(近未来SF/ミステリー)
オススメ度:★★★★
「猫を愛するすべてのひとに」という帯文句に惹かれて買った本。
その文句に偽りはなく、物語のメインとしては近未来のタイムトラベルSFなんだけれど、所々で描かれる主人公の飼い猫ピートに対する描写は、間違いなく猫に対する愛があってのものだ。筆者は確実に猫が好きなんだなぁということがしっかり感じられる。
印象的だったのがピートが悲嘆に暮れるシーンで、そのシーンはホントに切なかった。
未来を扱ったSF作品では多くの場合、暗い未来や人類への警鐘が描かれることが多い。けれどこの小説は違っていた。未来の世界に対する希望や人類への信頼が強く感じられる物語になっており、なかなかに素敵。
猫に対する愛と未来に対する希望がしっかり感じられる物語の締めは純粋に良かった。

■『サイコメトラー』1~6巻
安童夕馬、朝基まさし/講談社
ジャンル:漫画(ミステリー/サイコ系)
オススメ度:★★★★
少年誌マガジンで連載されていた『サイコメトラーEIJI』の純粋なる続編。青年誌に連載場所を変えて復活。
昔々、EIJIのコミックスを読んでいた自分にとってちょっと嬉しい事態だった。
ぶっちゃけそこまで質の高いミステリー漫画じゃない。かつ、作者はけっこうあっさりと鬱展開を書いてしまう二人なんで、その辺は覚悟の程を。
けどEIJIの世界観が好きだった方はぜひにご一読下さい。エイジ、志摩さん、トオルや裕介、恵美ちゃんなどおなじみのメンバーはもちろん、あのみっちゃん(福島満)までもが準レギュラー化。またオタク系ド変態(自粛)…。
それにしてもBreakのみっちゃん回、完全に遊んでますよね、この漫画って。

■『遠まわりする雛』
米澤穂信/角川書店
ジャンル:小説(日常ミステリー/青春)
オススメ度:★★★★
古典部シリーズ。アニメ化もされかなり話題になりました。
古典部の1年を描いた本作。前3作の間を繋ぐエピソードや、さらにもっと前の話、そしてその先(文化祭後)の話が入ってたりと何ともお得な作品。
物語はまた折木奉太郎視点で進めるというオーソドックスな形式へと戻っています。折木視点だと福部里志とのエピソードが増えて、伊原摩耶花のエピソードが減るのは致し方ないのかも。
また折木と共に全話に登場する千反田えるのエピソードも多い。
この巻で描かれている千反田に対してはけっこう以外な一面を感じる。名家の令嬢であることを意識してるんだなーとか。
ごくごく自然に古典部の面々の関係の変化を描いているこの作品、上手いし、面白かった。

■『iKILL』
渡辺浩弐/講談社(星海社)
ジャンル:小説(ミステリー/ホラー)
オススメ度:★★★★
iKILLシリーズ第1弾。基本シリーズものはまとめて書いてきたのですが、これは2があまりにも別物に変わっているため分けます。
ここまで凄惨な小説は久しぶりに読んだかも。
文章は読みやすく軽い文体なので、おぞましさは薄いような錯覚を受けるけれど、描かれている内容は相当にエグい。そしてグロい。
最初はそこまで引き込まれて読んではなかった。何というか苦手な内容だという印象が若干あった。
けど中盤(「3.中の人などいない」)あたりからだいぶ夢中になって読んでいる自分に気づく。
「4.殺し屋には顔がない」はもう一気に最後まで読み切った。
ある種受け入れがたいところは確実にある。けど面白かったということは確かだ。
だいたい小説なり漫画なりは登場人物の魅力に惹かれてハマるのだけれど、iKILLの主人公の小田切はさほど好きになったとは言いがたい。こういうケースは珍しい。

■『ヒストリエ』7~8巻
岩明均/講談社(アフタヌーンKC)
ジャンル:漫画(歴史/ドラマ)
オススメ度:★★★★★
今、全ての漫画家の中で、岩明均がトップクラスの演出力を持った漫画家であることは疑いようがない。
特にセリフによる説明のない、人の表情だけの描写で、これでもかというほど強烈に、その人物の心情を胸に突き刺すことの出来る表現力の上手さは凄まじいの一言。おそらくこれを岩明さんよりも上手く描ける方はいないだろう。間のとり方も完璧だ。
中でもヒストリエの第3巻については、僕がこれまで読んだ漫画の中でもっとも衝撃と感嘆を受けた巻である。それはこの先も変わらないんじゃないかと思ってる。おそらく演出の上手さでこの巻を超え得る名作は、そうそうに出ない。
7巻はアレクサンドロス王子の話がメインで描かれ、8巻は本格的に始まったマケドニアの戦争の話が描かれる。
どちらも書記官である主人公エウメネスの活躍はまぁ地味で、歴史の教科書を読んでいるような、けっこう真面目な内容がメインです。それでも描写には迫力があり、読み応えもしっかりあります。
注意点として。7巻は子供に読ませたら絶対にダメだ。7巻は子供に読ませたら絶対にダメだ。(大事なことなので2回)
子供が間違って見たらトラウマ抱えるレベルのグロい描写が、岩明均の恐ろしく高い演出力で描かれる。何故このシーン、こんなにページを割いてじっくりグロく書いたんだぁー。

■『タイムカプセル』
椙本孝思/アルファポリス
ジャンル:小説(ミステリー)
オススメ度:★★★
鬼才・椙本孝思の小説にしてはわりと普通のミステリーだった。
もちろん十分に面白いとは思うのだけど、椙本さんの小説にはもっと衝撃的な何かを期待してしまう。だからか少し物足りない。
グロ描写や気持ち悪い描写はないので手堅く万人受けはする内容ではあるのだけれど…。
犯人の動機があまりにも無茶過ぎて「うーん」と唸ってしまう結末は少し微妙。
キョウスケとかもっともっと物語に絡んできてほしかったのだけどね。そしてヨウジは一体…。

■『ゴーストハント1 旧校舎怪談』
小野不由美/メディアファクトリー
ジャンル:小説(ホラー/ミステリー)
オススメ度:★★★★
著名なゴーストハントシリーズの第1弾。
純粋に面白かった。登場人物の魅力がとにかく高い。
主人公の麻衣視点で進んでいく物語は、読んでてすごく楽しい。親近感がわく主人公だと思う。
ホラー・ミステリーとして先が気になる展開も面白かった。
ホラーだけど怖くはない。また最近のホラー作品に多い“切ない”ホラーでもない。けど読んでて楽しい。怖くなく楽しいホラーというのも貴重な気がする。
読んだのは完全版ということで本の装飾がとっても豪華だった。電気を消すと表紙のイスが浮かび上がります。あと旧校舎怪談の文字もぼぉっと光る。すごい。

■『インフレーション宇宙論―ビッグバンの前に何が起こったのか』
佐藤勝彦/講談社(ブルーバックス)
ジャンル:教養(科学/テクノロジー)
オススメ度:★★★★
扱っている内容はかなり難しい物理の話だけれど、かなりやさしく書かれている。
なので読んでいて嫌になってくるということはなかった。
内容を理解できたかというと、かなり怪しいのだけれど、イメージすることはできたと思う。
宇宙の誕生から終焉までを扱った内容は興味深かった。それを現代の科学では物理学の論理で説明できるようになった(まだ未解明の部分はこれから)というのは純粋に凄いと感じた。
いつもは小説ばかり読んでいるけど、たまにはこういう知的好奇心を満たす本を読んでみるのも面白い。
個人的に感銘を覚えたのは、物理の話とは違って申し訳ないけど、作中で触れられていたチャーチルの言葉だった。
This is not the end. It is not even the beginning of the end. But it is, Perhaps, the end of the beginning.
これは終わりではない。終わりの始まりでもない。始まりの終わりなのだ。
最初は何のことかよく分からなかったが、よくよく考えてみると良い言葉だと思う。
例え大きな一区切りがつくところまで達したとしても、それで終わり(完成)というわけではない。通過点を過ぎただけでまだ先は広がっているという意味の言葉だ。
(…なんかこの本の感想というより…。まぁいいか)

■『Self-Reference ENGINE』
円城塔/早川書房
ジャンル:小説(SF/?)
オススメ度:★★★
初めて読んだ円城塔の小説。本当にジャンル分け不明の小説だ。
繊細な感じのSFという印象が強いけど、SFとは言い切れない何かがある。純文学っぽくも哲学っぽくもある。コメディテイストの章もある。
時系列が過去から未来というわけではなくどこでも可という極めて不思議な章立てに、同じ登場人物でも役回り、記憶、対人関係の全てが統一されてるわけでもないアナザーワールド的な世界観に、読んでてとにかく不思議な気持ちになる。

内容はよく分からないのだが、何だか面白い気もするし、訳わからない気もする。

第一部Nearsideでは無感情な印象が強い巨大知性体が、第二部以降やたら人間臭くなってくる。
全体的に繊細なテイストの作品だけど、中には「07 Bobby-Socks」や「09 Freud」、「15 Yedo」などやたらとコメディテイスト、真面目なんだけど真面目じゃない話もあったりする。
エピローグはとてもかっこいい印象を受ける。

■『死人を恋う』
大石圭/光文社
ジャンル:小説(ホラー)
オススメ度:★★★★
この本はたぶん今まで読んだ中で一番やばい。面白くはあったけれど内容が内容なだけに人に薦めることははばかれる。というか言えない。
だって死体の女性を犯す話だからだ。命の尊厳なんてあったもんじゃない。女性が読んだら確実に引くぞ。
主人公の青年は、自身を人とは決定的に違うヤマネコのような生き物と思っているけど、結局のところは孤独で満たされていない人間でしかないように感じる。だからと言って魅力も好感も感じることはない。考え方は極めて危険でやばい。「ああっ」というセリフが若干キモい。

この小説、禁断なものを読んでるようで背徳感が凄まじい。加えて内容が超“鬱”と言っていいほど昏くて重い。けど不思議なことに読み始めたら止まらなくなる。
ホラーだけど怖くはなかった。ただただ内容がやばかった。誰かがこんな本を読んでるのを知ったらその嗜好を疑うレベルの内容なんだけど、面白かったのは確かなんだよな。

■『支那そば館の謎 裏京都ミステリー』
北森鴻/光文社
ジャンル:小説(ミステリー/京都)
オススメ度:★★★★
裏京都ミステリーシリーズの第1弾。故・北森鴻さんのユーモア溢れる作品なのでぜひにも読んで欲しい小説。北森鴻さんは大好きな作家さんのひとりだ。
内容はとにかく粋なミステリーという感じで面白かった。京都の人情溢れるような赴きがあって小気味良い。
有馬次郎、折原けい、碇屋警部、バカミス作家ムンちゃんといった個性豊かな面々で展開されるミステリーが楽しい。
少しダークな印象もある主人公の有馬次郎に対し、折原けいとムンちゃんの個性が強すぎる。けど不思議と良バランス。そこに落ち着き達観したご住職が加わってほぼ完璧な人間模様ドラマとなっている。
やり取りが楽しく、相変わらず料理描写もとても美味しそう。北森鴻さん得意のほろ苦さは殆ど無いけど、こういう楽しく小気味良い小説も良かった。
ライトなミステリーなので読みやすく誰でも楽しく読めそう。

■『iKILL2.0』
渡辺浩弐/講談社(星海社)
ジャンル:小説(ミステリー/ホラー)
オススメ度:★★★★
iKILLシリーズ第2弾。まさかの横書き左開きの本。なので縦書き右開きに慣れているとけっこう読みにくい。物理的に。
あまり紙の書籍に向いていない形式だと思っていたら、もとはメール配信コンテンツだったらしい。
iKILL1とはだいぶ雰囲気が変わっている。だいぶというか、むしろ別物といっても過言ではないぐらい変わってます。
前作は登場人物が語り手となるいわゆる“物語”の形式は保っていたけど、今作はぜんぜん違う。自分(読み手=あなた自身)に宛てられたメールを読んでいるような感じになっている。少しモキュメンタリー風で面白い。

先へ読み進めるのにこれほど抵抗を感じる本は少ない。読み進めることに後ろめたさを何だか凄く感じる。それほどまでに内容は危険でかつ残虐。けれど読み止まらなくなってしまう。
相当に面白い内容ではあることは確かで、今までにない感じの小説だと思う。
ラストは史上最大最悪に後味が悪い。結末が悲しいとか救いようがないとかそういう次元とは全く別物でとんでもない物語の終わらせ方をしている。
このバージョンアップ、マジで危険過ぎる……。

■『イニシエーション・ラブ』
乾くるみ/文藝春秋
ジャンル:小説(ミステリー/青春/恋愛)
オススメ度:★★★★
どこがミステリー?というぐらい全く普通の恋愛小説だったのが、最後まで読むと一気に物語が別のものへと変貌する。
これは確かに騙されてしまうな。
言ってしまえば主人公は鈴木じゃなくて彼女なんですね。で、AとBを読み終えた時点ではハッピーエンドだと思っていたけど、実はAとBに重なりがあることを考えると、彼女の驚きの一面が浮かび上がってくる。これはこれで何だか恐ろしいや。
以前読んだ『リピート』の時も思ったけど、乾くるみさんの小説の主人公ってあまり魅力的に感じない。今作でも一応の語り手である鈴木がどうにも好きになれない。Aでは純粋っぽいがどこか偽善っぽくて女々しい。Bでは自覚なしの自己中と自己陶酔と、あとはネタバレなので書けない読んだ通りの罪を犯すので単純に嫌な奴となる。何か背負うものとか押し殺すものがあれば違った気もするが、そういうのが無かったから、魅力は低い。
Bの石丸さんも性格良いとは思えない。登場人物の中だとマユが一番性格が良いと感じるのだけど、前述した通りABの重なりを考えると……。とにかく驚かされる。
『イニシエーション・ラブ』は正統派に技巧でよく出来ているけど、どちらかと言うと反則技の『リピート』の方が衝撃度は上だった。
とか感想メモには残されていたけど、やっぱり『イニシエーション・ラブ』の圧倒的に完成度が上だ。後から来るな。じわじわーっと。

■『雷の季節の終わりに』
恒川光太郎/角川書店
ジャンル:小説(ホラー/ファンタジー)
オススメ度:★★★★
とても読みやすく、穏やかで透明感のある筆致が好印象。好きな作風に思う。優しい印象が全編にあるのも好き。
純和風というわけではないが、どこか和のテイストのあるホラーファンタジーというのは少し新鮮で面白かった。
明らかに異世界の話である賢也の物語と、現代風の茜の物語。この2つの異なるサイドの物語を最終的に「なるほど」と思わせるように構成してあって上手い。

■『1999年のゲーム・キッズ』上・下
渡辺浩弐/講談社(星海社)
ジャンル:小説(ショート/近未来SF)
オススメ度:★★★★
この短いサイクルで渡辺浩弐の小説をこれだけ読んでるのを鑑みると、やっぱりハマったんだろうなー。『iKILL』に。
1話1話が本当に短いので物足りないような気もするけど、1冊全体としてはけっこうなボリュームなので読み応えは割りとある気もする。
少し不思議な近未来SF。気楽にさっくり読めるのでちょっとした時間つぶしにはもってこい。
1話当たりのこの短さの中でけっこうどんでん返しを狙った作品も多く、飽きは来ない。ただ中には「え?どういうこと?」という話もあったりする。
なおエピソードは暗い&残酷な内容なものがほとんどなので、もしかしたら読み手は選ぶ作品なのかもしれない。

各話の読後感は暗い内容にも関わらず意外とライト。ただし最終話の第101話「1999年のゲーム・キッズ」に関しては衝撃的なまでに鬱。要注意だ。
収録されていた作品で印象深かったのは第62話「ザ・自殺ショー!」と第88話「嘘つき」。
「ザ・自殺ショー!」はバラエティ番組のノリで明るく語られていく物語だけど、それとは真逆の“僕”の心情が伝わってきて悲しさが半端ない。
「嘘つき」は何が嘘なのかは最後にわかる。その嘘が分かった時の何とも切ない感情は不思議な温かみがある。
この2話、どちらも直接的な描き方は一切してなく、書いてないことが読み手に伝わる描き方になっている。上手い描き方だと思う。

■『バジリスク 寄生生物』
椙本孝思/角川書店
ジャンル:小説(ホラー/ミステリー)
オススメ度:★★★
椙本孝思のホラーには虫の気持ち悪い描写がよくある。この小説はタイトル副題に寄生生物、帯コピーも戦慄のバグズホラーなので、虫の気持ち悪さを前面に押し出したホラーなのだと思わされるが、実は意外にもそうでもない。虫の気持ち悪さはそんなに強烈な印象として残らない。
…とは言え、物語は人喰いという異常殺人者が多発する気持ち悪めの内容なので読み手は選びそう。読後感も全体的に悪い。
だからやっぱり虫嫌いな人はこの本に手を出しちゃダメ。

物語は後半に進むにつれ意外な方向へと疾走する。一話完結の単発ホラーと思いきや、実は連作だったりする。
「徘徊老人」の意外な結末にはただただ驚かされる。
残念なのは終章「寄生生物」の物語の終わり方があまりにもすっきりしない点だ。
ラストを余韻の残る衝撃で終わらせた『THE QUIZ』や『時間島』に比べると、正直微妙な作品。

■『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet』
桜庭一樹/角川書店
ジャンル:小説(ミステリー/青春)
オススメ度:★★★★★ +お気に入り作品
久しぶりに読んだ桜庭一樹さんの小説。
以前読んだ『少女には向かない職業』と同様に弱い少女を主人公として切実な物語が描かれる。
彼女たちは弱いとは言っても、自ら弱いことを受け入れているのではなく、何とか耐え抜こうと何とか誤魔化し強ぶっている。けれど大人に比べたら主人公の二人はどうしようもなく無力でしかない。そんな切実なドラマはズキリと胸を打つ。
さばさばした描写の中に、繊細さを強く感じる。
この話の結末の重さはあまりにも悲しすぎる。実は結末は冒頭で明らかになっているのだけれど、それでもやはりこれは悲しすぎる…。
1.砂糖菓子の弾丸とは、なかよくできない
2.砂糖菓子の弾丸と、ふたりぼっち
3.砂糖菓子の弾丸とは、もうあえない
この各章のタイトルが単純なようでいて、すべてを語っている。このタイトルから想像した通りのことが描かれ、それ以上の衝撃を読み手に与える。
悲しい時や泣けない時は、何でだろうか悲しい物語を読みたくなる。安易なご都合主義のお涙頂戴の悲劇だと辟易してしまうけど、この小説は自然で繊細な物語の中に悲しみを盛り込んでいるのだから流石。各方面からの高い評価もうなずける名作だと思う。
今回はやらなかったけど、もしブログdeビュー大賞の小説編をやったら、この作品をおそらく1位にしてたかな。たぶん。

■『ジウ』(2、3)
誉田哲也/中央公論新社
ジャンル:小説(ミステリー/警察)
オススメ度:★★★★
1の感想は以前書いたので略。
1が物語の始まりを主人公でありダブルヒロインである門倉美咲と伊崎基子で描いた“起”の内容だとすると、2は事件の黒幕側である裏社会の物語を描いた“承”の内容で、3巻中で最も描かれている内容はヤバ目。3は“転”と“結”を一気に描いたようなクライマックスで、怒涛の盛り上がり方を見せる。
現実味(リアリティ)という面では、ほぼ説得力はないのだけれど、エンタメ小説でここまで面白くなっているのだから申し分はない。
最後まで一気に読ませる展開でグイグイと惹きこまれてしまいます。
どこか硬派なイメージがどうしてもある警察小説で、主人公を女性でWヒロインとしているのは、今までにない警察エンタメ小説として楽しめた気がする。
正直警察小説はあまり好きなジャンルではないのだけど、誉田哲也の警察小説なら抵抗なく読んでいける。
ジョーカーの正体の盛り上がら無さと、タイトルにまでなっている“ジウ”の存在の薄さは少々残念。けどそれを補って有り余るほど主人公2人の魅力が強く出ていて良かった。個人的には門倉美咲より、伊崎基子の方が好きかな。東は普通。

…あ、長くなってしまう。というわけで、映画編はまた次回。

2013年・ななのに

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「白鷺」
雑記7-2。前回が思っていたよりも長かったため分割。
今回は現時点までの2013年の映画の感想のまとめ。
駆け足かつ簡単に書いているので、気になるやつだけさらっと読みで。

感想の書き方としては、まずタイトル、監督、キャスト、ジャンルの映画情報。
続いて個人的なおすすめ度。(満足度とも言う)
★印が今までのレビューと同様に、鑑賞後に直感で決めているおすすめ度。カッコ内に書いている数値は、今年はストーリーや映像といった個々の内容についても評価をしているので、その重み付き平均。ストーリー、演出、登場人物の評価が高いと優遇されるような重み付けで算出してます。
その下に書いてるのが、僕個人が勝手につけた映画のポイントです。
で、最後に感想。
こんな感じで書いています。

それでは観たやつの感想をざっと。

■『のぼうの城』
監督:犬童一心、樋口真嗣
キャスト:野村萬斎、佐藤浩市、榮倉奈々、成宮寛貴、山口智充、上地雄輔、ほか
ジャンル:時代劇
オススメ度:★★★ (3.23)
・演技達者なキャストが揃っている点
・史実をもとにした話

キャスティングは豪華で良かった。佐藤浩市さんをはじめとする演技達者な方が揃っていて大変魅力的。
ただし主人公ののぼうがそれほど魅力的に感じなかった。もっとスマートな策を練る人物を想像していたけど、わりと後手後手の策ばかりだったようにしか思えない。
石田三成には不思議な魅力があった。最初は小心者に思えるが、最後まで見ると評価が変わる。
「・・・である」というナレーションが個人的にはちょっと微妙。何というか真面目で堅い。
娯楽作品としての出来栄えは良い。分かりやすく楽しめる。


■『フランケンウィニー』
監督:ティム・バートン
キャスト(声):チャーリー・ターハン、キャサリン・オハラ、マーティン・ショート、マーティン・ランドー、ほか
※吹替版:吉永拓斗、湯屋敦子、宮本侑芽、平川大輔、近藤春菜、箕輪はるか、ほか
ジャンル:アニメ/ファンタジー
オススメ度:★★★★ (3.88)
・優しいダークファンタジー
・スパーキーの可愛さ

シンプルで分かりやすい構成。これぐらい分かりやすい作品の方が個人的には好き。
物語はティム・バートン監督らしい、少し優しいダークファンタジー。
ラストはバートン監督ならばこその締め方という感じすらする。
「死んだ人は戻ってこない」という絶対的な事実を安易に壊すのは良くないという意見もあるかもしれないけど、こういう終わり方があっても良いと思う。
スパーキーの犬っぽさが本当に可愛い。犬好きだったら絶対に心に訴えかけてくるものがある。
モノクロのストップモーション・アニメは味がある。
造形美は気味悪いような可愛いような。段々愛おしく感じられるような不思議で味のある造形だった。


■『レ・ミゼラブル』
監督:トム・フーパー
キャスト:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、ほか
ジャンル:ミュージカル/ドラマ
オススメ度:★★★★★ (4.88)
・大ヒットミュージカルの映画化
・豪華キャスト

圧倒的スケールで見事な大河ミュージカルに仕上げている。
とにかく感動できた。悲しさと歓喜で一杯になるラストは、他の作品とは格の違いを見せつける圧倒的な沸点の高さを誇る。
ラストの修道院からの演出は神がかっている。アンの再登場とかは鳥肌が立つ。
歌も良いよね。
ミュージカルに慣れてないと、歌で進行していく流れにどうしても違和感を感じてしまうが、重厚な物語に圧倒されていくにつれ気にならなくなってくる。
歌も演技もうまい役者が集結していて、これ以上ないぐらいの豪華さ。
ジャン・バルジャンとジャベールの因縁の関係性、ファンテーヌの存在感、コゼット登場後の愛の物語などすべてが完璧。
エポニーヌの片思いの愛に切なさで一杯になる。


■『LOOPER/ルーパー』
監督:ライアン・ジョンソン
キャスト:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブルース・ウィリス、エミリー・ブラント、ピアース・ガニォン、ほか
ジャンル:SF
オススメ度:★★★ (3.23)
・新しい感覚のSF
・ブルール・ウィリスのグレ感
・批評家の評価が高い作品

SFアクションミステリーとしてはまま面白い。じゃっかんブルール・ウィリス登場までダレ感がある。
終盤の結末はけっこう意外。まさか未来の自分の方が悪役となっていくとは。
現在の自分の行動が即未来の自分(ブルース)に影響が出るというのは面白い。結末もその設定をうまく生かしている。
ラストは切ない。あれほど自分本位だった主人公が初めて誰かのために自らを犠牲にするのだから。
シドを演じている子の不気味さと恐怖、危うさは上手かった。
未来のジョーを処刑し30年経過させるのは斬新。そこから30年後の自分が過去へ戻るドラマまで描くのは斬新。
ジョーがハゲ衰えていくのはある意味切ないって。


■『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
監督:アン・リー
キャスト:スラージ・シャルマ、イルファン・カーン、レイフ・スポール、ほか
ジャンル:ドラマ/ファンタジー
オススメ度:★★★★ (3.92)
・美しく幻想的な映像
・獰猛なトラとのスリリングなサバイバル
・超過酷過ぎる漂流生活

前半は少しだけ退屈かも。ただし漂流が始まってからは一気に釘付けとなる。
映像は圧巻。水の透明感やパイとトラしかいない孤独さを感じさせる海の広大さ、襲いくる自然の猛威など、時に美しく、時に恐ろしく、時に大迫力で美しく描き出している。
予告編にもあった鯨が飛び上がるシーンとか、その前の光る海のシーンも含め幻想的で美しい。
獰猛なトラとの旅のスリルといったらない。もうドキドキする。
けど次第にやせ衰えていくトラの姿が切ない。
主人公パイの打たれ強さには尊敬を覚えてしまう。
すっかり弱ってしまったトラを撫でながら「僕達はここで死ぬんだ」というシーンは切なかった。
こんなにも突飛な冒険譚なのに、トラとの別れのシーンがそっけなく、意外なほどリアルな物語に感じた。
作家の言葉の通り、確かに言葉にならないという感想が的を射てると思う。


■『96時間/リベンジ』
監督:オリヴィエ・メガトン
キャスト:リーアム・ニーソン、マギー・グレイス、ファムケ・ヤンセン、ラデ・シェルベッジア、ほか
ジャンル:アクション/サスペンス
オススメ度:★★★★ (3.57)
・大人なハード・サスペンス・アクション
・リーアム・ニーソン

映像はなかなかセンスが良くて綺麗な感じで良かった。
内容は予想以上にハード。ラストのブライアンの選択など、このハードな映画ならでは。
意外とブライアンも冷酷非道な感じがする。警官殺してるしさ。
ブライアンの凄さは相変わらず感じる。どんな時でも冷静、でも内に秘めた怒りをピリッと感じたりと、ニーソンの上手さが所々に光る。
ブライアンの強さも良い感じ。完全無敵というわけではないけど、強い強い。
少し思うのが、今回の話って、娘が協力してくれなかったらジ・エンドだったんじゃ…。
ブライアンの徹底した追跡、相手の上を行く感は前作より少し下回ってる。
概ね満足できる内容。緊迫感などはなかなか高くてドキドキできる。


■『テッド』
監督:セス・マクファーレン
キャスト:マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス、ジョエル・マクヘイル、ノラ・ジョーンズ、ほか
ジャンル:コメディ/ファンタジー
オススメ度:★★★★ (3.38)
・大人ありきの子供向けテイスト作品
・下ネタ満載
・テッドのエロ・かわいい・渋い・ダメ・良い奴っぷり。

下ネタと麻薬の描写さえなければ、子供に見せても遜色のない感動作。
テッドとジョンが本当に無二の親友で素敵だ。永遠の親友だ。
可愛い外見とは裏腹に中年エロオヤジキャラのテッドのギャップが可笑しい。
テッドが意外なほどに良い奴だった。本当にジョンのことを大切に思っている。
テッドとジョンの喧嘩シーン、テッドが意外なほどに強い。
ラストはまさかの感動的な締めとなっている。
ストーリーはけっこう地味で定番な筋書きを辿る。
何かに似てると思ったら、そう、アルフに似てるんだよね、雰囲気が。


■『アウトロー』
監督:クリストファー・マッカリー
キャスト:トム・クルーズ、ロザムンド・パイク、リチャード・ジェンキンス、デヴィッド・オイェロウォ、ほか
ジャンル:サスペンス/アクション/ミステリー
オススメ度:★★★★ (3.46)
・トム・クルーズのアクション
・硬派なハードボイルド・ミステリー・サスペンス・アクション

かなり硬派なハードボイルド作。目新しさはないけれど作りはしっかりしている良作。
ミステリ・サスペンスものが一転してアクションに変わるカーチェイスシーンは迫力があってドキドキした。
しかもこのカーチェイスシーン、けっこう長めに尺が取られている。トムの振りきれたチェイス、かっこ良い。
終盤の銃撃戦もド直球のアクション全開で迫力があった。スタイリッシュではなく泥臭い。けどそれが良い。
老兵の支援がまた素敵だ。
映画宣伝だとトム=悪役を推していたけど、この作品のトムはそんなに悪役っぽい感じはしない。
むしろ正義感溢れる男な印象。
悪役なトムといえばやっぱり『コラテラル」だよね。


■『ダイ・ハード/ラスト・デイ』
監督:ジョン・ムーア
キャスト:ブルース・ウィリス、ジェイ・コートニー、セバスチャン・コッホ、ユーリヤ・スニギル、ほか
ジャンル:アクション/サスペンス
オススメ度:★★★ (3.19)
・ド派手なクラッシュ映画
・ブルース・ウィリス=ジョン・マクレーンの無茶っぷり

派手さは認める。爆発シーンやらクラッシュシーンなどの迫力はあり、数もとにかく多い。
けど、とにかく中身が薄い。
親子の絆を描くドラマ面はほぼおまけ程度で、とにかく何かが大破するシーンの連続の映画。
ジョン・マクレーンがノリノリで暴走しまくっている気がするのだけど…。
正直マクレーンのついてない男感はあんまりない。あんたノリノリでしょ。
ラストは良い感じに締めているけど、感動するわけではない。


■『ジャンゴ 繋がれざる者』
監督:クエンティン・タランティーノ
キャスト:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、サミュエル・L・ジャクソン、ほか
ジャンル:アクション/西部劇
オススメ度:★★★★ (4.03)
・タランティーノ流、マカロニウエスタン
・痛快なバイオレンス・アクション

意外にも面白い。ストーリーは痛快で良かった。
やたらとブルージーな音楽、「ジャンゴォ~♪」不思議と哀愁すら感じる。何だろ、これ。
タランティーノらしい独特のドロっとした血しぶき描写。鮮烈な赤ではないのでそこまでスプラッターという感じはしない。
登場人物は魅力ある。特にシュルツの魅力がすこぶる大きい。
キャンディの握手に「我慢できなかった」と言うセリフといい、その後のあまりにも呆気ない最後といい、演出の妙が効いている。
どこか控えめなジャンゴも好き。最終的に気取った感じになるけれどそれでもどこか控えめな印象が残る。おそらく自分のキャラに合っていないキャラなんだろうな。
悪役を演じたディカプリオも雰囲気があった。あくまで軽い雰囲気の極悪人。
確かにマカロニ・ウエスタンかも。「荒野の七人」とかに通じる雰囲気がある。


■『キャビン』
監督:ドリュー・ゴダード
キャスト:クリステン・コノリー、クリス・ヘムズワース、アンナ・ハッチソン、フラン・クランツ、ジェシー・ウィリアムズ、シガーニー・ウィーヴァー、ほか
ジャンル:ホラー/SF
オススメ度:★★ (2.50)
・予測不可能な衝撃展開
・悪ふざけエンタメ・ホラー
衝撃のラストというものには2パターンあるんだなと実感。ひとつは全てをひっくり返すろんでん返し。もう一つが前提をぶち折る超展開。この映画は後者の典型。
確かにこんなラスト、絶対に予測不能だわ。
かなり悪趣味な物語は嫌いな人は確実に嫌い。
かつ、映像もかなりグロく気分が悪くなる。加えて見せ方もセンスが悪い。
サスペンス、ホラー演出はなかなか上手い。なので観ていてけっこうドキドキして怖い。
けどすかしもけっこうあって微妙な気分。狼とか無駄に怖くさせすぎだろう。
マーティンの意外性はありかな。普通に考えると知名度でまさるヘムズワースの方がいい役だろうと思ってしまうところがミソ。
ヒロインを演じてた娘はなかなか可愛かった。


■『フッテージ』
監督:スコット・デリクソン
キャスト:イーサン・ホーク、ジュリエット・ライランス、クレア・フォーリー、マイケル・ホール・ダダリオ、ほか
ジャンル:ホラー/サスペンス
オススメ度:★★★ (3.42)
・心を破壊するホラー
・凄惨

久しぶりに観た映画。映画リハビリには刺激が強すぎる内容。
怖さは尋常じゃない。青ざめてしまうぐらいに怖い。
結末も恐ろしいまでの鬱。そのあまりの内容に劇場出る時は顔面蒼白だったかも。
お化け屋敷ムービーではなく、精神的に追い詰めてくるホラー。
結末はオカルト展開へと進む。ちょっと意外かも。
フッテージ(8mmフィルム)に記録された惨殺映像が衝撃的過ぎる。そして超鬱に…。
「芝刈り機」とタイトルされた惨殺映像、やばすぎるって…。
トラウマを抱えるレベル。はっきり言ってPG12どころじゃないと思うのだが。
サスペンスホラーとしての演出は大変に上手い。不安な気持ちの煽り方は近年では随一の完成度。


■『DRAGON BALL Z 神と神』
監督:細田雅弘
キャスト(声):野沢雅子、山寺宏一、森田成一、堀川りょう、八奈見乗児、中川翔子、ほか
ジャンル:アニメ/アクション
オススメ度:★★★ (3.23)
・正真正銘ドラゴンボールワールド
・世界標準語「かめはめ波」

原作者である鳥山明がストーリーに関わっているので、正真正銘ドラゴンボールのアフターストーリーということになるのか。
雰囲気としては、魔人ブウ編以後のバトルに関して強さのインフレが振り切れてしまっている、コメディチックなドラゴン世界。
破壊神ビルスがもっと悪の存在っぽく描かれていると思っていたけど、何かそうでもない。明らかにフリーザやセルとは一線を画す存在として悟空と対峙している。この辺り、流石は神ということか。
超サイヤ人ゴッド、ネーミングはもとい、細くなるってどうなのか…。かっこいい…のか?
超サイヤ人の神という設定や、5人の力を注いでやっとなれたゴッドに自力でなれる悟空とか、展開が凄すぎて驚きの声が上がる。リアル志向な世界観のアニメが増えた中でこういう作品はある意味貴重。
悟空の性格が変わっていないだろうかとちょっと思う。
主役は悟空だけど、MVPはやっぱりベジータだよね。地球を護るためプライドを打ち捨てた王子、可笑しかった。意外と常識的対応ができる。
酔ってる悟飯も可笑しかった。
セル戦後に「もう二度と会うことはないだろう」と去っていった天津飯、魔人ブウ戦にも参戦していない彼が、ブルマの誕生日には駆けつけている事にちょっと驚き。
エンディングはドラゴンボールの歴史を凝縮したような仕上がりで良かった。ドラゴンボールコミックの完全版、少し欲しくなるな。
全体的にギャグチックだけど、最後のビルスと悟空の対決はスピード感があってなかなかかっこ良い。
正しい心を持ったサイヤ人は悟飯と悟天だけ。ピッコロさん、何という親バカ発言を…。


■『リンカーン』
監督:スティーヴン・スピルバーグ
キャスト:ダニエル・デイ=ルイス、サリー・フィールド、デヴィッド・ストラザーン、トミー・リー・ジョーンズ、ほか
ジャンル:ドラマ/伝記
オススメ度:★★★ (3.19)
・アカデミー主演男優賞受賞のダニエル・デイ=ルイスのリンカーン大統領
・リアリズムもあり丁寧に描かれた政治伝記

間違いなく名作で良い映画であるのだけれど、少々真面目で堅苦しすぎるだろうか。油断していると睡魔に襲われる可能性は大。
リンカーン大統領を決して偉大なる英雄として偶像化せず、ひとりの悩める人間として極めて丁寧に描いている。
そんなリンカーン大統領を演じたダニエル・デイ=ルイスの演技は流石。表情、喋り方、その全てにすっと惹かれるものがある。
印象的だったのは「最も純粋な男による工作」というスティーブンス(=トミー・リー・ジョーンズ)のセリフ。
実際映画でメインとして描かれているのも修正案を通すための裏工作である。
リンカーン大統領が奴隷開放の修正案を通すため、戦争の終結を引き伸ばしたこと。その重荷の全てを自らに課したことは終盤の凄惨なる戦場にて疲れ果てた表情のリンカーン大統領からひしひしと伝わる。
スピルバーグが今リンカーン大統領の映画を撮ったことの意味が何となくだがわかるような気もする。
これだけの決意を秘めた政治家が今の世の中どれだけいるのだろうか。
自ら傷つく覚悟を持ち信念を貫く強さ。見習わなくてはならない。


■『オブリビオン』
監督:ジョセフ・コシンスキー
キャスト:トム・クルーズ、アンドレア・ライズブロー、オルガ・キュリレンコ、モーガン・フリーマン、ほか
ジャンル:SF/アクション
オススメ度:★★★★ (4.03)
・良作SFアクション
・トム・クルーズのSF

SF作品として面白かった。ある種ベタな展開なのだが、不思議と予想を上回った感の方が強い。
結末はハッピーエンドとも悲しい結末とも言える。賛否は別れるかもしれないし、ドライな質感なオチとも言える。あそこでジュリアが微妙な笑顔を浮かべたように思えたのはその辺に起因。
演出面も上手い。曖昧な記憶:モノクロ映像、思い出したことで色づくといった演出は良い。それも鮮やかな色ではなくモノクロピンクに近い色合いだったのがより記憶っぽくて良い。
何と言ってもトムありきの映画なのだが、ヴィカの悲しそうな表情にも少し惹かれた。
トム演じるジャックが、鉄壁のヒーローというわけではなく、どこか人間臭いような野暮ったいような親父感があるところがツボ。
全てにおいてバランスの良い映画だったと思う。長さ良し、映像良し、脚本良し。
超大作というほどの大作感はないが、観客の求めることの多くは叶えていよう。モヤモヤ感は残らない。


■『きっと、うまくいく』
監督:ラージクマール・ヒラニ
キャスト:アーミル・カーン、R・マドハヴァン、シャルマン・ジョシ、カリーナ・カプール、ほか
ジャンル:青春/コメディ/ドラマ
オススメ度:★★★★ (3.92)
・青春コメディ
・人生を前向きに

ザ・友情!という感じのドラマ。名門工科大ICEに集った青年3人のコミカルな青春劇。
実は作中で自殺者3人(ひとりは助かるが…)も出るという、とんでもなく重い内容を含む。けど不思議と悲しさをほとんど感じないコミカル演出。
インド映画の笑いのセンスはちょっと日本の感覚とは違う気もする。悪ふざけが過ぎないか?
特にチャトルに対する演説の仕打ちは下手したら自殺もののメンタルダメージを与えかねない気がする。
途中でミステリ仕立ての仕掛けが盛り込まれているのが斬新。
ランチョーの才能・性格に嫉妬。けど魅力は確かに高い。
一番感動したのはファルハーンが父親に自分の道を受け入れてもらえるシーン。目頭が熱くなった。
前向きな映画であることは間違いなく、面白いドラマに仕立てているので、万人受けする映画かも。陽気すぎるのが苦手な人は少し距離を感じるかも。
音楽、主題歌はなんか良かった。
「きっと、うまくいく」悪くない言葉。迷った時に、怖気づいた時に、自分を鼓舞するルーチーンに。
生涯ベスト10に推すという人もけっこういるようで、ツボにはまった人はその素敵なストーリーに魅了される。確かに良い映画であることは間違いなし。


■『華麗なるギャツビー』
監督:バズ・ラーマン
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、キャリー・マリガン、ジョエル・エドガートン、エリザベス・デビッキ、ほか
ジャンル:ドラマ
オススメ度:★★★★ (3.73)
・絢爛豪華なセレブ生活
・ディカプリオ演じるギャツビーの魅力
・質の高いビターな結末

かなり大人向けの、本当にビターな結末。何ともいえない気持ちになってしまう。
ギャツビーの一人の女性を一途に想い続ける姿、どんなに富を得ても愛する女性と結ばれない結末、やはり何ともいえない。
ニック以外、彼の死を悼んでいない姿にも、切なさを感じる。
後半の悲劇的結末へと進む展開は本当にやるせない。
ギャツビーに対してニックと同様に好感を持てるかどうかで作品の評価が大きく変わりそう。
装飾品やらは絢爛豪華で映像も派手目だが、演出は抑えめな自然志向。文芸作品を読んでる感覚すらある。
なので少し退屈感もある。ハラドキするような作品では全くない。
レオナルド・ディカプリオ、裏のある大金持ちのセレブ役が何だか似合う。
プライベートでも仲の良いディカプリオとトビー・マグワイアの共演というのも乙。


■『サイレントヒル:リベレーション3D』
監督:マイケル・J・バセット
キャスト:アデレイド・クレメンス、キット・ハリントン、ショーン・ビーン、デボラ・カーラ・アンガー、ラダ・ミッチェル、ほか
ジャンル:ホラー/アクション
オススメ度:★★★★ (3.88)
・前作映画の純粋なる続編
・サイレントヒルの雰囲気の再現度の高さ

前作(映画の)『サイレントヒル』の完全続編となっていたのは驚き。6年もの歳月を経っているのだから意外。
サイレントヒルの音楽は相変わらずいいい。
映画オリジナルのストーリーに、ゲームの設定、物語を上手く融合させている。なので実はゲームより分かりやすい。
ゲーム「サイレントヒル3」の映像の再現度は高い。ゲームを知ってるとニヤリするシーンばかり。あの禍々しくも凶悪な三角頭も登場。
映画の前作を知ってると、前作サイレントヒルと繋がるストーリーから浮かび上がる父親の変わらない気持ちに感動できる。
主役のヘザーを演じた娘、確かに可愛い。
ゲーム原作では変人ぽい印象があるヴィンセントが、意外なほどにまともな人物として描かれる。
映像はグロめ。闇に侵食される不気味な映像のセンスの高さは相変わらず。
灰が降る街。3D映画との相性も高い。
前作がバッドエンドタイプの結末だったのに対し、今作はグッドエンドタイプの結末。


■『風立ちぬ』
監督:宮崎駿
キャスト(声):庵野秀明、瀧本美織、西島秀俊、西村雅彦、志田未来、野村萬斎、ほか
ジャンル:アニメ/ドラマ/青春
オススメ度:★★★★ (3.57)
・宮崎駿監督作品
・スタジオジブリ

登場人物があまりにみんな真っ直ぐでひたむき過ぎて、自分が少し恥ずかしくなる。魅力ある人物像なんだけど…親しみはあまり感じられない。
ストーリーは上質。あくまで上質。起伏が少なく盛り上がりに欠けるため退屈に感じることもある。
ラストのあっさり感は全ジブリ作品の中でも屈指。盛り上がりどころもあったのかもしれないけど、ここだ!というべきところがなんか無い。
内容は完全に大人向けアニメとなっている。子供が観て楽しいとは決して感じまい。
『ポニョ』よりもさらにファンタジー要素は減り、ほぼ皆無に。
映像(絵)は流石はジブリで温かみのある絵で、かつとても綺麗。
音楽も流石の良さ。メインテーマは聴き入る。
「創造的人生の持ち時間は10年だ」など、なかなか心に痛いセリフも。少し自己嫌悪にも。
独特の雰囲気のある魅力ある悪役風キャラがいなかったのも残念なところ。カプローニがその位置づけなのかもしれないが、少々弱い。もっと個性的じゃないと。
菜穂子は幸せだったのかどうか。二郎は菜穂子を愛していることは間違いなく伝わってくるが、仕事に熱意を傾けるあまり、毎日帰りが遅い。その間、菜穂子は部屋にひとり。
二郎の完璧過ぎる性格は好きな人は好きっぽい。熱意があり、優しく、善良。仕事もできユーモアセンスもある。けど淡々とした印象もなんかある。声をあてた庵野監督、なんか合ってる気もする。
それから菜穂子と同室で結局タバコ吸ってるし…もマイナスな点。
最後にひとり診療所へ帰る決意をする彼女に、孤独な影を感じてしまう。
零戦崇拝の映画だなんて批評もあるようだけど、テーマの趣旨としては零戦に敬意を表しているわけじゃなく、その設計者の純粋なる熱意に対する敬意ということなんだと思う。
効果音の多くがおそらく人の声だった点がなんか印象的。不思議な感じと温かみと不自然さを感じる。


■『パシフィック・リム』
監督:ギレルモ・デル・トロ
キャスト:チャーリー・ハナム、菊地凛子、イドリス・エルバ、チャーリー・デイ、芦田愛菜、ほか
ジャンル:アクション/SF/ロボット
オススメ度:★★★ (3.10)
・怪獣ハリウッド

WEBレビューだと評価はかなり高い作品なのだが、そこまで良い作品かと言うと疑問を感じる。
カイジュー、KAIJUと作中で呼ばれているが、別にカイジューが世界標準の言葉に昇華されたわけでは多分無い。WASABIとかJUDOとかBENTOとかとは違う。
ストーリーは典型的なハリウッド脚本。盛り上がりどころも順当にあるが、驚きとかは一切ない。はっきり言って薄っぺら過ぎる内容。
アメリカンな軽いノリがちょいちょい苦手。
ラストがあまりにも過ぎる。人類最後の手段が自爆って。しかも1回ではなく2回も。
所々入れられている日本語も不自然。日本の特撮をオマージュした作品なので、日本向けのサービスなのだとは思うが、正直「何故このタイミングで唐突に日本語を…」となる。
怪獣やその手の特撮好きにはたまらない映画なのかもしれない。けどそうじゃない人にとってはうーん。
菊地凛子が正ヒロイン役っていうのはけっこう凄い。脇役のひとりではなく正ヒロインなのだ。ハリウッド映画の。
ヒロインの子供時代を演じた芦田愛菜の演技が予想以上に上手い。しかも一瞬とかじゃなくそれなりの長さのあるシーン。別撮りなのは仕方ないとしてもけっこう印象に残るシーンとなってる。
はっきり言って、異常なまでに世間の評判が良い映画。個人的にはそんなに好きな映画だとは言えないのだけど、良い映画だったのだろうか? うーん。


■『ワールド・ウォー Z』
監督:マーク・フォースター
キャスト:ブラッド・ピット、ミレイユ・イーノス、ファナ・モコエナ、ダニエラ・ケルテス、ほか
ジャンル:アクション/パニック/ホラー
オススメ度:★★★ (3.34)
・ブラッド・ピット
・120%中の120%全力型ゾンビ

何故か宣伝サイドではゾンビ映画であることをひた隠しにしている映画。
ブラピが演じた主人公ジェリーはなかなか魅力あり。小奇麗な感じなのも印象良し。
ZはゾンビのZ。最後まで観ないとタイトルが繋がらないが、あの終わり方でこのタイトルならなかなか良いのでは。
正直に言うと中盤前(イスラエルへ行く前)ちょっと眠くなった。けど退屈な作品というわけではない。
前半(ジェリーの家族との逃避)と中盤以降は良い感じのドキドキ感。怖さは並。まぁ純粋なるホラーではないので。
ゾンビ=動きがのろい。という図式は近年ではもう崩壊している。人間以上の身体能力。怖ぇ。
主人公が強すぎないところが、作品に妙なリアル感と、主人公に対する親近感を上げている。
ジェリーが旅客機内で手榴弾を投げて、機体に穴を開けて、人が外へ吸い出されていくシーン。…ちょっ、酷くないか?
Zに対向するため、ジェリーが導き出した結論はなかなか新鮮。超展開でもなく納得もいく。
綺麗に完結まで描かず、終わりを“戦いの始まり”として締めたラストは上質。

とりあえず、現時点までの今年の鑑賞映画は以上。
画像がないと、映画の感想・紹介記事としてはちょっと寂しいところはあるだろうか。

ネットセキュリティについて

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ここ数日のことですが、gooブログにおいてネットセキュリティ関連で迷惑な事態が発生したので、調べたことを書いておく。
本来、こんな雑記を書く予定はなかったのですが、自分用の備忘録と情報共有のために残しておきます。

上にネットセキュリティと大仰なことを書きましたが、内容自体は深刻なことでもないので気になる方だけ参考程度にお読み下さい。

まず何が起こったのかというと、特定のブログパーツが貼られたgooブログを訪れると、「お使いのパソコンの性能が低下しています。Windowsのエラーを直ちに修正して下さい。【リペアツールをダウンロードする】」という怪しげなポップアップが開くという事態が発生しました。

この手のポップアップで何らかのダウンロードを迫ってくるのは、ほぼ100%悪徳です。
ダウンロードしたところで、パソコンの性能が改善されるなんてことはなく、広告行為で余計な負荷をかけたり、場合によってはもっと深刻な悪さをパソコンに仕出かされることすらあります。なので
絶対にダウンロードしてはいけません!

なおこのポップアップ、ダウンロードさえしてなければ、別段PCに悪さはしていない模様です。
(ただしCookieはばっちりローカルに保存されてしまっている…)

でですね、特定のブログパーツというのは、「あし@」です。
もとをたどると、おそらく「あし@」自体が仕組んだというよりは、その委託先っぽい「openx.kji」とかいう広告配信システムが、勝手に宣伝ポップアップを開くようにプログラムを改悪したのが原因っぽいです。その「openx.kji」の広告配信プログラムが、勝手に「ad.yieldmanager.com」へリクエストを送り、広告を表示させています。
それが「あし@」と合意の上だったのかどうかは知りませんが、ユーザーに知らせることなく勝手にシステム改悪したことは、迷惑だったことに変わりはない。
特にgooブログでは、javascriptを基本的には無効にし、gooが認可したブログパーツのみ貼れるという、自由度をかなり犠牲にした制限を課し、安全だと謳っていただけに、失望は大きい。
gooブログ独自のプログパーツ変換機能が、どんなロジックのもとで変換を行っているのかは知りませんが、gooが認可したブログパーツでも、プログパーツのもとのシステムを改悪されたら、その影響をばっちり受けることが今回の事態で分かった。これじゃ、はっきり言ってとても安全だなんて言えやしない。
やはりブログパーツなんてたくさん貼っても重いだけなので、本当に必要なもの以外は貼るべきじゃない。

なお現在は、ウイルス対策ソフトが「あし@」というか「openx.kji」の宣伝のブログパーツ自体をばっちりブロックしてくれている。
(ウイルスバスターの場合。他はちょっと知りません)
昨日まではそんなことなかったので、ホントここ1日ぐらいで対応してくれたらしい。この迅速さ、流石だと思う。

そんなわけで、今はウイルス対策ソフト各社が対応をし始めたらしいので、信頼出来るウイルス対策ソフトをインストールしている方は、もうあまり気にする必要はありません。

しかしブラウザ自体に、この手の迷惑広告の予防線を張っておくことは有用かもしれない。
(ブラウザソフトは設定をいじることで、迷惑プログラムの実行を不可にしておくことができる)

最終的な元悪の「ad.yieldmanager.com」をブロックする手順を調べたので残します。

以下はChromeの設定手順です。
「"yieldmanager" ブロック」などでググれば、たくさんヒットすると思うので、ブラウザがIEやFirefoxの方も、気になる方は調べてみて下さい。

1.アドレスバーにchrome://settingsと打ち込み、設定画面を開く。
(または、Chromeの設定ボタン(三本線のボタン)から、設定を選択する)
開いた設定画面で、「詳細設定を表示」をクリックする。


2.それまで隠れていた設定項目が表示されるので、プライバシーの「コンテンツの設定」ボタンをクリックする。


3.「コンテンツの設定」ダイアログが開く。
まず、「ad.yieldmanager.com」が迷惑にも勝手にローカルPCに保存してくれてる、Cookieを消去します。
Cookie欄の「すべてのCookieとサイトデータ」ボタンをクリック。


4.開いたダイアログに全Cookie情報が表示される。このままじゃ多いので、右上の検索ボックスに「yieldmanager」と打ち込み、絞りこまれたCookie情報を確認の上、削除する。(選択した時に右に表示される×をクリックすればOK。
※下画像のうちのローカルPCではすでに削除済みのため表示されていません。ちょっと分かりにくいかも)
注意:Cookieの全削除はしてはいけません。ブラウザに保存しているアカウント/パスワード情報も消えてしまい、その後地味に苦労します。
※Cookieは不要と判断したもののみ、自己責任で削除して下さい。
削除後、「完了」ボタンでダイアログを閉じる。


5.続いて、「ad.yieldmanager.com」がローカルにCookieを保存しようとしたらブロックするように設定します。
コンテンツの設定、Cookie欄の「例外の管理」ボタンをクリック。


6.Cookieとサイトデータの例外にブロックするパターンを追加する。
以下は「[*.]ad.yieldmanager.com」をブロックに追加した例。
ad.yieldmanager.comに一致するサイトからCookieを書き込もうとしたら、ブロックするようになります。
動作はデフォルが許可なので、きちんとブロックを選択すること。
設定後、「完了」ボタンで閉じる。


7.続いて、「ad.yieldmanager.com」からのjavascriptが実行されるのを禁止する。
コンテンツの設定、Javascript欄の「例外の管理」ボタンをクリック。


8.Javascriptの例外にブロックするパターンを追加する。
今回は「[*.]ad.yieldmanager.com」を追加し、このサイトからのjavascriptが実行されないようにしています。
(うちのPCでは、他にも広告サイトとして悪名高い「ad.doubleclick.net」「ad.adserverplus.com」もブロックするようにしてます。この辺りはご自由に)
javascriptをブロックすることで、悪意のあるコードが実行されることを防ぎます。
注意:何でもかんでもjavascriptをブロックしてはダメです。javascriptが実行できないと、Webページの機能のほとんど動かなくなってしまうサイトもザラにあります。※ここは危険だと分かっているサイトだけブロックするように設定しましょう。
設定後、「完了」ボタンで閉じる。


9.コンテンツの設定画面を「完了」ボタンで閉じたら、設定完了です。

ブロックするパターンは、サイトを変えられてしまったらいくらでもイタチごっこになりかねません。
設定したからといって安心はせず、セキュリティ意識を常に持っておくことが大切です。

今回、画像形式がpngになってしまった。gifで上げたんですが、gooブログってgifをpngにしてしまうんですね。知らなかった…。


2013年・はち

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「2013年のねこタ」
雑記8で最後!

さて、まず最初にお知らせとして、当ブログの更新はこの記事で最後となります。

このブログの開設日を見ると2005年9月。つまり8年続けたことになる。
自分としてはまぁ長く続いたかなと思っています。

更新は終わりますが、ここまで感想を書き溜めたブログなので、ブログ自体は残しておこうと思ってます。
ひとつ問題として、このブログ、アドバンス(有料)なんですよね。
できれば無料に戻したいのですが、無料版だと更新がないと、宣伝の入るレイアウトに勝手に変えられてしまうという、困ってしまう改変があったらしい。
もったいないけど、しばらくはこのままの状態で残そうと思ってます。
(メールも有料になるし、ホント最近gooって良き古きシステムを商業主義に変えて行きすぎ。利潤の少ないサービスの経費節減も分からなくはないけれど…)

終わりの理由は書いておかないといけないでしょう。
それはやはり、ブログに対するモチベーションの低下ということが大きいですね。
このことは実は2012年の途中からあって、そんな気持ちのままダラダラと更新を続けていった結果、昨年分の映画レビューの完了が遅れに遅れ、無様なことになったのはご承知おきの通りです。やはり気持ちは大切なんだなぁと思う。

ブログは、好きで楽しく書いているうちは、自分にとってもプラスの多いとても良い趣味なのですが、義務感で書くようになると、なかなか苦しいものがある。
長くブログを続けている方ならそんな気持ちを抱いた方も多くいるんじゃないかと思う。それでもブログを続けている方は、やっぱり凄い。自分にはそこまでの根性がなかった。

終わりへ向け、9月は雑記で書き残したことを書いていこうと思ってた。
で、ブログ継続8年にかけて、雑記8で最後と目論んでたわけです。若干最後に無理矢理な調整が入ってますが、まぁ、8で最後は何とか死守。

ブログ8年続けて、得たものももちろんあります。
これは自画自賛になっちゃいますが、8年前に比べれば文章力はついたんじゃないかと思う。
中でも当ブログのメイン、映画レビューは少しずつ工夫を加えていき、良くしていこうと取り組んできた記事です。
もちろんちゃんとした批評を書いている方からすると、程度の低い内容なのだとは思います。
それでも、モチベーションは低かったけど、やはり映画レビューは2012年が一番、出来が良かったと個人的には胸を張ってる。

さてと。いよいよ最後。
最後に何を書くかは実は決まっています。
これは前にも何かの記事で書いたことがあるかもしれないけど、今でも印象的な言葉として残っているので、もう一度書きたい。
それはバクホンのボーカルの山田さんがある音楽番組で話していたことです。

「日々生きていく中で、ふとした瞬間に、何かできそうな気持ちになることがある。上手くできそうな気持ちになることがある。
その気持ちは長くは続かないのだけれど確かにあって、自分の生きる糧になってくれている。
希望を持ち続けることは難しいのだけれど、俺はそんな気持ちを求めていきたい」

だいぶ昔の記憶なので、一言一句あってるかというとだいぶ怪しい。けど、だいたいこんなことを話してた。
それはすごく共感できて、強い印象として今でも残り続けています。
どんなに落ち込んでいても、どんなに失敗続きでも、どういう訳か、何故か分からないのだけれど、突然に希望が湧くことがある。
「何とかなるんじゃないか」「上手くいきそうな気がする」
根拠はないのだけど、突然そんな気持ちが沸き起こる。
だから苦しくても頑張れるし、何かをやってやろうという気持ちになれる。
けどそんな気持ちはあまり長くは続かない。
ちょっとしたことで一瞬で消えてしまったり、あまりにあっけなく打ち砕かれてしまったりする。
前向きな気持ちを長く持ち続けることって本当に難しい。
僕は根が暗い人間ですが、それでもそんな小さな希望が湧くんだったら、きっと大丈夫なんだと思ってる。
苦しい時にも希望は湧く。それがどんなに儚い希望でもきっと自分を助ける。
この気持ちは大切にしていきたい。

そして照れくさい。ブログ辞める言い出した人間が、何を良いことを書こうとしているんだか。
これを続けるとまずいのでそろそろ締めに。

当ブログを今まで何回も訪問してくださった方、たまに見てたよという方、今日初めて来たらいきなり終わってた(笑)という方も、本当にありがとうございました。
まぁお互いどこかで元気でやっていきましょう。

ブログdeビュー映画大賞(2014年)

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どうもお久しぶりです。
ひとつ前の記事「雑記8」を投稿してから約1年以上が経ちました。

「雑記8」で当ブログの更新は最後と宣言し、実際そのつもりでいました。
けれど、ブログを書かない日々を続けてそれが当たり前になっていたはずなのに、不思議とまたブログを書きたいと思う自分がいる。
気持ちって変わるものなのですね。

そんなわけで、かなり久しぶりに新記事を書きました。
題目は「2014年ブログdeビュー映画大賞」です。
1年間に観た映画の中からベスト映画を決める、当ブログで年に1回だけ書いていた恒例記事です。

興味のある方はぜひ、ちら読みしていって下さい。

それでは発表です。

2014年の映画ベスト10

1位 アメイジング・スパイダーマン2
2位 インターステラー
3位 思い出のマーニー
4位 ホビット 決戦のゆくえ
5位 フューリー

6位 ウルフ・オブ・ウォールストリート
7位 ホビット 竜に奪われた王国
8位 アナと雪の女王
9位 100歳の華麗なる冒険
10位 白ゆき姫殺人事件

ひとこと感想

映画情報を簡単に記載し、映画概要、そして感想、という書き方にしています。簡単に書いたつもりですが、やっぱり10作品書くとけっこうな分量になる…。

1位: アメイジング・スパイダーマン2 イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 マーク・ウェブ 出演 アンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン、ジェイミー・フォックス、他 製作国 アメリカ ジャンル アクション/アドベンチャー/青春

新たな装いにてリブートした新生スパイダーマンシリーズの第2作目。

アンドリュー・ガーフィールドが演じる明るく楽しげで、やや軽いノリのピーター=スパイダーマンがやっぱり魅力的。
それだけに終盤の展開にはかなり驚かされてしまい、かつ悲しかった。
けれどその後のフォローの仕方は心優しくて良かった。 落ち込むピーターにメイおばさんがかけたひと言には心打たれました。
エンタメアクションとしての楽しさ・面白さ、感動する物語のしみじみとする深さのバランスが良くできていた映画だった思います。

2位: インターステラー イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 クリストファー・ノーラン 出演 マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン、他 製作国 アメリカ ジャンル SF/ドラマ

『ダークナイト』のクリストファー・ノーラン監督がかつてない危機に直面した人類の命運と父娘の絆を壮大なスケールで描いたSF超大作。

壮大さと設定の深さという面では、この映画が間違いなく2014年度では群を抜いていたと思う。
人類の存亡をかけたプロジェクトを描いた物語の壮大さは圧巻で、親子の絆を描いた人間ドラマとしても良かった。
宇宙を超高速で旅する主人公のクーパーたちと、地球に残った者たちの時間の経過のスピードが異なるという切ない設定が効いていて胸に迫る内容だった。

3位: 思い出のマーニー イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 米林宏昌 声の出演 高月彩良、有村架純、松嶋菜々子、他 製作国 日本 ジャンル ファンタジー/青春/アニメ

アリエッティの米林監督のジブリ監督作2作目。心を閉ざしがちの多感な少女のひと夏の不思議な思い出と心の成長を描いた思春期ファンタジー。

シナリオ(脚本)の勝ちと強く思えるほど、ストーリー面の完成度は高く、ひとひねりあるミステリ仕立ての要素もあったりして面白かった。
映画のキャッチコピーとなったマーニーの「あなたのことが大すき。」というセリフ。これって映画を観た人と観てない人で、おそらく受け取り方の方向性が全然違っているのだろうなぁと思う。
ストーリー構成の練りの高さにはただただ驚かされてしまう。
心の弱さと成長、そして愛情を描いてたこの映画はとても素敵な映画だった。

追記:昨年末に米林監督はジブリを退社されたようです。
(⇒『マーニー』『アリエッティ』の米林宏昌監督がジブリ退社を報告 | ORICON STYLE
つまり当作が米林監督のジブリにおける最終作ということになる。少し寂しいような気もするけれど、米林監督にはどうか新しい場でも素敵な作品を作っていって欲しい。

4位: ホビット 決戦のゆくえ イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 ピーター・ジャクソン 出演 イアン・マッケラン、マーティン・フリーマン、リチャード・アーミティッジ、他 製作国 アメリカ=ニュージーランド ジャンル ファンタジー/アドベンチャー/ドラマ

ファンタジー映画の超大作。若きビルボの冒険を描いたロード・オブ・ザシリーズの新たな3部作の完結編。

映像の迫力は流石で、他作を寄せ付けない圧巻の迫力とスケール。また大作感もしっかり感じられる。
加えてこの第3部は、戦闘シーンに次ぐ戦闘シーンの連続で、ほぼずっとテンションが高いまま物語が進んでいきます。最終作の名に負けない盛り上がり方です。
ドラマ面の出来も大変良く、トーリンの苦悩(心の弱い面、強い面の両方共)がしっかり描かれていて惹きこまれました。
ラストはちょっと悲しいのだけれど、それだけじゃない穏やかな気持ちにもなれる。この辺りは魅力的なビルボの人柄がなせる業だと思う。

5位: フューリー イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 デヴィッド・エアー 出演 ブラッド・ピット、ローガン・ラーマン、シャイア・ラブーフ、他 製作国 イギリス ジャンル 戦争/アクション/ドラマ

ブラッド・ピット主演の戦争戦車映画。5人の兵士の戦時下における絆と、リアルかつ迫力の戦車戦を描いた戦争アクション。

内容としては、戦争映画にはよくある戦争の残酷さを前面に出した無情な展開の映画だったといえる。
その無慈悲さはけっこう容赦が無く徹底されており、また戦場の描写はリアルで、戦死者の見せ方も衝撃的なので、なかなか観ていて心にダメージを受ける。
けど、それに負けないストーリー面の良さと、演出脚本の上手さが確かにあった。
絶体絶命の状況の中で残った5人が戦車の中で最後の祝杯を挙げるシーンはベタだけどやっぱりグッときてしまう。

6位: ウルフ・オブ・ウォールストリート イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 マーティン・スコセッシ 出演 レオナルド・ディカプリオ、ジョナ・ヒル、マーゴット・ロビー、他 製作国 アメリカ ジャンル ドラマ/伝記/コメディ

ウォール街の狼と呼ばれた実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの自伝的回顧録を原作とした伝記ドラマ。

実はこの映画、最初はクソ映画かと思った。前半は悪ふざけシーンが大部分で主人公のベルフォートに全く好感が持てなかったから。
ところがあるシーンを境に強烈にベルフォートに惹きつけられるようになった。
そのシーンは、ベルフォートが強烈なドラッグの効き目にフラフラになりながらも家に帰るシーン。
ディカプリオの完全一人演技なのだけど、尋常じゃないまでに釘付けにされる快演(怪演?)。これは恐るべし! おそらく昨年、個人的に最も衝撃を受けた演技です。
なおこの映画はR18指定で、ドラッグ描写、セックス描写がかなり激しかったりします。見る人を選ぶ映画だと思うので、一応ご注意を。

7位: ホビット 竜に奪われた王国 イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 ピーター・ジャクソン 出演 イアン・マッケラン、マーティン・フリーマン、リチャード・アーミティッジ、ベネディクト・カンバーバッチ、他 製作国 アメリカ=ニュージーランド ジャンル ファンタジー/アドベンチャー/ドラマ

『ロード・オブ・ザ・リング』の前日端、フロドの叔父・ビルボ・バギンズの若かりし頃の冒険を描いたホビット3部作の第2作目。

年間ベスト10に2作も「ホビット」を入れてしまうのはどうかと思ったけど、やっぱり面白かったので入れてしまった。
映像の壮大さと迫力の凄さは、「決戦のゆくえ」でも書いたとおり、このシリーズでは言わずもがなのクォリティーの高さです。明らかに他のファンタジー映画作品とは一線を画す。
第2作目は主人公のビルボの活躍が結構目立つビルボ回。ぶっちゃけ今作ではガンダルフよりもビルボの方がよっぼど一行の役に立つ活躍をしています。
(もっとも、戦力的にも知識的にも一番頼りになるであろうガンダルフが、肝心な時に別行動しているのは旧シリーズから続くこのシリーズでのお約束の展開なのかもしれないが…)
前作では出し惜しみしまくってた邪竜スマウグが、今作では申し分なく出まくりで、おかげでクライマックスは迫力満点。旧シリーズの主要メンバーだったレゴラスを再登場させたりなど嬉しい展開も盛り沢山。

8位: アナと雪の女王 イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 クリス・バック、ジェニファー・リー 声の出演 イディナ・メンゼル、クリステン・ベル、ジョナサン・グロフ、他 ※吹替版 松たか子、神田沙也加、原慎一郎、ピエール瀧、他 製作国 アメリカ ジャンル ファンタジー/ミュージカル/アニメ

アンデルセン童話『雪の女王』をモチーフに描いたディズニー製作の3Dファンタジー・アニメ。
本国アメリカではディズニー映画史上で最大となる、空前の大ヒットを記録。日本においても興行収入では2位以下を200億円近く離す驚異的な記録を達成して圧倒的1位に輝く。
昨年日本で最もフィーバーした映画だったと言えそうです。

エルサの歌う「Let It Go」(日本では「ありのままで」)のシーンが特に印象的だったなぁと思う映画。
安心のディズニー・クォリティー映画で、誰が見ても明るい気持ちになれる映画でしょう。雪の映像もすごく綺麗で、迫力がありました。
王子様(…クリストフのことです。)を立ててやってよ、という気持ちにもなってしまうラストの扱いはちょっと涙を誘う。(加えて人気でいうと、エルサ>アナ(主人公)な悲しい一般の傾向も…)
王道のディズニーなのにこの意外性。これも時代の流れなのかもしれない、とか思った。

9位: 100歳の華麗なる冒険 イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 フェリックス・ハーングレン 出演 ロバート・グスタフソン、イヴァル・ヴィクランデル、ダーヴィッド・ヴィーベリ、他 製作国 スウェーデン ジャンル ドラマ/コメディ/歴史

スウェーデンで大ヒットしたアドベンチャー・コメディ。老人ホームから逃げ出した、100歳となったアランの現在の珍道中冒険劇と、彼の波瀾万丈の過去の物語が描かれる。

今回のベスト10で一番マニアックと思われる作品。意表を突いたわけではなく、純粋に物語が面白かったからの9位です。
アランの波瀾万丈の人生は、なかなか荒唐無稽な展開で、物語を伏線から先読みすることはたぶん不可能でしょう。
しかし不思議なほどに高いアランの魅力から、この荒唐無稽さが割と自然に受け入れられる。
荒唐無稽、でたらめさが、老人のおとぎ話という様相を上手く醸し出していて良い感じ。ティム・バートンの名作『ビッグ・フィッシュ』にもどこか似た雰囲気を感じる。おじいちゃんから聞く昔話ってたぶんこんな感じなのかもしれない。
内容はけっこう毒のある作品なのだけれど、鑑賞後は不思議と何か悟ったような達観した気持ちと温かい気持ちになります。
ちっぽけなことでクヨクヨするなんて些末なことでしかない。そう思わせてくれる映画だった。良作映画だと思う。

10位: 白ゆき姫殺人事件 イメージリンク イメージリンク イメージリンク 監督 中村義洋 出演 井上真央、綾野剛、菜々緒、蓮佛美沙子、貫地谷しほり、他 製作国 日本 ジャンル ミステリー/サスペンス/ドラマ

湊かなえの同名ベストセラー小説を実写映画化したミステリー・サスペンス。謎めいた美人OL殺人事件を巡り、疑惑を向けられた女性にまつわる噂が一人歩きしていく恐怖を描く。

ミステリー・サスペンス映画としてはっきりと間違いなく面白い。何故この作品が国内の映画賞関連のランキングで上位に来てないのか不思議で仕方ない。ヤフーのユーザー評価も低い目だし…。
前半~中盤ぐらいまでの、変に感情を込めずに淡々とした描写で事件が語られていく演出が上手く効いている。
物語は当事者の証言ではなく、他人の主観による憶測でしかない再現映像で繋がれる。なので、ベースとなる筋書き(事件当夜の城野美姫の行動)は同じでも、答えた人によって細部や受ける印象が変わってきて面白かった。
おそらく前半と後半で登場人物の印象が一転しているはず。犯人はもちろん被害者についても。
それが人を豹変させるわけではなく、観てる側がその人について勝手に膨らませたイメージとのギャップにより印象が変わるという構成なので、とにかく技ありで凄い。
主演の井上真央の「白雪姫はもういない」の感情を込めないセリフがゾクッとくるぐらいミステリアスで強く印象に残っている。

以上、2014年の映画ベスト10でした。
うちのブログらしい、年明けて3月という、今さら感が満載の時期での発表となりましたが、何か気になる作品や心惹かれる作品はありましたか?
あくまで個人の好みが全てのランキングなので、いわゆる有名どころな映画賞とは結果はけっこうずれています。
けれど、ベスト10作品はどれもおすすめ作品なので、興味を持たれた方はぜひご覧になってみてください。

もしこんな偏った個人的なランキングじゃなくて、公の映画賞でのランキングはどうだったのか気になる方は以下サイト等をご参考に。国内外の昨年の主要な映画賞の結果ページへリンクしています。 「日本アカデミー賞公式サイト」の第38回日本アカデミー賞詳細ページ 「KINENOTE」の2014年 第88回キネマ旬報ベスト・テンの各詳細ページ 「日本インターネット映画大賞」の第19回(2014年)日本インターネット映画大賞結果ページ 「allcinema」のアカデミー賞 2014年(第87回)ゴールデン・グローブ 2014年(第72回)

久しぶりにブログ記事を書いてみると、どうにも思うように文章が思い浮かばなくなっていて大変だった。やっぱり習慣って大きい。
また今回の記事は文章以外でも記事構成をこだわったりしたので、書き上げるのにとにかく苦労した。

それから、今さらながらですが、このブログのコメント返信を放置したままになっているのが何だかとても申し訳なく思う。
けれど勝手ながら、当ブログはコメント返信はしない方針としているのでどうかご理解ください。

最後にお知らせを。
このブログは削除はしないつもりでいますが、今月3月いっぱいで有料のアドバンス契約は解約しようと思っています。
つまり、これまでは広告は一切非表示だったのが、4月以降は広告が表示されるようになります。
gooブログは無料版でもそれほど広告表示がうるさくない方なので、そんなには煩わしくはならないかなと。

それからブログの今後の更新についてですが、今のところは更新再開は考えていません。
それでも、また今回みたいに何か書いてみたくなることはあるかもしれないので、更新最後の宣言はしないでおきます。
とは言え、次の更新はいつになるのかは全く分からないので、あんまり期待はしないでくださいね。

それでは、また、いつか。

ブログdeビュー映画大賞(2015年)

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どうもご無沙汰しています。前回の投稿をしてから、結局1年近く放置しちゃいました。

今年も「ブログdeビュー映画大賞」の記事だけは書いておこうかなと、久しぶりに更新します。
内容は昨年観た映画の中から、個人的に映画ベスト10を決める、当ブログとしては年1回だけ書く恒例記事です。

簡単に「ブログdeビュー映画大賞」のルールを説明しておくと、 2015年に映画館で観た映画の中から選ぶ。TV放送やレンタルで観た映画は除く。 劇場公開作でも、リバイバル上映等は除く。純粋に昨年度中に初公開された映画のみが対象。 あくまで個人の好みのみで選んでいるので偏りがものすごい。 です。
ちなみにですが、昨年12月に公開が始まりあれほど話題になったスター・ウォーズの新作や、かなり世間の評判が高い「マッドマックス 怒りのデス・ロード」とかは、昨年度中に私が観ていないので、そもそも選考対象には入れてませんのであしからず。
マッドマックスは、某有名映画評論サイトの批評家支持率97%という驚愕の高評価作品です! ブロガーさんの中でも昨年のベストに推している方が非常に多い。もし昨年観ていたら、うちのランキングも変わっていたのかもしれない…。 スター・ウォーズは年が変わってから観ましたが、なかなか面白かったですね。EP1~3のジェダイvsシスの様相から、またEP4~6の反乱軍vs帝国の派手さと言うよりはドラマ重視の映画に戻った感じです。

前置きはこの辺にして、そろそろ発表に移ります。

2015年の映画ベスト10

1位 インサイド・ヘッド
2位 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
3位 岸辺の旅
4位 ベイマックス
5位 ゴーン・ガール

6位 マイ・インターン
7位 ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション
8位 ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密
9位 チャッピー
10位 ヴィジット

ひとこと感想 1位:インサイド・ヘッド 監督 ピート・ドクター 声の出演 エイミー・ポーラー、フィリス・スミス、ケイトリン・ディアス、他 吹替版 竹内結子、大竹しのぶ、伊集院茉衣、佐藤二朗、他 製作国 アメリカ ジャンル ファンタジー/ドラマ/アニメ

なぜ、カナシミは必要なの・・・? これは、あなたの物語――

ピクサー長編アニメーション20周年記念。女の子の頭の中の5つの感情を主人公に贈るハートフル冒険ファンタジー。

観賞前はヴィジュアルが微妙に感じられ、子供だましの映画っぽく思っていたけれど、そこは流石はピクサー・ディズニー。子供から大人まで楽しめる本当に素敵な映画に仕上げています。
頭の中の感情たち(主にヨロコビ)が奮闘するドラマがメインストーリーで、ライリーの物語はサブ的な扱いに思われがちかもしれないが、実は感情たちの成長を描きつつ、それが直接的にライリーの成長に繋がっていくという見事な演出がなされています。
ヨロコビやカナシミたちをライリーとは別のキャラクターとは捉えず、ライリーと表裏一体の存在だということを意識して観ると、映画から受ける印象はだいぶ変わるはず。

ちなみに劇場版だと上映前に「ドリカムの気持ち悪いやつ」「強制的に見せられる知らない人の結婚式のスライドショー」などと称されるかなり微妙なプロモーション映像と、人面岩のビジュアルがなかなかにキモい謎のショートアニメーションが本編前に流れます。 この二つでかなり不安な気持ちに陥れた後に、予想外に素晴らしい本編を流すという構成は、ピクサーの巧妙な作戦だと思っている。

2位:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 監督 アレハンドロ・G・イニャリトゥ 出演 マイケル・キートン、エドワード・ノートン、エマ・ストーン、他 製作国 アメリカ ジャンル ドラマ/コメディ

もういちど輝くために、もういちど愛されるために、すべてを手放し、羽ばたこう。

2014年アカデミー賞の作品賞受賞作。公私ともにどん底状態の中年俳優が繰り広げる切なくも滑稽な悪戦苦闘の日々を、全編1カットかと見紛う驚異の撮影スタイルで描き出したシニカル・コメディ。

全編1カットの長回しという撮影スタイルには驚愕する。5分ほどの長回しでもけっこう凄いと感じるものだが、この作品はその比ではなくほぼ全編(およそ2時間)映像が繋がっているのである。
こんな作品いまだかつてないので、ぜひ一度はご覧になっていただきたい名作。
もちろん撮影スタイルだけではなく、俳優陣の演技、脚本、演出のすべての完成度が高く、近年の映画の中でも最高峰の映画のひとつに入るのではないかと思う。
また、けっこう意味ありげなカットで終わるラストシーンについては、いろいろな議論、考察がなされています。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、個人的にはラストシーンはリーガンの思い描く理想のエンディング(非現実)だと思っている。

3位:岸辺の旅 監督 黒沢清 出演 深津絵里、浅野忠信、小松政夫、他 製作国 日本/フランス ジャンル ドラマ/ロマンス/ファンタジー

いかないで。きえないで。このままずっと、そばにいて。

第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞した黒沢清監督の映画。
死者となって帰ってきた夫と、そんな彼を静かに受け入れた妻。二人の旅を通し、愛する人との永遠の別れを描いたロマンス・ファンタジー。

幽霊が普通に人間の中で生活し、周りの人から認識されるという不思議な世界観が独特な映画だった。
映像は不思議なほど親しみやすく感じるのにすこぶる綺麗に感じられる。あくまで普通の風景をこうも綺麗に撮れるとは感嘆してしまう。
カメラの切り替わりのタイミングで、突然消えたり現れたりするカメラワークの演出も上手く、ハッとさせられてしまう。
映像の明暗の使い方も上手い。見えないことで見せる映像演出はすごいのひと言。
そして何といっても、主演二人の演技力が凄かった。特に浅野忠信の普通じゃない存在感が凄すぎる。確かに生者とはどこか異なる雰囲気を持つ幽霊の役をナチュラルに演じている。本当に尋常じゃないほどの上手さだ。

4位:ベイマックス 監督 ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ 声の出演 ライアン・ポッター、スコット・アツィット、ダニエル・ヘニー、他 吹替版 本城雄太郎、川島得愛、菅野美穂、小泉孝太郎、他 製作国 アメリカ ジャンル アドベンチャー/コメディ/アニメ

「あなたの心とカラダを守ります。」
彼の名はベイマックス。人を傷つけることを禁じられた、優しすぎる僕のロボット。

ディズニーが贈るロボットと少年の絆を描いた感動のアニメーション映画。

おそらく多くの人が鑑賞前に予想していた内容とは異なる展開に驚かされた映画だと思う。前半こそ主人公の少年ヒロとベイマックスのドラマがメインだが、途中からヒーローアクション映画へと大きく舵を切るからだ。
けれど全体を通して観るとやはりベイマックスとヒロの心温まる感動の物語を描いた映画だったと感じられるところは期待を裏切らない。
ベイマックスの癒やし系ロボットぶりも本当に可愛くて、そして微笑ましかった。

「ベイマックス、もう大丈夫だよ」
これがベイマックスの起動を切る合図なのだが、劇中でヒロがこれを口にするシーンは2回ある。
クライマックスに当たる2回目のシーンは、ヒロの成長が見て取れる効果的な使い方でとても感動的だった。
ベイマックスの愛らしさ。そして、ちょっと意外性のある感動ヒューマンアクションコメディーで面白かった。

5位:ゴーン・ガール 監督 デヴィッド・フィンチャー 出演 ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、タイラー・ペリー、他 製作国 アメリカ ジャンル ミステリー/サスペンス/ドラマ

本当に大切なものはいつも 失って初めてわかる

デヴィッド・フィンチャー監督、ベン・アフレック主演のサスペンス・ミステリー。同名のベストセラー小説が原作。

この映画は観て良い気分になるストーリーでは決してないし、結末も後味が悪く、陰鬱なものだったと言える。
けれど後半の展開がかなり意外なものとなっており、抜群に面白かった。後味の悪さよりも、物語の秀逸さが勝った。
面白かったのは、主人公のニックとその妻・エイミーの印象が、映画の最初と最後では全く違ったものとなる点。
浮気癖のあるダメ夫のニックと、美しく献身的で理想的な妻エイミー。この二人の印象がどのように遷移していくのかは、ぜひご覧になって驚いてもらいたい。

音楽も、抑え目なサウンドの中に短音の効果音を混ぜるなどしていて、観る者の不安感を増す工夫が施されていて、サスペンス映画にはぴったり。
エンドロールの音楽も印象的で、トントンと指で叩いたような短音が妙な現実感を増している。聴いた時の不安感の高まりが半端ないものとなっている。

6位:マイ・インターン 監督 ナンシー・マイヤーズ 出演 ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ、レネ・ルッソ、他 製作国 アメリカ ジャンル コメディ/ドラマ

すべてを手に入れたはずの彼女に訪れた試練。
そこにやってきたのは、70歳の新人(インターン)だった――。

アン・ハサウェイとロバート・デ・ニーロの共演で贈るハートフル・コメディ。

素敵すぎるデ・ニーロの紳士な魅力が最高!
確かな品格と、紳士らしさを持っていて、誰に対しても壁を作らない気さくでユーモアのある性格。細かいことにも気づける気配り上手。
豊富な経験に基づく有能さが彼の何気ない行動から滲み出ていて格好良い。
誰に対しても壁を作らないというところは本当に見習いたい。

テンポ良く、ユーモアもある内容でセンスの良い映画だったと思う。
全体的に女性向けな設定面や物語展開ではあると思うが、男性が観てもつまらないとは感じないはず。
どちらかと言えば若者向けな映画でもあるが、ベンの頑張りから、シニア世代が観ても活力がもらえるかもしれない。
ベンほど上手くいくことは現実的には少ないかもしれないが、長い経験はやっぱり宝であり、若い人は決して持ち得ないことなのだと改めて思う。

7位:ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 監督 クリストファー・マッカリー 出演 トム・クルーズ、レベッカ・ファーガソン、サイモン・ペッグ、ジェレミー・レナー、他 製作国 アメリカ ジャンル アクション/サスペンス

絶対不可能に挑め!

トム・クルーズ演じる伝説のスパイ、イーサン・ハントが数々の不可能なミッションに挑む大人気アクション・シリーズの第5弾。
謎の犯罪組織「シンジケート」との究極の諜報バトルの行方を迫力のアクション満載で描く。

テンポが良く文句なしに面白い。
映像、演出も迫力がありドキドキ出来る。大迫力のアクションシーンはどれも凄い。中でもモロッコで繰り広げられたノンストップ・大迫力のカーチェイス&バイクチェイスシーンは大必見!
面白かった前作「~ゴーストプロトコル」から主要キャストが続投しているところも嬉しいポイント。前作で不運な苦労人だったブラントの出世っぷりがちょっとウケてしまう。
IMFのメンバーは、イーサン、ブラント、ベンジー、ルーサーの4人しかいないと誤解してしまうほどなりを潜めるその他のIMFメンバー。ホント、何してたんだ?
まさかのイーサンを死亡に追い込む発電水冷システム潜入ミッションのずさんさとか、わりと突っ込める所は多い気もする。ま、面白から別に構わない。

時間の都合で吹替版で観たのだけれど、敵の組織のボス・ソロモンの声を演じていたのが中尾隆聖。そうドラゴンボールのフリーザ様の声の人。
フリーザ様感は意外に弱めで、神経質な悪党という役柄の味を上手く出していて、名キャスティングだと思った。吹替版でも安心して見られる。

8位:ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密 監督 ショーン・レヴィ 出演 ベン・スティラー、ロビン・ウィリアムズ、ダン・スティーヴンス、他 製作国 アメリカ ジャンル コメディ/ファンタジー/ドラマ

忘れられない 夜が来る!

夜の博物館で展示物が動き出し大騒動を巻き起こす、ベン・ステイラー主演の大ヒット・ファンタジー・コメディーの第3弾。
シリーズ最終章を謳った作品で、惜しむべくもロビン・ウィリアムズとミッキー・ルーニーの遺作となってしまった作品でもある。

とても面白い映画だったと思う。退屈なシーンなんて1秒たりともない。 笑えて、終盤はけっこう感動するような展開になっている。
ナイトミュージアムのユーモアのセンスは大好き。
ちびっ子二人(ジェドとオクタヴィス)の彼らにとっては壮大な冒険も可笑しかった。
またベン・ステイラーの一人二役の掛け合い(ラリーとラー)も面白かった。

親子の絆と成長の物語、魅力ある博物館の展示物たちとラリーとの友情と勇気の物語、そして愛すべきものたちとの別れの物語を盛り込んだことで、シリーズでも最高に心に響くストーリーの映画になっている。
終盤で描かれる博物館の仲間たちとの別れへと進む展開の切なさはひとしおだった。
テッドの別れのセリフは心にグッと刺さる。そのセリフは彼らの本心では無いことは明らかであり、そこにはラリーを悲しませないための気遣いと、ラリーに断らせないための彼らなりの策が込められている。
愛するものたちに別れを告げてそこから一歩を踏み出すことは難しい。しかしテッドたちはそれを後押しする。
その後の、ラリーが大英博物館の女警備員に告げる「今の仕事、あまり好きじゃないみたいだけど、明日の夜からきっと最高になるよ」というセリフに、ラリーの素直な彼らとの日々の思い出が感じられグッときてしまう。
ただ悲しいだけの物語にはしていない。そこから一段上の清々しさが確かにある素敵な映画だったと思う。

9位:チャッピー 監督 ニール・ブロムカンプ 出演 シャールト・コプリー、デヴ・パテル、ヒュー・ジャックマン、ニンジャ、ヨ=ランディ・ヴィッサー、他 製作国 アメリカ/メキシコ/南アフリカ ジャンル アクション/SF

…ボクを…なぜ怖がるの?…

『第9地区』など、近未来のSFを独自の視点で描き賞賛されたニール・ブロムカンプ監督による新たな原点的野心作。
思考や感情と言った人間の知性を模倣した学習型人工知能(AI)を持つロボット、チャッピーの成長と、辿り着く意外な結末を描いた、近未来バイオレンス・ハード・SFアクション。

全体的にテンポが良く、ユーモアも交えられているので、退屈することなく最後までノンストップで楽しく観れた。また物語が迎える結末も意外性があります。
何より成長していくチャッピーの姿が可愛すぎる。 最初は何も知らない無垢な赤ちゃんのような存在だったチャッピーが、ギャングたちの世界で育てられたことで、少々粗野な感じの性格に育っていく。 ちょっといきがってる感じの中学生ぐらいの人格レベルっぽい印象。これが何ともやんちゃな感じで可愛い。

後半は哲学的で考えさせれる野心的な展開となっている。 序盤~中盤域までは、人間と人間の知性を模した人工知能(AI)。人間から見た人工知能。人工知能から見た人間。という双方の捉え方を考えさせられる。 後半はそれが人間の思考・知性とは何なのかという域まで高まり、骨太なSFっぽい意外性のある結末へと駆け足で進んでいく。 SFの展開としてはそこまで斬新とは言い切れないが、かなりの急展開で一気にその方向へとシフトチェンジするので、けっこう驚かされてしまう。

最後にひと言、言いたいことがあるとすれば、この映画のビジュアルって、どう考えてもアップルシードの影響を多大に受けてますよね。ということ。 ウサギっぽいチャッピーのフォルムといい、戦闘マシーンの造詣といい…。

10位:ヴィジット 監督 M・ナイト・シャマラン 出演 オリヴィア・デヨング、エド・オクセンボウルド、ディアナ・ダナガン、他 製作国 アメリカ ジャンル ホラー/サスペンス

あなたは絶対に、“その約束”を破ることになる――。

M・ナイト・シャマランが8年ぶりにスリラー映画に原点回帰。 祖父母の家で1週間を過ごすこととなった姉弟が予想だにしない戦慄の恐怖に襲われる様を描く。ラストにはシャマランらしい驚愕の結末が用意されている。

久しぶりにM・ナイト・シャマランが原点回帰して撮ったホラー・サスペンス。
その天才ストーリーテラーぶりを遺憾なく発揮した脚本はやっぱり見事。すべては恐怖の“あの結末”へと繋がっていく。
ホラー・サスペンスとして恐さの演出が見事。単にショッキングな映像や大きな音で驚かすのではなく、徐々にしかし確実に恐怖の感情が蓄積されていく見せ方は上手い。 観客の感情は奇妙から恐怖へ変わるという変遷を辿り、ものの見事に監督の思惑通りにリードされてしまう。
映像も良かったと思う。モキュメンタリー作なので臨場感も半端ない。姉弟の恐怖が臨場感を持ってそのまま体感できる。

ちょっと老人を悪意を持って奇怪に描きすぎではないかとも思えるが、それも含めて、最悪に怖い映画。
最後にちょっと感動的にしようとしているが、衝撃的に刻み込まれた後味の悪さはもはや拭いきれない。

以上、2015年の映画ベスト10でした。 ひと言感想はさらっと書こうと思ってましたが、思いのほか長くなってしまった。もう全然ひと言じゃない…。 ベスト10を感想を添えて発表となると、やはりけっこうなボリュームになってしまうな。

長々と感想を書き綴りましたが、何か気になる作品はありましたか? もしも私も観て面白かったという作品が入っていて共感していただけたり、観たことないけど面白そうかもと参考にしてもらえたら幸いです。

世間的に評価が高いであろう作品(洋画だと『アメリカン・スナイパー』、邦画だと『海街diary』など)が入っていないのは、始めにも書いたとおり、個人の好みで偏りまくりの、うちのブログらしいランキングだなーと思います。 昨年はジュラシック・パークの新作、ターミネーターの新作、そしてスター・ウォーズの新作と、伝説的な作品の続編の公開が相次いだなぁという印象です。 今回のランキングにはどれも入っていないところがまた個人ブログらしくもあります。

さて、今回の記事はそろそろ終了です。 最近は、やりたいことはたくさんあるのだけれど、自分に甘い性分から、けっきょく先延ばし、やらずじまいな日々に、もっと自分に厳しくならなければと反省することばかり。 やらざるおえないことにプラスして、自分のやりたいことをするのって意外に難しい。しかしそれが出来る人が後に結果を残しうる人なのだと思う。 サボって何もしないでいることはその時は楽かもしれないけれど、後になってよけいに自分をきっと苦しめる。 だからたとえ小さかろうが何だろうと、目標を持って頑張っていきたい。 …映画のランキングの記事で何だこの締めはという感じだ。

次回更新はまたまた未定です。 それでは、また、いつか、きっと。

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